スポーツ観戦をする若者が減っている。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84368
ストレス解消がスポーツ観戦の目的なので、応援しているチームが勝つ場面しかみたくない。という事らしい。
他にもこの記事には若者達の間で映画などを倍速で観る人たちが増えているとか、批評本が売れなくなってファンブックはよく売れるという事実も書かれている。興味がある方は是非。
「スポーツ観戦が好きなおじさん理論」は若者に通用しない
Getty Images
勝ちの状態だけをみたい。
スポーツ観戦が好きなおじさん(以下SSO)から言わせれば、負けにも魅力的な負け方があるんだよねぇ。なんて言ってしまいそうだ。
さらにSSOからすると0-0の試合にも面白い0-0が存在するのだよ!負けに等しい0-0と勝ちに等しい0-0が存在するからさー!となるが、これもハイレゾ良い音ー!mp3とは全然違うー!と言っている、趣味にお金を投資出来るオーディオが好きなおじさん(以下ASO)が悦に入っている状態と同じな気がしてきた。
オーディオに興味がない人にとっては同じ音にしか聞こえないし、スポーツに興味がない人にとってスコアレスドローほど退屈な試合はない。
そりゃあもちろん、応援しているチームが勝つ事に越した事がないし、それを観たくて観戦しているのはSSOだって同じだ。
勝つかどうかわからないドキドキの中、台本では書けないドラマが起こり逆転勝利!
そんな試合を一度体験してしまったら、もう引き返せない。残念ながら今日は負けちゃったけど、もう一度あの興奮を味わいたい。また観戦しよう!と、負けてもその日を良きものに変換出来る。
ただ、映画を1.5倍速で観る様になってきている若者達にとってのスポーツ観戦は、勝つかも知れないけど、負けるかも知れない試合に時間を使うというタイムマネジメント的にはリスキー以外の何物でもないのだろう。
映画だって、世間の評判を確認してから鑑賞する人が増えている。リスクはなるべく減らしたいのだ。
ちなみに音楽エンターテインメントの大原則に、「全ての人に勝者になって家に帰ってもらう」というのがある。その会場にいる全員が勝者。一人も敗者を出さないための演出の努力をする。
それに比べたら、スポーツ観戦はエンターテインメントとしてリスクが高いと考えざるを得ない。
間違いなく、我々中年が若者より先にこの世からいなくなるわけで、このまま行けばスポーツ観戦に興味を持たない若者の層がどんどん増えていく。
となるとスポーツエンターテインメントは廃れていくのか?と言われれば、それはないと考える。
実はスポーツコンテンツは、スポンサーサイドからすると、最高に美味しいコンテンツ。映画やバラエティは録画で、サブスクで、観たい時に観て、CMも飛ばしながら観る人も多いだろう。
一方、スポーツ観戦はライブで観たいと思わせるコンテンツだ。
スポーツ中継はリアルタイムなのでCMが飛ばせず、他のコンテンツに比べてCMの効果が圧倒的に高い。
オリンピックの放映権料がどんどん高くなっているのも、そうした要素が多分にあると考える。
なので、いかに若者から不人気であろうとも、ある程度の未来は、スポーツコンテンツは優良コンテンツのままだろう。
持続可能なルール変更を柔軟に受け入れろ
批評本が売れなくなっているのも、ファンブックはよく売れるというのも、スポーツ観戦をする若者が減っている理由と重なる部分が多いと思う。
スポーツ好きになると、応援するチームや選手の事が「うちのチームは…」「あの子がしっかりしてればねぇ…」と知らず知らずに身内、家族、親の感覚になったりもする。
悪い所があっても、だったらここを成長させるべきだ等、子どもを育てている感覚に近い。
ただ最近は子どもをノビノビ育てる方向になっているので、その時代に育ってきた若者達からすれば、我々おじさん達が、応援するチームをあーだこーだ言ってるのを、むさ苦しく思っているのかも知れない。
「楽しければ良いじゃん。なんで苦しんでまで応援してるの?」
褒められて成長してきている若者世代は、僕らの世代より厳しい意見を受け入れる土壌がない。
ではスポーツに関して、興味のない若者の意見を取り入れる必要がないのかと問われたら、絶対に取り入れた方が良いと思っている。
若者が興味を持てる、持続出来るルール変更をしていく方が、プロスポーツ界の未来が明るいと感じるのだ。
Photo by Tim Carey Unsplash
ちなみに僕はF1も観るのだが、若者曰く、F1は車がグルグル回っているだけで退屈だ。という意見が多いらしい(悲)
そういった事も加味されていると思うが、FIA(国際自動車連盟)は実験という形で、今月のイギリスGPを含め、3レースでスプリント予選を導入する事を決めた。
FIAの会長は「F1がファンと分かち合うための新たな方法を模索し、スプリント予選の概念を通じてレース週末のスペクタクル性が高まる事が喜ばしい」とコメントしている。
https://www.chunichi.co.jp/article/244088
詳しくはここでは書かないが、走行距離が短くなってレースの所要時間が短縮された分、見どころが1.5倍に増えた。関係者は大忙しでたまったものではないだろうが、観る方からしたら楽しみが増えそうだ。
F1は常にルール変更、変化をしており、2011年にはDRS(ドラッグ・リダクション・システム)と言って、ボタンを押すとリヤウイングのフラップが開き、スピードが上がる機能が加わって、前の車をオーバーテイク、抜きやすくなった。
「それじゃゲームと同じじゃん!スポーツじゃないよ!平等にしてよ!」と僕も思ったが、いざレースを観ていると、抜きつ抜かれつのレース展開が増えて、とても楽しい。ただこれはSSOの意見なので、若者からすれば、もっと大胆なエンタメが必要だろう。
盛り上がるためのルール変更は未来のために必要だ。
極端な事を書こう。
野球は7回までで良い気がする。
サッカーも前後半30分ずつで良い気がする。
「ふざけんな!」「台無しだ!」そういう意見が聞こえてくる。
でもスピード化、短縮化は避けられない。
YouTubeだって15分以上の動画を観ていられるだろうか?3分ぐらいでまとめてもらいたい。