フジテレビ 爆買い企画連発の訳 – NEWSポストセブン

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田中圭も爆買い企画に登場

 ここ最近、フジテレビが力を入れているバラエティ番組のテーマは「爆買い」だという。番組のテーマのもと、芸能人やアスリートがお店に行って、さまざまなものを「爆買い」するという企画。今、なぜフジが相次ぎ放送しているのだろうか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

【写真】少し変わったスーツ姿を着こなす田中圭のかっこよすぎる全身姿

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 17日19時からフジテレビが特番『爆買いスター恩返し』を放送します。この特番は「芸能人が生まれ育った故郷を訪れ、自腹で爆買いして地元に恩返しする」というコンセプトの買い物ロケ企画。6回目の放送となる今回は、田中圭さんが東京都江東区の亀戸、石原良純さんが神奈川県の逗子で爆買いするようです。

 気になるのは、フジテレビが6日前の11日夜にも爆買い企画を放送していたこと。『ジャンクSPORTS 3時間SP』のメインコーナーとしてアスリートの爆買い企画を放送していたのです。土日のゴールデンタイムに2週連続で似た特番を放送すること自体、異例であり、しかも爆買いという企画であることに驚かされました。

『爆買いスター恩返し』は、これまで2019年12月、2020年3月、10月、2021年1月、4月と、およそ3か月に1度程度のハイペースで放送。一方、『ジャンクSPORTS』の爆買い企画は、「この2か月間で5回」という、それを上回るハイペースで放送されています。

 さらにフジテレビは7月1日にも『ピッタリお買い物!100万円カート』という爆買いがテーマの特番を放送。また、レギュラー番組の『ウワサのお客さま』でも頻繁に爆買い企画が放送されています。

 なぜコロナ禍で買い物どころか、外出もはばかられる状況下の中、フジテレビは爆買い企画を放送しているのでしょうか。

YouTuberの爆買いで若年層も身近に

 中国人観光客による「爆買い」というフレーズが、「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれたのは、今から6年前の2015年。しかし、翌年に爆買いブームが終わったことで、テレビ番組でフィーチャーされる機会が減り、主に新年や年末などの特別な時期に放送される程度に留まっていました。

 ただこのところ、人気ユーチューバーを中心に爆買い動画が定番化。実際、YouTubeの「#爆買い」には1900本超もの動画があり、若年層にも企画そのものが浸透しています。フジテレビにとってスポンサー受けのいい若年層は、今最も重視したいターゲット層。立て続けの放送は、「彼らにとってなじみのある爆買い企画を見てもらおう」という狙いによるものでしょう。

もちろんテレビ番組はYouTube動画のように、ただ爆買いするだけでは成立しません。「地元に恩返し」「アスリートを応援する」「100万円ピッタリを目指す」などの構成にすることで視聴者を楽しませ、幅広い視聴者層に見てもらおうと工夫しています。

 また、爆買い企画は「番宣につなげやすい」のもメリットの1つ。俳優のドラマ・映画・舞台、アーティストのライブやリリース、アスリートの試合や中継番組など、当事者を呼んで「爆買いしてもらえたら番宣してもOK」という免罪符を与えて盛り上がることができます。事実、『爆買いスター恩返し』はドラマ『ナイト・ドクター』、『ジャンクSPORTS 3時間SP』は東京オリンピック中継の番宣になっていることからも、その有効性がわかるでしょう。

裏番組との「負け戦」を担う爆買い

 もう1つ特徴的なのは、フジテレビの爆買い企画が裏番組との戦いが厳しい時間帯を担っていること。

『爆買いスター恩返し』は、昨年10月3日が土曜18時30分~21時の放送で、裏番組にはTBSの『オールスター感謝祭』や、日本テレビの『I LOVE みんなのどうぶつ園初回2時間SP』という強敵がいました。

また、今年1月10日と4月18日は日曜19時~21時の放送で、日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』、テレビ朝日の『ポツンと一軒家』、NHKの大河ドラマがある最激戦区。実際この3回の視聴率は、個人3~5%台、世帯5~8%に留まり、同時間帯で主要局最下位というケースが目立ちます。

今回の17日も、TBSの『音楽の日』、日本テレビの『サッカーU-24日本代表VSU-24スペイン代表』、テレビ朝日の『プロ野球オールスターゲーム 第2戦』という大型特番があるだけに、『爆買いスター恩返し』は苦戦必至。フジテレビとしては、ある程度の「負け戦」を想定して編成しなければいけない時間帯であり、「厳しい中でも一定の結果を出せそうなコンテンツ」として爆買いが選ばれているのでしょう。

 フジテレビの爆買い企画と聞けば、現在でも『とんねるずのみなさんのおかげでした』の「〇〇を買う」シリーズや、「男気ジャンケン」シリーズを思い出す人も多いのではないでしょうか。

「高所得者のスターにふさわしい豪快な買い物は、嫉妬や批判を通り越して笑いを誘うエンターテインメントの1つ」として定番化させたのはフジテレビだけに、今後はさらに笑いを誘う爆買い企画が登場するかもしれません。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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