和製ファンタジーの金字塔的映画『天空の城ラピュタ』。私(中澤)は何度見返したか分からない。子供の頃から、スタジオジブリの中でも1番好きな作品である。できることなら聖地巡礼に行きたい。
しかしながら、モデルになったと言われている地は、イギリス・ウェールズなど遠い外国。簡単に行ける場所ではない。でも、ラピュタの世界観は味わってみたい! そこで私は和歌山県に飛んだ。
・日本のラピュタ島
和歌山県に友ヶ島という無人島がある。かつて、軍用の要塞施設として利用されたこの島。苔むした砲台跡などが、「実写版ラピュタ」と言われていることはファンには有名なスポットだ。
アクセスは加太の港から出航する船のみ。で、調べたところ、始発は9時で、帰りの船の最終便である16時30分まで4本の往復がある。
・朝一で着いた方が良い
ただ、休暇村紀州加太のスタッフブログを見ると気になる記載が。それは整理券についてである。第2便以降について、当日乗船整理券が配布されているが、1船につき定員100名なので繁忙期は早々に配布完了する場合があるという。夏ってまさに繁忙期では?
島はぐるっとじっくり歩くと4時間~5時間位かかると書いてるし、せっかくなので2021年オープンしたという常設カフェ「らぴゅカフェ」でのんびりもしたい。そう考えると、朝一で港に到着しておいた方がいい気がした。
・前日入り
加太は関西空港から電車で1時間ちょっとかかるので東京からの当日入りは厳しそう。だが、幸い、私の実家は加太から1時間くらいのところにある。これはまさに渡りに船というヤツではないだろうか。
というわけで、実家に泊まり、翌朝早く南海線で加太へと向かった。天気も、直射日光が痛いほど晴れていて絶好の冒険日和である。行こう、おばさん。父さんの行った道だ! 父さんは帰ってきたよ!
・蜃気楼の街
加太の駅に着いたのは9時48分。ここまで来ればもう大丈夫だろう。地図を見ても、港は歩いていける距離。万全とはこのことか。
それにしても、なかなか味のある街並みだ。商店の軒先で無造作に貝が売られていたり、昔ながらの港街の雰囲気が郷愁を誘う。陽炎が立ち上る暑さも手伝って、まるで、蜃気楼にでも迷い込んだかのようだ。
・船着き場
10分くらい歩いたら、そんな街を抜け海沿いに出た。と、同時くらいに「友ヶ島汽船」の看板を発見。
なんとなく歩いていくと船着き場と思われる場所にたどり着いた。全くウェルカム感のない入口に、観光ではないガチ港のオーラを感じずにはいられない。
道も迷うほど何本もあるわけではないので確実にここなのだが、入ろうか迷うレベル。まあ、入るんだけどさ。
そして、入っていくと、作業場みたいな無骨な建物に「友ヶ島汽船船乗場」の看板が。やはりここで間違いないようだ。
影で何かを修理していた男たちがこちらをチラ見する。えッ、ひょっとして入っちゃダメだった?
一瞬不安になったが、ダメだったら目が合った時にダメって言うだろう。というわけで、奥に進んでいったところ、乗船券売り場があった!
やはりここで間違いないようだ。時間はまだ10時10分。待ってる客もおじさん1人と家族1組だけ。明らかに100人はいない。
・衝撃
やった! 友ヶ島ってどれくらいラピュタなんだろう? いや、その前に船に乗るのも久しぶりだ。楽しみー! ワクワク。あれが乗る船か……って、ほげえええええええええ!?
欠航してるゥゥゥウウウ!
看板によると理由は天候不良らしい。ってこんなに晴れてるのに!? あ! そうか、これ昨日のヤツじゃね?
そこで通りがかりのスタッフさんに聞いてみたところ、全便欠航は間違いなく本日のことなのだそうな。ここは晴れているが、台風の影響で沖合にうねりが出ているのだという。
時期的に見て台風5号だが、グアム辺りから北西に上がって九州をかすめた進路で、当然和歌山からは遠く離れているのに全便欠航になるとは。なんて繊細な運行状況なんだ。
・リアル
思わずベンチに座り込んでしまった。ああ、そうか。この家族連れもおじさんも待ってたんじゃなくて、力が抜けて動けなかったんだ。
というわけで、原作では竜の巣の中にあるラピュタ。現実でも嵐に阻まれてしまったのであった。そんなリアルさはいらんねん! バルスーッ!!
・注意
なお、スタッフさんいわく、こういった欠航が決まるのは当日の様子を見てなのだそうな。大体は7時くらいに公式サイトで発表されることが多いというから、友ヶ島に行く時は船が運航しているかどうか要注意。まず、公式サイトをチェックすることをオススメしたい。くぅ~!