日本電気(NEC)、味の素ファンデーション、シスメックスの3社は5月27日、とガーナ共和国における母子の保健と栄養の改善のための共創プロジェクトを開始すると発表した。
同本プロジェクトは、2019年8月の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の際に提唱された「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)拡大とアフリカ健康構想(AfHWIN)」の実現に向けて、日本とガーナ間で締結された協力覚書に沿って実施。
同構想の具体的な事業として、両国の官民および、民間の連携を推進し、ガーナの母子の保健と栄養の改善を目指す。
日本からは、NECと味の素ファンデーション、シスメックスの3社が参画。ガーナからは、KOKO Plus Foundation(NGO)とSysmex West and Central Africa(シスメックスのガーナ現地法人)が参画する。
ガーナでは、国民の死亡・障害を引き起こす最大の危険因子として栄養失調および、死因の1位とされているマラリアが、深刻な保健課題となっている。
栄養失調は、胎児・乳幼児の身体と脳の成長を遅らせる発育阻害の要因となる上、マラリアの重症化リスクを高める貧血も引き起こす。さらに、5歳未満の乳幼児や妊婦はマラリアによる健康被害が特に大きいため、栄養・貧血・マラリアの課題を同時に考える統合的なアプローチが求められている。
国連世界食糧計画(WFP)と味の素ファンデーションは、2019年からの2年間、母子栄養改善に取り組んでいた。具体的には、ガーナ政府保健機関(Ghana Health Service:GHS)との協働により、母親の行動変容促進と栄養改善の解決策として、栄養サプリメント「KOKO Plus」を推奨するなどの活動を実施した。
同プロジェクトでは、それらの活動をさらに発展させ、質の高い検査と日本発のICTを組み合わせることによって、母子栄養改善に向けた活動を実施。さらには、ガーナ母子の健康、持続的かつ安定的な経済成長の促進に貢献する仕組み構築を目指す。
同社では、健康診断および、栄養指導のためのアプリケーションを開発するという。また、保健所スタッフが同アプリケーションを活用してガーナ母子へ健康診断および、栄養指導を行い、「KOKO Plus」摂取やシスメックス検査機器のある病院での追加検査の推奨といった母子の行動変容を促進するための支援。さらには、保健所スタッフへのタブレット提供および、トレーニングを担当する。
味の素ファンデーションとKOKO Plus Foundationは、WFPとの連携、プロジェクト全体のマネジメントを担当。GHSと連携した、保健所のスタッフ向けの研修実施による保健・栄養指導能力の向上や、保健所周辺における栄養サプリメント「KOKO Plus」のサプライチェーン構築を担当する。
また、過去十数年のガーナにおける経験やネットワークをプラットフォームとして提供するという。
シスメックスとSysmex West and Central Africaは、GHSの指定医療機関へのマラリア診断装置導入による検査の質とアクセスの向上を促進。さらには、貧血・栄養失調・マラリアの早期発見・早期治療につながる医療従事者(臨床検査技師、臨床医)に対する人材育成、学術シンポジウムなどを通じた啓発活動を実施する。
加えて、GHSやNational Malaria Control Programme(ガーナ国内のマラリア対策を行うGHS内の組織)と連携していく。
同社によると、2022年8月にチュニジアにて開催される第8回アフリカ開発会議(TICAD8)において、活動事例として世界に発信。アフリカの母子保健の改善に向けた民間による活動の後押しとなるよう推進していくという。
なお、同プロジェクトは、SDGsのゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」を実践しながら、ゴール2「飢餓をゼロに」および、ゴール3「すべての人に健康と福祉を」のターゲット達成を目指す。