「リモートワークのよくある失敗」から抜け出し自律的に成果を上げられる人材になるために
コロナ禍をきっかけに、多くの企業がリモートワーク導入を検討することになり、実際に導入した企業は少なくありません。結果として、うまく導入できた企業もあれば、うまくできていない企業もあるでしょう。
ただこの先、たとえコロナが収束しても、まったく以前と同じ状態に戻るということはないように思います。多くの企業や働く人にとって、リモートワークは働き方の1つの選択肢として残り続けることになるでしょう。
これまで、私は職業柄、リモートワークに取り組む多くの方々から悩みを聞く機会がありました。そんななか、次のようなことを耳にするのです。
顔が見えなくても、しかたがない…
会議がやりにくくても、しかたがない…
チームに一体感がなくても、しかたがない…
声が掛けにくくても、しかたがない…
レスポンスが返ってこなくても、しかたがない…
こんな諦めや妥協ともいえるような声が、リモートワークを始めたばかりの企業だけではなく、リモートワークを1年以上続けている企業からも出てきました。これらは、「リモートワークのよくある失敗」にはまっているケースです。当然こんな状態では成果など上げられるはずもありません。
一方、リモートでもチームワークを生かして成果を上げているチームや企業があります。そうしたチームや企業に共通するのは、企業側における制度や環境などの整備はもちろんですが、働く個々人がリモートワークに適したスキルや考え方を持っているという点です。
そこで書籍『テレビ会議で顔を出せ! リモートワークの新常識45』では、リモートで働きながらも、オフィスワーク以上に成果を上げるための、リモートワークに取り組む「個人」が身につけておくべき考え方やスキル、ツールの使い方などを45個のポイントにまとめました。
本書は、会社がリモートワーク導入に踏み切ったものの、自分は働き方をどう変えればいいのか迷っている人や、これからリモートワーク前提の企業で働くとき、自分はいったいどうすればいいのか悩んでいる人を対象にしています。
リモートワークには、自律的に考えて行動する「セルフマネジメント」が欠かせません。セルフマネジメントとは、その名のとおり、自分自身をマネジメントすることです。オフィスに出社すれば、上司や同僚がいて、お互いに「働いている」ことが明白にわかりました。それがリモートワークになって働く様子が見えなくなることで、上司は心配になるし、もしかしたら監視までしようとするかもしれません。しかし、それではモチベーションを保てません。
その点、セルフマネジメントができていれば、仕事の進捗を自分自身で上手に上司に伝えることで、信頼関係を築くことができます。同僚とのオンラインによるコミュニケーションでもチームワークを発揮できるでしょう。
そのためのコツの1つは、テレビ会議で顔を出すこと。人間同士のコミュニケーションには、音声だけではなく、表情から伝わる情報が多量にあります。それを欠かして信頼関係は築けません。セルフマネジメントのコツは、このほかにもたくさんあります。セルフマネジメントを身につければ、リモートワークに限らず、多くの場面で活躍できる人材になることができるでしょう。
書籍『テレビ会議で顔を出せ! リモートワークの新常識45』には、リモートワークを10年以上も続けてきて、本当に効果があったノウハウを整理して詰め込みました。そこから真似できることは試し、合わなければサクッとやめ、そしてまた新たなことを試していってください。
働き方に正解はありませんが、そういった試行錯誤を繰り返していくこと。それが習慣になれば、きっとリモートワークでも成果を上げられる人になるでしょう。本書が、そのための一助になれば幸いです。
※この記事は、書籍『テレビ会議で顔を出せ! リモートワークの新常識45』(リモートワーク研究所所長 八角嘉紘 著/リモートワーク研究所顧問 倉貫義人 監修/株式会社インプレス 発行)より、内容の一部を抜粋・再構成してお届けするものです。
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本書は、コロナ前から全社リモートワークを実践し、リモートワークに関する知見を10年以上に渡って貯めてきたリモートワーク研究所のノウハウに、コロナを経てさまざまな会社のリモートワーク相談に著者が応えていくなかでブラッシュアップを重ね、まとめられたニューノーマル時代の働き方マニュアルです。オフィスワークのイメージがなく、参考になるモデルがない新社会人の方は、ぜひ本書を使って、新しい時代の働き方を、素早く身に付けみてはいかがでしょうか。
著者:八角 嘉紘(ほすみ よしひろ)
大手コンサルティング会社で事業推進に関するコンサルティングを経験。現在はリモートワーク研究所所長、「仮想オフィス」のプロダクト責任者を務めている。全社員リモートワークで事業運営を行いながらも成果を上げてきたノウハウを、広く世の中に提供する活動をしている。千葉県成田市にてリモートワーク中。
監修者:倉貫 義人(くらぬき よしひと)
リモートワーク研究所顧問。大手SIerにて経験を積んだのち、社内ベンチャーを立ち上げる。2011年にMBOを行い、株式会社ソニックガーデンを設立。月額定額&成果契約で顧問サービスを提供する「納品のない受託開発」を展開。全社員リモートワーク、オフィスの撤廃、管理のない会社経営など新しい取り組みも行っている。著書に『ザッソウ-結果を出すチームの習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)、『管理ゼロで成果はあがる』(技術評論社)、『「納品」をなくせばうまくいく』(日本実業出版社)などがある。