夜、窓を見ると自分の顔が反射して外が見えない。
逆にあれをコントロールできたら景色の上に自分の顔を浮かせることができるんじゃないか。
そう、まるでポールモーリアのようにだ。
1ヶ月に及ぶ試行錯誤をお読みください。
ムーディに透けてることをポールモーリアと呼んでいます
僕がポールモーリアと呼んでいるのはこういう写真のことだ。
ポールモーリアのCDジャケットはこのデザインが多い。色づいた樹々やオーケストラのうえにうっとりとしたポールモーリアが透けている。
(ポールモーリアは1960~80年代に人気があったイージーリスニングの作曲家)
これをポールモーリアと呼んで、過去にはこの構図をアナログで撮るための鏡を作ったり、それを見た読者がアプリを作ってくれたりした。
それでもまだポールモーリアになる方法を考えている。
Photoshop などの画像加工ソフトを使えばすぐにできるのだが、あくまでもアナログに撮ることにこだわりたい。なぜなら、そのほうがおもしろいからだ。
ここから先はポールモーリアを大音量で聞きながらお読みください。
きっかけはスクランブルスクエア
渋谷の高層ビル、スクランブルスクエアの展望フロアの年間パスを買って何度も登っている。
もしポールモーリアがこの夜景を見たら、ここに自分の顔を浮かべたいと思うだろう。OKポール、その思いは僕が叶えよう。
きかんしゃトーマス惑星衝突みたいになってしまった。これは違う。ポールモーリアのロマンが溢れていない。
後ろを見るとデジタルサイネージがあった。
………!
このモニターに僕の顔が映っていればポールモーリアになるな…。
モニターに僕の顔を出してもらうようにお願いするか…。いや、自分でモニターを持ち込んでしまえばいいんじゃない?
ノートパソコンでポールモーリア計画
ノートPCに自分の顔を映す。それをガラスに反射させて撮るのだ。
展望フロアで仕事をする体でノートパソコンを持っていった。展望フロアにはテーブルもあるのでマックブックを開いている人もいる。もしかしたらポールモーリア仲間かもしれない。
中央やや左寄りに見える白い丸が僕の顔である。想定通り反射している。思ったより小さいが、撮影でなんとかしたい。
滲んでいる。なんどもピントを合わせようとしても合わない。原因はガラスにあった。46階のガラスは多重ガラスになっていたのだ。
なんて安全なビル!ポールモーリアにはならないが安心である。
四人ポールモーリアのようなプログレは望んでない。普通のポールモーリアになりたい。
むしろ普通のビルのほうがポールモーリアにむいているのかも
同じことを事務所のビルで試すことにした。デイリーポータルZの運営元、東急メディア・コミュニケーションズが入るビルは9階建て。ガラスは4重ではないだろう。
ノートパソコン、スマホ、ガラスと一般的な道具だけでポールモーリアが現れた。このやりかただと予め用意した写真だけだが、パソコンにカメラを繋げばリアルタイムにポールモーリアの表情を変えられる。
いや、いっそのこと、顔そのものを光らせればいいんじゃないだろうか。
幸いなことに顔を光らせる装置はBigFaceBoxで制作済みだ。
生顔ポールモーリア
顔を女優ライトのようなもので照らし、それを反射させてポールモーリアになろう。
実験するのは再びスクランブルスクエア46階の展望フロア SKY GALLERYだ。なんども登場しているので正式名称を書いた。
モニターよりも顔が大きく反射してくれるのでモーリア感が増している。
やはり顔は多重ガラスのため滲んでしまうが、むしろそのおかげでソフトフォーカスになりポールモーリアっぽさを醸し出している。
カメラのモニターを見ると伏せ目がちになってしまうし、なかなか撮るのが難しい。この先の改善点はハンズフリー化だろう。
最後のポールモーリア
ハンズフリーにするためにLEDを太めの針金に貼り付けた。これを首に掛ければ両手が空く。転んでも手をつける。
この針金部分は首掛けタイプのフェイスガードを流用している。面白そうだったので買ったのだが、フェイスガードは意味ないということになって家に放置してあった。(この商品)
これでハンズフリーでポールモーリアが撮れる。
場所は弊社の会議室。1枚ガラスでピントも合う場所だ。なんの問題もない。ポールモーリアへの旅が終わりに近づいている寂しさを感じつつ、ガラスに向かう。
写真を撮ろう。
ポールモーリアはこんな表情はしないが、ハンズフリーでピントがきっちり決まったことに笑みが溢れる。
スクランブルスクエア46階からの景色ではないけど、渋谷駅南口のほどよい寂しさと落ち着きがいい味を出している。
これが僕なりのポールモーリアだ。
外から見たポールモーリア
このとき編集部 石川が会社にいた。ポールモーリアになっていることを説明すると(分かってくれたかどうかは不明)、帰り際に外から撮ってくれるという。
僕はいまロマンあふれるポールモーリアだが、外からその様子も見てみたい。1時間後、ギガファイル便で送られてきた写真がこれだった。
[embedded content]
オフィスビルに1ヶ所だけ光の温度が違うところがある。そこにポールモーリアがいる。
優雅な白鳥は水面の下では必死に水をかいているという。つまり、裏から見たポールモーリアもそういうことではないだろうか。
まとめは曲を聞きながらどうぞ
PDCAのPはポールモーリア
今回の試みを振り返ってみるとPDCAとしか言いようがない。
考え、試作、写真を見て課題洗い出し、改善。1ヶ月の間にぐるぐるまわした。もちろんこの場合のPはポールモーリアだ。
Paul,Do,Check,Action。
それが僕のPDCAである。