今回の書評は、帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)(著)「花散る里の病棟」です。
この小説は、福岡県で四代に渡って町医者を続けている野北(のぎた)家の物語です。短編10話のオムニバス形式で、小説新潮に2012年から2021年までの10年間に掲載されたエピソードをその掲載順番通りにまとめたものなので、時代が行き来しています。その時代時代に添った福岡(と戦時中のフィリピン)での町医者と患者のエピソードに心を打たれました。
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そう、主人公は僕と同姓の野北(のぎた)なのです!野北姓は非常に珍しく、おそらく福岡県の英彦山にそのルーツがあります。僕は、自己紹介するとよく「のび太」さんですか?と訊かれます。
英彦山の亡き祖父から聞いた「野北」姓の由来は、源平合戦の壇ノ浦の合戦まで歴史が遡ります。祖先はもともと京都の北野という名前の平家方の武将だったそうで、壇ノ浦の合戦で平家が負けた時に英彦山の山奥に逃げ込んだそうです。源氏の追手を逃れるために名字を変える必要があったので、北野の「北」と「野」をひっくり返して、「野北」として、「のぎた」と読めば、漢字は残せるということで「野北」姓となった。と酔った祖父が教えてくれたことを思い出します。
本書を読んだ後、北九州にいる実家の父親に尋ねたところ、「野北姓の遠い親戚に医者の家系があって、いまでも代々続いている。」とのことで、本書の主人公たちは、もちろん小説なのでフィクションでしょうが、かなりの部分を僕の遠い親戚の方々を題材としていると思えます。
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動画のノギタ教授は、豪州クイーンズランド大学・機械鉱山工学部内の日本スペリア電子材料製造研究センター(NS CMEM)で教授・センター長を務めています。