プーチン氏の増長を招いた安倍氏 – 野田佳彦

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  紛争は平和的に解決し、力による現状変更の試みは許さない。これは国際秩序を守るための鉄則だと思います。2014年3月、ロシアはそれを踏みにじり、ウクライナ南部のクリミアを併合しました。

 その2年後の2016年5月、当時の安倍総理は何事もなかったかのように、ロシアのプーチン大統領に対して8項目の経済協力プランを提示しました。不心得者を断ずるのではなく、逆に「ウラジミール」「シンゾー」などと親和性をアピールしたことは、今日のプーチンの増長を招いたと思います。

 2016年9月、世耕弘成・経済産業大臣が「ロシア経済分野協力担当大臣」に併せて任命されました。以来、経産大臣が同大臣を兼務するようになり、現在は萩生田光一・経産大臣がロシア経済分野協力担当大臣を兼ねています。

 そもそも特定の国との経済協力を担当する大臣を置くこと自体が奇異です。加えてウクライナを侵略したロシアに対して、日本も含めて国際社会が厳しい経済・金融制裁を科している時ですから、恥ずべき大臣ポストは廃止すべきです。

 しかも、ロシアは3月8日、対ロシア制裁に参加している日本も含む48の国・地域(台湾)を「非友好国」に指定しました。それにもかかわらず、岸田総理は大臣ポストの廃止に慎重です。安倍元総理への遠慮が煮え切らない対応の原因なのでしょうか。

 岸田総理が唱える「新時代リアリズム外交」とは、安倍元総理が掲げた「戦後外交の総決算」を総決算することから始めるべきです。少なくとも、対ロシア外交はリセットが必要です。

 2022年度予算にも、「ロシア・中央アジア地域等貿易投資促進事業」などとして約21億円が計上されています。すなわち、予算上は安倍・プーチンの約束がまだ生きているということです。林芳正・外務大臣は8項目の経済協力について、「進めていく状況ではない」と言っていましたが、ならば約21億円を減額修正すべきです。むしろ、ウクライナ緊急人道支援に充当すべきでしょう。

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