電波を流すパイプ「導波管 」柔らかくしちゃいました

予想外の技術がボトルネックを打ち破る。アツい展開です。

導波管(どうはかん)という金属製のパイプをご存知ですか? これは電波(マイクロ波)を通すための通路のようなもので、電波をアンテナに導いたり、最近ではBeyond5Gなどの高速無線通信などに活用されています。

似た用途に同軸ケーブル(テレビのアンテナ線とかに使われるケーブル)があります。同軸ケーブルは電線を通る電気で信号を送りますが、導波管は中心が空洞のため電気抵抗でエネルギーが失われることがほぼない、高い周波数帯の伝送が可能などのメリットがある。例えば3GHz以下は同軸ケーブル、9GHzでは導波管といった使い分けがされています。

なんでこんな話をしたかというと、この導波管は金属でできているため曲げることが困難でした。USBケーブルのような柔軟さはもっていなかったわけですね。

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そんな常識を打ち破ったのが、福井県の織物会社である米澤物産。古くから伝わる織物の技術が、不可能を可能にしたのです。僕は導波管には詳しくありませんが、ここにロマンを感じましたよ…!

組紐技術が実現した、新たな導電体

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まず、こちらが従来の導波管(一般的な方形導波管)。見ての通りの金属製で、柔軟な施工は難しいとされていました。しかし…。

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上に見えるケーブル状のものは、米澤物産が開発した「フレキシブル導波管」。方形導波管と同等の性質をもちながら、ここまでふにゃふにゃにできちゃったのです。可とう性(しなやかになる性質のこと)をもった導波管としては世界初なんだそう。

実現のきっかけは、米澤物産がもつ繊維の技術。芯材に誘電損失の小さい誘電体を配置し、外側には薄い金属層と樹脂フィルムをスリットした平箔糸を組紐構造で配置。これにより曲げてもシワにならず、かつ電波も通すケーブルとして形成することができたわけです。

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従来は金属のパイプ状だったものが、扱いやすいケーブル状として作ることができた。それも、金属からは遠いであろう繊維の技術を用いることで。こういうの、ロマンすぎやしませんか…!?

現在、フレキシブル導波管は研究段階ですが、従来は施工が難しかった環境での高速通信利用が期待されています。通信インフラや高周波数機器内などの伝送性能が向上すれば、来たるべき大規模通信時代も万全に迎えられるはず。未来の実現って、こういうところから進むんだろうなぁ。

Source: CEATEC 2024

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