オミクロン株の感染が沖縄県、山口県、広島県で広がり、岸田首相はまん延防止措置を適用することを表明しました。これは米軍基地と無関係とは思えません。沖縄県の玉城知事は記者会見で「日米地位協定で検疫も入国審査もできない」と批判しました。
玉城知事が異例の臨時会見。国立感染研が米軍基地従業員らと同じオミクロン株のゲノム系統を確認。米軍関係者は日米地位協定に基づき日本側の検疫対象になっていない。クラスターが判明しているキャンプハンセンは、外務省が約半数をオミクロン株と発表したが、人数は非公表。 https://t.co/oHASkDTgq9
— 西村ちなみ 立憲民主党(りっけん) (@chinami_niigata) January 2, 2022
オミクロンをきっかけに、ほとんどの人に知られていない日米地位協定が話題になっています。
#東京新聞 編集日誌 在日米軍基地を巡っては米側の特権的地位を定めた地位協定や、感染症関連の情報共有を定めた日米合同委員会合意の抜本的見直しが必要です。ただ、現行の合意においても 日本政府は感染症対策での整合性や情報の提供を米側に強く求められるはずです。(浩) https://t.co/S1F8Vr31ZZ pic.twitter.com/VMzwiPN7ig
— 東京新聞編集局 (@tokyonewsroom) January 5, 2022
日米同盟の廃止を掲げる共産党は張り切っています。
沖縄のコロナ急拡大。デニー知事「米軍からの染み出し」「激しい怒り」と。
日米地位協定では、米軍関係者は水際対策の規制の対象外。20年7月、日本側の規制を米側が「自主的」に実施する合意が交わされたが、守られなかった。この種の合意を米軍は守ったためしがない。#日米地位協定の抜本改正を— 志位和夫 (@shiikazuo) January 6, 2022
左翼だけでなく、右翼からも批判が出ています。
前に指摘したが、米軍関係者の感染状況は落ち着くどころか拡大している。沖縄・岩国では米兵を含め感染者が急増。日米地位協定が入国審査・検査を妨げている。外国人新規入国停止の措置も、米兵が野放しなら台無しだ。日米合同委員会の平成8年合意も改め、地位協定を改定してこの無主権状態を改めよ。
— 一水会 (@issuikai_jp) January 5, 2022
しかし岸田首相は「地位協定は改正しない」と明言しています。
岸田首相「日米地位協定改定せず」https://t.co/4OPLbTMrPY
米軍基地で感染拡大している状況について、岸田首相は「米側の感染ルートや原因を確認するのが大事だ。日米で意思疎通を図って、現実的に最善の対応を考えていく」。#新型コロナウイルス
— 毎日新聞 (@mainichi) January 6, 2022
これは憲法改正の問題に飛び火するからです。
憲法を変えたいが日米地位協定は変えたくない勢力が問題なのか。それとも、アメリカの地位協定は数多あれど日米地位協定だけ変わらないのは自衛隊が米軍と法的に対等な関係になることを拒む9条2項のせいであると気付かない勢力が問題なのか。僕は後者だと思います。
— 伊勢崎賢治 (@isezakikenji) January 7, 2022
地位協定を改正しなくても、日米合同委員会で解決できるという外交の専門家もいます。
沖縄の米軍基地コロナウイルスクラスターについて地位協定の改訂を求める声があるが、感染拡大防止は地位協定以前の問題。東京で在日米軍と外務省の日米合同委員会を開き、拡大防止の具体策を申し合わせることで、十分実効的施策がとられるはずだ。
— 田中 均 (Hitoshi Tanaka) (@TanakaDiplomat) January 4, 2022
しかしこの日米合同委員会こそ、地位協定にからむ密約の元凶ではないでしょうか。
日米地位協定は安保条約の付属協定ではなく、日米同盟のコア。これは日米関係の恥部なので、日米合同委員会の「合意議事録」でなし崩しに「解釈改正」されてきた。地位協定を改正することは憲法改正より重要。https://t.co/32X3xL1Owd
— 池田信夫 (@ikedanob) January 7, 2022
これは日米同盟の根幹をゆるがす大問題なので、岸田首相には無理だと思いますが、今まで密約だらけで中身の見えなかった地位協定という「パンドラの箱」が、オミクロンで開くかもしれません。