動物が原因でヒトが病気になることがありますが、新たな研究結果によると、実はヒトから動物にウイルスを広めているほうが多いようなのです。
これは、動物を触る前には徹底的に手を洗ったり、体調が悪かったら動物との接触を控えたりするべきという単純なことではなく、ウイルスの進化や変化を通して新たな脅威を生む可能性を孕んでいるようだと、IFLSが伝えました。
ヒト由来の感染症は意外なほど多かった
動物由来感染症(人獣共通感染症)はたくさんあって、豚インフルエンザやエボラ、エキノコックスなんかも有名です。あの世界的パンデミックで多大なる被害を出した新型コロナウイルスも野生コウモリ由来だと考えられていますよね。
そこで、将来的なウイルスのアウトブレイクに備えるために、32ウイルス科のうち約1200万ものウイルスゲノムを分析したところ、ホストジャンプ(遠縁な種に宿主を転換すること)した599例のウイルスのうち、実に64%がヒトから動物に対して行なわれていることがわかったそうです。
これは、動物からヒトへの感染の約2倍なんだとか。
変異が起こりやすくなる?
ヒトから動物にウイルスが感染すると、動物の健康や種の保全に影響が出るだけではありません。ヒトから家畜へと感染が広がったら、食料供給にも影響が出るかもしれません。
それに、ウイルスがヒトの間で根絶されたと思っても、実は動物のなかで生き続けて進化を遂げ、再びヒトに感染する可能性も否定できないわけです。
研究では、ウイルスがホストジャンプすると変異が増える傾向があると明らかになっています。もともと多くの種に感染できるウイルスではこの傾向は弱いようですが。
研究の筆頭著者であるセドリック・タン氏は
ウイルスがなぜどのようにして進化し、数多の生命の中から異なる宿主にホストジャンプするのかを理解することで、どうやって新たなウイルス感染症がヒトや動物に出現するのかを解明する助けになるかもしれません。
と話しています。
ウイルスが動物の中で変異して再びヒトに襲いかかるかも…、そんな可能性を想像したらゾッとしました。コロナのときに飼いネコに感染させちゃまずいと気を遣っていましたが、どの動物に対しても気をつけたほうがいいのでしょうね。
Source: IFLS