鉄道車両の車輪にはぱっと見ても気づきにくい工夫が凝らされている

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鉄道車両に用いられている車輪は、レールの内側にフランジと呼ばれる出っ張りがあり脱線を防いでいます。しかし、カーブを曲がるときには、単に平らな車輪の内側にフランジをつけただけでは曲がれないため、一工夫が凝らされています。

Train Tracks – how trains go round corners | Experiments | Naked Scientists
https://www.thenakedscientists.com/get-naked/experiments/train-tracks-how-trains-go-round-corners

科学サイト・Naked Scientistsが、実際に車輪にどういう工夫がなされているかを、レールに見立てた2本のパイプやチューブと、車輪に見立てたカップを用いて簡単に見せてくれています。

カップのうち、底をつなげたものはこんな形になります。


一方、飲み口をつなげたものはこんな形になります。


あとは、カーブしたレールの上を転がすだけ。なんの工夫もないペットボトルを転がすと、まっすぐ転がっていってカーブで脱線します。


次に、底同士を連結したカップを転がすと、左カーブなのに右側に脱線してしまいました。


飲み口をつなげたカップだと……


うまくカーブに沿って転がりました。


こうした事態が発生する理由は「カーブは外側の方が内側より距離が長い」ためです。


解決方法の1つは「より長距離を走ることになる外側の車輪を早く走らせる」です。自動車は差動装置(デファレンシャルギア)を搭載し、この方法を採用しています。

もう1つは、「外側の車輪そのものを大きくする」です。以下の図はかなり誇張されたもので、このままでは直線を走ることができませんが、鉄道が採用したのはこの方法でした。


鉄道の車輪は先ほど出てきた飲み口をつなげたカップのような形状になっています。たとえば、右にカーブするとき、車輪は進行方向のレールの左側に寄るため、左側の車輪のほうが右側の車輪より接地面積が多くなって「車輪が大きくなる」ことで、スムーズにカーブを曲がることができる、というわけです。


この仕組みは直線走行時にも役立っています。鉄道車両の左右の車輪は車軸でつながっているので、なにかの弾みで車輪がどちらかにズレてしまっても、接地面積が大きくなった側の車輪がより高速で回転して反対側に曲がろうとする力が生まれるので、自然に元の状態に戻ります。


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