遺伝子治療をはじめとするバイオテクノロジーは驚異的なスピードで進歩しており、以前は治療不可能だった病気の治療法を生み出したり、バクテリアを用いてインスリンを生成したりすることが可能です。しかし、使い方を誤るとバイオテクノロジーは人類に壊滅的な打撃を与えることがあります。そんなバイオテクノロジーについて、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが解説しています。
The Most Dangerous Weapon is NOT Nuclear – YouTube
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現代のバイオテクノロジーは衣服の素材や野菜、ペットなどさまざまな領域で浸透しています。
また、義手を脳と直結させるなどの技術開発も進められています。
さらに、遺伝子治療によって以前は治療不可能だった病気の治療法を生み出し、気候変動に耐えることができる食用の作物の開発も行われています。
生物学は日々その研究スピードが加速しており、新型コロナウイルスのパンデミックの際には、発生から数週間の内にウイルスの分析が行われ、遺伝子のコピーやワクチンの開発が開始されました。また、パンデミックの数カ月後にはワクチンの臨床試験が可能になりました。
10年前の生物学では考えられなかったこの進歩は、「高価だった研究費用が安価になり、研究のための知識が自由に広まった」ためだと考えられています。
1990年に始まったヒトゲノム計画は、人間のDNAを完全に読み取ろうとした最初の大規模な試みでした。
13年の歳月と30億ドル(約4300億円)もの費用をかけたヒトゲノム計画が完成版を公開した2003年の時点ではすでに、ヒトゲノム解析のコストは約1億ドル(約140億円)にまでにまで下がっていました。
現代では、ヒトゲノム解析にかかるコストはわずか1000万ドル(約14億円)だとされています。
以前はDNAをコンピューターデータに変換し、それを研究するためには、専門家が手作業で3年もの時間をかけて行っていました。しかし現代では2週間ほどの時間で自動でデータ化することが可能です。
かつてのバイオテクノロジー研究は世界トップクラスの専門家が所属する、資金力のある最高の研究所に限定されていましたが、現代では何十万人もの研究者が気軽に研究や開発を行えるようになりました。
また、研究のプロセスを加速させた別の要因は、研究分野の情報が広く自由に共有されるようになったことです。
バイオテクノロジーにおける最先端の発見は世界中の研究所に共有されて活用されるまでに、わずか1年しかかからないとされています。
研究開発のプロセスの加速によって、人間の命を救う新たな治療法や新たな作物、そして想像すらできない問題への解決策を生み出すことができます。
しかし、バイオテクノロジーの進歩は両極端で、人類に利益をもたらす場合もあれば、何百万人もの人々を死に至らしめる可能性も指摘されています。
最悪の場合、何億人もの人々を殺すようなバイオテクノロジーはどんな核兵器よりも危険な技術です。
新型コロナウイルスの発生の要因は明らかにされていませんが、我々は少なくとも700万人もの患者が死亡したパンデミックを目の当たりにしたばかりです。
現状の新型コロナウイルスは致死率が比較的低いウイルスですが、将来的に変化する可能性があります。また、バイオテクノロジーの研究に必要な費用の低下や情報共有の進歩によって、より感染力や致死率の高いウイルスの研究が容易になりました。
そんな中開発された、何百万人もの死者を出すことができる「スーパーバグ」のデータが共有されてウイルスが拡散されるのは時間の問題とのこと。
科学技術の進歩によって、兵器化したウイルスを誰でも簡単に作れる環境が整いつつあります。
解き放たれたスーパーバグは、世界中の大勢の人間を殺害し、文明全体に想像を絶するダメージを与えるとされています。
このような状況に対して、Kurzgesagtは原子力エネルギーの開発の環境が役に立つと語っています。
原子力エネルギーの研究開発に携わる人たちはその知識が悪用されて、核兵器に転用される危険性を常に認識していました。そこで、原子力分野への知識と技術へのアクセスには、細心の注意を払って取り扱いが行われています。基本的に研究者は核兵器を製造できるデータをインターネット上に公開することはありません。
バイオテクノロジーでも同じような方法で情報を扱うことが重要で、「危険なウイルスの正しい扱い方を熟知させること」「ウイルスの遺伝子データは、秘匿情報として扱うこと」「データの流出の防止」が求められています。
また、パンデミックが発生する前に、あらゆるウイルスを死滅させることができるような特殊なツールの開発を行うことが重要です。
さらに、ワクチンの流通速度を従来よりも加速させる必要があります。
これらを徹底することで、何百万人もの人間が死亡するような壊滅的なパンデミックを防ぐことが可能だとKurzgesagtは結論づけています。
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