深海生物料理にレッツチャレンジ。
先日、静岡まで深海鮫漁の取材にいってきた。
漁で捕れたサメやヌタウナギは、なかなか食べ物として認識しづらいものなのだが、漁師さんが「この鮫はフライやカルパッチョで最高!」とか、「ヌタウナギは韓国では高級食材!」とかいうので、少しもらってきてしまった。
とかいって、深海魚をもらう気マンマンでクーラーボックスを持って行ったんだけれどね!
せっかくなので、気合いを入れて料理してみたいと思います。
※深海生物を普通の食材として扱ったので、あえてモザイク無しでお送りします。
※2007年7月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
深海鮫とヌタウナギをもらってきた
今回もらってきたのは、水深200メートル以上の深さから引き上げられてきた「ヨロイザメ」と「ヌタウナギ」。
漁師さん曰く、このヨロイザメというのは、数ある深海鮫の中でも一番生で食べて美味しいサメだという話だ。それは生で食えということか。
ヌタウナギは滋養強壮にいいということで、夏バテ防止に最適らしいが、静岡までいってウナギじゃなくてヌタウナギって。まあウナギは近所で捕まえられるからね。
鮫の皮が固い
まずはヨロイザメから。取材に同行していただいたカメラマンさんと分けてもらってきたのだが、家に帰ってみたら結構な塊だった。
とりあえずこの硬い皮を剥がないと食べられないということで、表面のヌメリを落として、皮を引っ張って力ずくで剥ごうとしたのだが、これがもの凄く硬い。
さすがはヨロイザメ。名前に恥じない防御力。皮を持った手が擦れて痛い。
深海鮫がなかなかご家庭で食べられない理由がちょっとわかった気がする。それ以前にいろいろな問題があるような気もするが。
ちょっと重い写真が続いたので、ベランダ菜園の様子でリフレッシュしてください。
包丁で無理矢理皮を削ぐ
素手で皮を剥ぐのは無理そうなので、仕方なく三枚におろしてから、皮を包丁で削いでいくことにした。
普通、魚の皮を包丁で剥ごうとすると、途中で切れちゃうんじゃないかという心配がつきものだが、ヨロイザメに関しては、切ろうとしてもなかなか切れる皮ではないのでそこは安心。
皮に身がたくさんついてボロボロになってしまったけれど、どうにか皮を剥ぎおえた。
皮を剥いだ身はボロボロだが綺麗な白身で、皮目に赤く模様が入った様は、まるでタイやイサキのようだ。ムチムチした肉質が全然タイとは違うけれど。
中骨部分は軽く塩を振って、脱水シートに包んで冷蔵庫へ。
深海鮫のフライ
まず最初のサメ料理は、テレビ番組の収録で訪れた嶋大輔も絶賛したというサメフライから。ほら、生で美味しいサメといわれても、とりあえずは火を通した料理からいきたいじゃないですか。
サメの身をぶつ切りにして、強めに塩、胡椒をしておき、小麦粉、片栗粉、ビール、塩、胡椒でつくった衣をつけて、適温の油で揚げる。適温が何度かは初めて作る料理なので知らない。
サメから出る気泡が少なくなって、カラッと揚がったら「深海鮫のフライ」の完成。
サメフライ、うまい
サメフライ、できあがりの見た目が明らかにうまそう。揚げたてアツアツのところを躊躇無く食べてみる。
サクッとした衣の中には、魚のタラと鶏モモ肉の中間からさらにきめ細かくシットリモッチリさせたような上質のサメの身。うまい。
さすがはスクワランの材料となるサメだけあって、身にも今まで食べたことの無いような脂がうっすら含まれている。
予想されたサメ特有の変なクドさや臭みは全くない。
サメフライ、「サメにしては」とか、「イメージしていたよりは」とかいう前置き無しで、充分にうまいといえる一品だ。軽くレモン汁をかけたら最高。
これはもの凄いビールに合う。
深海鮫のカルパッチョ
サメの身が美味しいということがわかったところで、続けて作ったのが「深海鮫のカルパッチョ」。生食にチャレンジだ。
カルパッチョは漁師さんの一押しだったのだが、サメの料理法を聞いて、「カルパッチョ」という単語が返ってくるとは思わなかったぜ。
料理方法は簡単。皿にニンニクの断面を擦りつけて、薄切りにしたサメを並べ、塩、胡椒、オリーブオイルをタップリとかけ、刻んだバジルを散らしてみた。
漁師さんが「見た目はタイと変わらないよ」といっていたが、確かに知らないで出されたらタイと間違えそうな見た目。
レモン醤油をちょっとつけて食べてみたら、モチモチッとした筋肉質の食感が明らかにタイなんかとは違うのだが、クセがまったくなく、とてもサッパリとしている。
食べた瞬間に感じるうま味はそれほどないけれど、何枚も続けて食べていくことでだんだんとその深い味がわかってくるこの身のうま味は、きっと白身魚好きには堪らないだろう。
さすが深海魚。味も深いぜ。
サメ、どんな風に料理してもうまい
いただいたサメの量が結構あったので、フライやカルパッチョ以外にもいろいろと料理して食べ続けてみたのだが、そのクセのない筋肉質の白身は、どんな料理法でも美味しかった。
今回初めて深海鮫を料理して食べたのだけれど、少なくとも新鮮なヨロイザメは、臭みもなくとても美味しい食材だと言い切れる。
今回料理したのと同じサメが魚屋さんで売っていたら、100グラム150円くらいだったら喜んで買う。冷凍の怪しい魚よりも、深海の怪しい鮫だ。
さて続けて、サメよりもさらに難易度の高そうなヌタウナギを料理します。頑張って料理するから、頑張って最後まで読んでね。
ヌタウナギを捌く
ヌタウナギの料理法も漁師さんに聞いておいた。まず頭を目打ちで固定と、スタートはウナギと同じなのだが、そこから先がまったく違う。
目打ちで固定した首の周りの皮を一周くるっと切って、そこから尻尾側に引っ張って皮を剥くらしい。
結構簡単だった
この作業、うまくできるのか不安だったのだが、ヌタウナギは皮を脱がされるために生まれてきたのではと思えるような剥きやすさで、つるんと綺麗に剥けた。
ヌタウナギ、ウナギを捌くのよりよっぽど簡単。
下処理終了
皮を剥いたら、お腹を裂いて内臓を取り出す。軽く流水で洗ったら、ヌタウナギの下処理終了。
思ったより簡単で、ものの数分でできてしまった。
ヌタウナギ、皮を剥いたら、なんだかヘビみたいになった。特に臭みもなく、これは美味しそうな予感がする。
※ヘビは料理したことありません。
今度、誰かにヘビ料理だと騙して食べさせてみよう。でもヘビとヌタウナギだと、どっちもどっちなので騙す意味があまりないかな。
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下味を付ける
ヌタウナギは中骨が軟骨なので、骨ごとぶつ切りにする。
韓国では濃い味付けで炒めて食べられているらしいので、コチュジャンをベースに、ニンニク、ショウガ、醤油、豆板醤、日本酒、紹興酒、ごま油で適当に作った漬けダレに数時間漬け込んでみた。この料理法が正しいのかは知らない。
野菜と炒める
中華鍋を熱くしてごま油をひき、そこにヌタウナギを漬けダレごと入れて、ネギ、ピーマンと一緒に強火で一気に炒める。
中華鍋からフワッと大陸の風が吹いてきた気がする。
できたてのヌタウナギの炒め物を食べてみる。弾力のあるコリッとした歯ごたえは、明らかに魚介類という感じじゃない。どちらかというと見た目通りの豚内臓系。
肉質は運動をしすぎた地鶏のような超筋肉質。筋繊維一本一本が太い。
味もしっかりとした下味のおかげか、エグみや臭みは一切なし。これはハッキリいって好みの味。店のメニューにあったら是非頼みたい。
深海鮫もヌタウナギもおいしいので、みんなも魚屋さんで見かけたら買ってみるといいと思います。
流通していない食材は楽しい
普通のサメやウナギなら多少は料理したことがあったが、深海鮫にヌタウナギはまるっきり初めて。どっちもとても美味しかった。こういう流通に廻らないマニアックな食材を料理するのはとても楽しい。
深海鮫は皮さえ剥いてあればちょっとモチモチした魚の切り身だし、ヌタウナギも皮の剥き方がわかれば全然料理は簡単だ。
この前、料理の本を見ながら肉じゃがを生まれて初めてつくってみたのだが、見事に失敗してしまった。なので、肉じゃがよりも深海サメフライとかヌタウナギ炒めの方が簡単だと思います。