タイのバンコクに、飛行機の墓場として有名な「エアプレーングレイブヤード」と呼ばれる空き地がある。
飛行機の墓場
この「エアプレーングレイブヤード」、テレビ番組などでも取り上げられて、かなり著名な観光地となっているので、ご存知の方も多いかもしれない。
エアプレーングレイブヤードは、バンコクの中心地から約13キロほど離れたバーンカピ区にある。
旅客機の残骸が置いてあるだけの空き地だが、ホームレスの家族が空き地を管理しており、ひとり120バーツを払うと、敷地の中に入れてくれ、見学ができる。
ネットで事前に調べた情報では、一人200バーツということだったが、なぜか80バーツ安かった。
以前は、廃飛行機の機体を住居にしている人がいるということで、CNNのニュースで見かけた記憶があるが、ぼくが訪れた2022年7月末時点では、飛行機の機体に居住している人はいなかった。
空き地には、半分にスライスされた旅客機の残骸がぽつんと置かれていた。
この飛行機の墓場、ネットで話題になっていた数年前の写真などを、ブログや動画で確認してみると、明らかに機体の数が減っている。
以前は、JALなどで使用されていたとされるボーイング747と、MD80の二つの機体があったようだが、2022年7月にぼくが訪れた際に存在していたのは、スライスされたボーイング747のガワだけだった。
機体の中の什器などはすべて撤去されており、本当にガワだけが空き地に放置してある状態だった。
航空写真で見ると、この飛行機の墓場は、かつて住宅が立ち並ぶ区画だったようだ。だが、2000年代後半に更地になり、2010年頃には飛行機の機体が留置されるようになる。
その後、この更地に飛行機のあるビアガーデンを作ろうと、投資家がオークションで中古の飛行機を落札して持ち込み、2012年頃にビアガーデンをオープンさせた。しかし、1年ほどで倒産し、機体がそのまま放置されている。というのが大雑把な状況らしい。
どうやら、最近は機体の解体と撤去を行っているようで、最盛期だった2015年頃に比べると、留置されている機体の数がずいぶんさみしいことになっている。
おそらく、入場料金が120バーツだったのは、見るところが少なくなっているためのサービスだったのかもしれない。
衝撃の結末
さて、この記事を書いている今、取材に同行してくれた若生さんに取材時のことを確認すると、衝撃的な情報をくれた。
なんと、飛行機の墓場の飛行機はすべて撤去されたらしい。
GoogleMAPの口コミを最新から並べ替えると、たしかに、なにもない空き地の写真がいくつかアップされており、飛行機はもうありません。と書き込まれている。どうやら、8月にすべて撤去されてしまったようだ。
ぼくが訪れた7月下旬ごろが、機体が見られる最後のチャンスだったのかもしれない。
ということで、残念ながらバンコクの飛行機の墓場は、もう、存在しません。
老後を想う
同じ引退した飛行機とはいえ、片方はカフェとして余生を過ごし、もう片方は什器をバラバラと取られ、スライスされてスクラップとして処分されてしまう。どこでどう間違ったのか。その運命のいたずらを想うと涙を禁じえない。
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