43億年前にできたと言われる月、本当はもっと前からあったらしい

地球が生まれてからほぼずっと、地球を周回している月。

その年齢は、43億5000万年から45億1000万年の間と推定されていますが、新たな分析により月はこれまで考えられていたよりもさらに前に誕生していた可能性があることが判明しました。

アポロ計画で採取した月の石から判明した新事実

月は、初期の地球が火星サイズの原始惑星と衝突して形成されたと考えられています。月面の岩石に基づいて、その衝突の発生は約43億5000万年前に遡ります。まず、月が形成された直後、巨大衝突によって大量のエネルギーが放出され、月の表層は高温の「マグマの海」となりました。

現在、研究者チームは、月の年齢を43億5000万年から45億1000万年の間と推定していますが、若い方の43億5000万年というのが「月のマグマの海の最初の結晶化」とは異なる再溶融イベントを示しているのではと、2024年12月18日のネイチャー誌に掲載された論文に記されています。

研究チームは、月の表面にある膨大な数の岩石を広範囲にわたる再溶融イベントによるものであり、月の実際の年齢はそれより古いのではないかと推測。アポロ計画で回収された月面のジルコン結晶を分析し、より古い年代を導き出しました。

研究チームは、月は「核形成が止まった最も古い時期」である45億3千万年より古くないことはほぼ確実だと指摘しています。研究者らによると、月が形成された最も古い時期は、衛星の潮汐加熱イベントの約1億8千万年前だという。言い換えれば、月が一般に考えられているよりも古いとしても、それほど極端に古いわけではないということです。

まだまだ謎多き月の起源

論文の中でも、月の表面がこれほど広範囲に溶けた原因についてはまだ結論が出ていませんが、研究者らは再溶解は「月の軌道の変化によって引き起こされた」可能性があると述べています。地球や太陽などの天体による月の重力のストレスが影響していると考えられています。

また2024年初め、学術誌『Nature Geoscience(ネイチャー・ジオサイエンス)』に掲載された研究によると、月は形成されてから数百万年後に“裏返し”になった可能性が高いとのこと。この論文は、太陽の軌道上で長年、地球のパートナーとなってきた月の起源の物語をさらに複雑にしています。

宇宙探査の道のりはまだまだ長そうですが、数十年ぶりに人類を再び月面へ送るアルテミス計画は、月の起源を理解する上で重要な一歩となるでしょう。