マイクロプラ、埋め立て地と下水処理場をエンドレスループ

マイクロプラとPFASは有機肥料だったのか…。

マイクロプラスチックとPFAS(人工的に作られた有機フッ素化合物)が下水処理場と埋め立て地を行ったり来たりしていて、下水処理場で取り除かれたマイクロプラとPFASはバイオソリッド(下水道の処理過程で生成される生物由来の有機物を多く含む汚泥)として有機肥料などに形を変えてばらまかれているという研究結果が発表されちゃいました。

クルクル回るプラとPFAS

2Field Sampling Graphic
Image: Prada et al. 2024 / Science Direct
マイクロプラスチックの埋め立て地と下水処理場ループ。星印はマイクロプラスチックとPFASの計測ポイント。Leachate: 浸出水 Influent: 流入 Effluent: 流出 Biosolid: 下水汚泥

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の科学者たちがScience Directに発表した、マイクロプラとPFASの質量を埋め立て地と下水処理場の2カ所で計測するというこれまでになかった研究によると、埋め立て地の廃液と都市から排出される下水に含まれるマイクロプラとPFASは、下水処理場を通って環境中に放出されるか、廃棄物として再び埋め立て地に戻るというループができているそうです。

まず、マイクロプラスチックとPFASは、上の図のように、埋め立て地からの浸出水と、都市の下水システムから、下水処理場にたどり着きます。

研究チームは、イリノイ州にある複数の埋め立て地からの浸出水と、都市から排出される下水、下水処理場で処理後に排出される水、そして処理後に残るバイオソリッド中のマイクロプラとPFASの質量を計測し、2つの有毒とされる物質が環境中をどう循環しているのかについて分析したといいます。

マイクロプラとPFASを同時に調べた理由について、研究の主執筆者であるAndres Prada氏は次のように述べています

通常、埋め立て地と下水処理場は別々に調査されますが、実のところ両者はひとつのシステムとしてつながっているんです。また、規制によって埋め立て地は廃水(浸出水)を下水処理場に送る義務があります。

エンドレスループ

研究結果のポジティブなニュースとしては、まず埋め立て地に投棄されたプラスチック廃棄物のほとんどは流出せずにその場に留まります。そして、下水処理場ではマイクロプラの99%が除去されるそうです(環境中に放出される1%が多いか少ないかは別として)。

悪いニュースは、埋め立て地の浸出水から予想を超える高い濃度のPFASが検出されたことと、下水処理後のバイオソリッドにはマイクロプラとPFASが含まれていること。

まず、処理後に残るバイオソリッドの70%は有機肥料として使用されます。肥料として環境中に放出されるマイクロプラとPFASは、土壌や地下水、河川に入り込んだり、食物連鎖を通って人間の体内に取り込まれたりする可能性があります。

そして、バイオソリッドの残りの30%はどこに行くと思いますか? なんと廃棄物として処理されないまま埋め立て地に戻されるんです。ここにマイクロプラとPFASのループ、完成です。

ループを通るたびに減って行くのかもしれませんが、70%が有機肥料になって別の場所に行くだけでは、環境中から完全に取り除かれたとは言えませんよね。それに、新規のプラスチックとPFASご一行様が次から次へと埋め立て地や下水処理場にやってくるわけですし。

今こそ蛇口を閉めるとき

研究チームのJohn Scott氏は、マイクロプラとPFASが有機肥料として農地にまき散らされるのを良いやり方ではないとしながらも、他に方法がない現状についてこう話しています。

じゃあ、いったいどうすればいいのでしょうか? (再利用せずに)埋め立てれば、そこから下水処理場へ、そしてまた埋め立て地へとループを繰り返すだけです。

また、同氏は埋め立て地に戻す前のバイオソリッドに無害化処理を施すのはコストがかかりすぎるといい、ベストな選択はプラスチックとPFASの汚染問題を根本的に解決することだと指摘し、以下のように提案しています。

今こそ、プラスチックとPFASを使用している製品の使用と生産をやめるよう、人々に呼びかけるべき時です。事態が悪化する前に、開きっぱなしになっている水道の蛇口を閉めましょう。

Source: Prada et al. 2024 / Science Direct, University of Illinois Urbana-Champaign

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