Starlinkのアンテナはどのように人工衛星と通信しているのか?

GIGAZINE


by Steve Jurvetson

イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業のSpaceXは、1万2000基の人工衛星を用いてインターネットアクセスを提供するサービス「Starlink」を展開しています。専用の受信アンテナを用いれば都会だろうと田舎だろうと同レベルの通信が可能とされたこのサービスですが、実際に上空を飛び回る人工衛星とどのように通信しているのかが気になるところ。Starlinkの通信がどのように行われているのかについて、科学・工学系の動画を作成するBranch Educationが解説しました。

How does Starlink Satellite Internet Work?????☄???? – YouTube
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Starlinkの人工衛星は上空550kmの低軌道を周回していますが、その速度は時速2万7000kmにも達します。超高速で移動する人工衛星と通信を行うのが以下のようなアンテナで、縦50cm、横30cm、重さ4.2kgというサイズ。


アンテナが電波を良好に捉えられる範囲は約100度と限られており、その範囲を通過した人工衛星と双方向通信を行っています。1つの衛星と通信できる時間はおよそ4分しかありませんが、1つの衛星がアンテナの範囲から外れるときには次の衛星が飛来してくるので問題なし。アンテナは約4分ごとに通信する衛星を切り替え、数百Mbpsの速度でデータを送受信しています。


しかし、上空3万5000kmにあるテレビ放送を担う人工衛星は広い範囲に電波を送信できるのに対し……


60分の1の距離にあるStarlinkの人工衛星は、非常に限られた範囲しか対応していません。


大量のデータを低遅延で送受信するためにこのような距離を飛んでいるのですが、人工衛星とアンテナの間でデータを送受信するにはさらに電波を狭い範囲に収束させ、角度を付けて電波を真っすぐ飛ばす必要があります。


角度の調節にモーターを使うという手もありますが、モーターは動かし続けると1カ月程度で壊れてしまい、時速2万7000kmという速度で飛ぶ人工衛星に合わせるには精度も不十分です。そこで使われるのが電波の位相を利用した方法です。


Starlinkのアンテナの内部構造をみてみると、アンテナの表面は6つの層に分かれており……


そのうちの1枚は基板であることが分かります。基板の片面には大小合わせて660個のマイクロチップが配置されています。


さらに、基板のもう片面には1280個の小さな6角形のアンテナが配置されているとのこと。


このアンテナは放射状に電磁波を生成することができますが、1つだけだと微弱で、上空のアンテナにはとても届きません。


しかし、2個のアンテナを隣り合わせにして同時に電磁波を生成することで……


特定の場所においては、同じ方向を向く信号がの強度が増します。


また、アンテナが発する電磁波の位相が同じである場合、信号は特定の一方向にしか向きませんが……


位相をずらすことで特定の方向の信号を強めることができます。


このようにして各波の位相を継続的に変更することで、波の角度を調節し、信号が最も強くなる方向の角度を自由に変更することができます。これにより、アンテナの物理的な角度を変えることなく、上空の人工衛星との通信が可能になっているそうです。


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