3年連続はご遠慮願いたい、んですが。
欧州連合(EU)の気象機関コペルニクス気候サービス(C3S)によると、今年の世界平均気温がもっとも暑かった2023年を上回って、産業革命前よりも1.5度以上高くなるのはほぼ間違いないそうですよ。
観測史上最高を2年連続で更新へ
C3Sによれば、観測史上2番目に暑い年になってしまう2023年の世界平均気温は、産業革命前比で1.48度高かったのですが今年10月までの気温を分析したところ、23年を上回って過去最高を記録するのはほぼ確実とのこと。
10月の世界平均気温は、C3Sが産業革命前の水準としている1850年から1900年の平均を1.65度上回り、エルニーニョ現象の影響を受けた昨年を0.5度下回る観測史上2番目の暑さになりました。
世界平均気温が2年連続で観測史上最高を更新するのは、2014年から16年にかけて3年連続で世界が最も暑くなって以来です。15年と16年は、23年と24年と同じく、エルニーニョ発生年と終息年でした。
気象庁のデータでは、当時よりも世界平均気温は0.2度から0.3度上昇しています。10年もたっていないのに…。
観測史上初の「年平均」1.5度超えの衝撃
また、24年の世界平均気温がパリ協定の努力目標である1.5度の壁を破るのもほぼ確実で、1.55度以上高くなる可能性が高いとしています。
世界の年平均気温が産業革命前の基準から1.5度を超えるのは初めてです。国際社会は、パリ協定で今世紀末における世界平均気温の上昇幅を産業革命前から2度を大きく下回って1.5度未満に抑えるという目標を共有しています。
今年の1.5度超えだけで、目標達成不可能とは言えません。安定して1.5度を上回るようになるのは、2030年半ばと考えられています。それに、エルニーニョ現象が落ち着く来年以降、世界平均気温はしばらく今年を下回るはずです。もしも下回らなかったら、ちょっとパニックになりそうです。
でも、今世紀末まであと76年を残して1.5度に到達してしまうと、たった1年のこととはいえ、目標達成がカテゴリー5級ハリケーンの生み出す強風の前のともしびのように感じます。
ちなみに、1.5度目標には、いったん1.5度の壁を超えてから、二酸化炭素回収・貯留技術などのテクノロジーを使って今世紀末までにまた1.5度未満に戻せばいいじゃんというオーバーシュートが織り込み済みなので、1.5度を超えることに驚きはありません。問題は、その技術がまだ確立されていないことです。
気候変動対策の加速が急務
11月11日から22日までアゼルバイジャンのバクーで開催される国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)では、加速する温暖化をしのぐような野心的で具体的な目標で合意してほしいものです。
今年のアメリカ大統領選挙ではドナルド・トランプ前大統領が再選を果たしました。彼は前回の就任直後と同じようにパリ協定から再び離脱し、化石燃料に全振りしようとするはずです。
国際社会や各国政府、自治体、企業や共同体、非政府組織が一団となって、第二次トランプ政権下で起こる気候変動対策の遅延政策をどう乗り越えていくかで、未来の気候が決まりそうです。
Source: EU Copernicus