宇宙にそり立つ「創造の柱」の3D映像。まるで星雲の中を飛ぶよう

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した星雲「創造の柱」。NASAがその詳細な3Dグラフィックスを公開しました。まるで、星雲の中を飛行しているようです。

「創造の柱」とは?

「創造の柱(Pillars of Creation)」とは、地球から6500光年ほど離れた“わし星雲”の一部であるガスと塵でできた巨大構造体のこと。そのサイズは、約4光年から5光年ほど(ちなみに、わし星雲は55光年から70光年ほどの大きさで超巨大)。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、神の手にもゾンビの手にも見えるとても神秘的な画像を撮影、2022年にNASAが公開しました。

今回NASAが新たに公開したのは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ハッブル宇宙望遠鏡が収集したデータから作成された創造の柱の3Dグラフィックス

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Video: NASA Goddard/YouTube

公開されているグラフィック、約2分半の動画は、ハッブルがとらえた可視光線とウェッブがとらえた赤外線のどちらもビジュアル化されているのが特徴。

今回のグラフィック映像の開発チームを率いたFrank Summers科学者はこう語っています。

柱の横を呼び抜けることで、ユーザーは3D構造を観察し、ハッブルの可視光線とウェッブの赤外線による異なる画を見ることができます。その違いを理解することで、なぜ同じプロジェクトに異なる宇宙望遠鏡を活用するのかを知る手助けとなればと思います。

ハッブルとウェッブの違い

Image: Greg Bacon, Ralf Crawford, Joseph DePasquale, Leah Hustak, Christian Nieves, Joseph Olmsted, Alyssa Pagan, and Frank Summers (STScI), NASA’s Universe of Learning
左:ハッブル宇宙望遠鏡のデータから。右:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のデータから。

2つの宇宙望遠鏡、収集するデータも搭載機材もミッションもそれぞれ異なります。

が、今回の創造の柱に関して簡単に言えば、ハッブルは高音の可視光線をキャッチするのに対し、ウェッブの赤外線カメラは温度の低いモノをキャッチします。その結果、ハッブルのデータ画像は深い緑の背景に、柱の黒・茶色の部分や不透明な塵、明るい黄色の電離ガスを、ウェッブの画像は紺色背景に明るいオレンジの塵と半透明なブルーの電離ガスが描かれています。

NASAの天体物理部門Mark Clampin氏は、こう語っています。

NASAの宇宙望遠鏡による異なる光の波長を合わせて観測することで、私たちは宇宙への理解をさらに深めていくことができます。創造の柱の周囲から、私たちは新たなインサイトを得て、星の成り立ちに関する理解を研ぎ澄ましていくのです。今回、この新たなグラフィックスによって、みなさんが新たな見方で豊かで興味深い体験ができたらいいですね。

3Dグラフィック制作の元になったデータは、Meteoritic & Planetary Scienceにてその研究論文が公開されています。