1945年前のものが、まだまだ見つかっています。
紀元79年の火山噴火によって埋もれてしまった古代ローマの街ポンペイで、遺体2体、さまざまな壁画、そして子供たちのらくがきが新たに発見されました。
突然灰に埋もれて消えた街
ポンペイは18世紀に再発見され、現在でも活発に発掘がおこなわれている考古学の現場。ヴェスヴィオ山から吹き上げられた灰に完全に覆われて破壊された街ですが、その灰が遺跡を保存する形となり、実は保存状態がよいことも特徴です。
約2000年前の食べ物の痕跡がいまだに路地の市場に残っており、住民たちの最期の姿がそのまま灰に閉じ込められていたりします。
今回発見されたものは?
今回の新発見に関する報告書は、ポンペイ遺跡のeジャーナルに掲載されています。
見つかった遺骨は女性と男性のもので、「美術家の家」と名付けられている場所で発見されました。ポンペイの発表によると、この遺骨は高齢者のもので、細い通路を通って噴火から避難を試みたようだとのこと。この家の中では、グリフォン、人魚、ケンタウロス、ヴィーナス、アポロン、バッカスなどの神話のキャラクターの壁画も発見されています。
柱廊のある「セナクロ」の家では、発掘作業員が通路の壁に木炭でかかれた絵も発見しています。絵の素朴さから、発掘チームはおそらく子供によって描かれたものだと結論づけています。二人の剣闘士が向かい合う様子、鷲の頭、狩猟の場面などが描かれていました。
さらにその近くでは、木炭で描かれた線画も見つかっています。3つの小さな手の輪郭、剣闘士の絵、そして地面に人が横たわっているボクシングの場面のようなもの。このボクシングの絵は、赤土でできた顔料で描かれていたとのことです。
技術が進み、さらに発掘が進む
2022年、現場の考古学者チームは、調理器具が残されていたポンペイの中流階級の家の内部を公開しています。同年、別のチームは噴火で亡くなった男性のゲノム解読をし、死亡原因を探っています。おそらく火砕流(火山噴火時に火山から高速で流れ出す高温のガス、灰、火山岩)だったと結論づけています。
ポンペイが埋もれたのは1945年前。しかしこうして現在も続けられている発掘作業が、ポンペイで生活していた人々の暮らしと、悲劇的な最後の日について多くのことを明らかにしてくれるのです。