近年、地球温暖化などの環境問題のこともあり、やはり気になるのはそのモノ自体のリサイクル性ではないでしょうか? ファッションを含め、さまざまなメーカー各社も素材にリサイクル素材などを使用した製品をリリースするなど、リサイクル性への活動の意識が高まってきています。
そんななか、今回は完全リサイクルを可能にした革新的なプロダクトに注目しました。
3年間の開発期間を経て誕生した完全循環型
ボクがフォーカスしたのは、スイスはチューリッヒのバッグブランド、FREITAG(フライターグ)がリリースした、「Mono[PA6]Backpack(モノ[PA6]・バックパック)」です。
コチラ、実は生地からファスナー、そしてバックルに至るすべてのパーツが単一素材でできており、何度も完全リサイクルが可能というバッグ。
FREITAGはリサイクル過程を可能な限りシンプルにし、実際のリサイクル率を可能な限り高く保つためにはモノマテリアルであることに着目。多数の部品や材料、さらには混合材料で構成される従来の製品に比べて、はるかに簡単なことであるとの結論に達したとのこと。すべてのパーツが単一素材でできているからこそ、製品寿命が来たときにそのまま完全リサイクルが可能になるといいます。
素材はポリアミド6
この「Mono[PA6]Backpack」は、機能、耐久性、撥水性に優れているだけでなく、完全にリサイクル可能な製品なんです。
「Mono[PA6]Backpack」の素材に採用されたのはポリアミド6。略してPA6と呼ばれるこの素材は、ナイロンとしてよく知られている素材で、汎用性がありとても頑丈なのですが、単一素材を目指すにはこのPA6から作られた合計17のパーツを見つける必要がありました。
しかし、この度、3層がポリアミド6のみで構成される撥水性とモノマテリアルの両方を備えた新しいタイプの生地の開発に成功。この革新的な素材が、最終的にすべての素材テストに合格したそう。
考えられた使い勝手の良さにも注目
リサイクル性ももちろん重要な要素ですが、「Mono[PA6]Backpack」はその使い勝手の良さにも注目です。
ロールトップ構造と折り畳みの底部によりメインボリュームが変更可能で、付属の取り外し可能なミュゼット(小さなバッグ)はクロスボディバッグとしても使用できたり、外側またはショルダーストラップに取り付けも可能。
ショルダーストラップにはキーループが装備されているので、自転車のチェーンロックのキーや、Suicaや勤務先のセキュリティーカードなどを付けておけば、紛失することなくサッと使用できます。
クッション入りラップトップコンパートメントを装備しているので、ノートPCの持ち運びもラクな上、撥水性のある生地は急な雨でも収納物が濡れることもなくとても安心安全。
ちなみに現在、「Mono[PA6]Backpack」は、初代のため主に非リサイクルのPA6が使用されています。今後はFREITAGの回収サービスなどによってチューリッヒに集められ、そこから材料工学とプラスチック加工研究所に送られるとのこと。それらを丸ごと細断してPA6を顆粒に加工することで、新しいバックパックのパーツなど新しいものに再利用でき、リサイクルの循環に乗せていく予定だそう。
そもそも他ブランドのバッグよりもかなりタフなつくりのFREITAGのバッグだけに、いつが寿命のタイミングなのか、なかなか判断は難しいところではありますが(笑)。
しかし、まだまだこれからの話だけに、今後、一体どんな形でリサイクルされていくのか。
ちょっと楽しみですよね。
Source: FREITAG