電気自動車ってほんとにエコなの? その答えを見つけてきました

オープンしたばかりのAudi charging hub紀尾井町へ行ってきました。

こちらは従来のEV(電気自動車)充電ステーションとは一線を画し、蓄電池型の充電器を導入しています。再生可能エネルギー由来の電力を蓄電池に貯めこんで、クルマの充電に使っているそう。

さらに、屋上にはソーラーパネルがびっしり。クルマを充電できるほどの電力はつくれないものの、太陽光発電で施設自体の運営を賄っているそうです。

アウディは、2025年までに、アウディが運営するすべてのEV充電ステーションにおいて蓄電池型の充電器、または再生可能エネルギー由来の電力による充電器を導入することを目指しているそうです。

「クルマって、エコじゃないよね」

今までなんとなくそう思っていましたし、EVにもあまり興味を持ったことがなかったのですが、Audi charging hubに行ってみて、考え方が変わりました

アウディが日本でEVを増やしたい理由

Photo: 山田ちとら

正直を言うと、これまではEVってほんとにエコなの?とも疑問に思っていました。

公共交通網が発達している都市部においては車がなくても生活が成り立ちますし、そもそもエネルギー資源に乏しい日本において、あえて電気自動車に乗る意義ってあるのかな?と。

日本はエネルギー資源の大半を海外からの輸入に頼っています。石油は中東から、石炭・天然ガスは主にアジア大洋州地域から。それらの化石燃料の大半を火力発電所で燃やして、電気をつくっています。

でも、そんな日本だからこそEVを広めていく意義がある、とアウディジャパンのブランドディレクター、マティアス・シェーパース氏は力説していました。

EVは再生可能エネルギーとの親和性が高いから、というのがその理由です。

再エネのポテンシャルがすごい

Image: アウディ ジャパン

地球温暖化の主犯格とされる温室効果ガス(おもにCO2)。調べたら、なんと東日本大震災以降、日本の温室効果ガスの排出量は増え続けているそうです。

減らすには、①エネルギーの高効率化を図るか、②エネルギーの使用量を減らすか、または③エネルギーのつくり方そのものを変えるか。

①の場合、たとえばガソリン車の燃費を倍にする、といった技術的革新に頼るだけでは限界があります。②は省エネを徹底するか、使用量を制限するか。これは消費者の負担が大きいですし、やはり限界があります。

ということで、今、注目されているのが③。特に、太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスなど、つくり方によってはCO2を排出しないで得られる再生可能エネルギーのポテンシャルがすごいんです。

EVは動くバッテリー

Photo: 山田ちとら
左からマティアス・シェーパース氏、竹内純子氏、伊藤忠総研 上席主任研究員の深尾三四郎氏

再生可能エネルギーは、日本国内で生産できることも大きなメリットです。

たとえば、「脱炭素に一番近い島」として知られ、水力発電で島内のほぼすべての電力をまかなう鹿児島県熊毛郡屋久島町。たとえば、日本で最初に地熱発電所の運転を開始した岩手県八幡平市。

ただし、ここでも問題があります。再生可能エネルギー電源のポテンシャルのある地域は、必ずしも電力需要がある地域と一致していません。せっかくグリーンな方法で電力をつくっても、それを必要としている地域にどうやって運んだらいいんだろう?

その答えがEVにある、と説明してくれたのは国際環境経済研究所の理事・主席研究員である竹内純子氏です。

電気自動車ってタイヤがついたバッテリーとも言えます。それこそ、災害時に送電線が分断されたようなところにも電気自動車で電気を運んでいく、こういうことはもうすでに日本でもかなり行なわれているんです。

これがさらに進歩して、それこそ自動運転とも相まって、たとえば駐車場に止まっている電気自動車がバッテリーに電気を貯めて、足りない家から指令が飛んできたら自動運転でそこへ行って放出して帰ってくることができたら…(中略)

電気自動車には、電力グリッドの一部を代替するような存在になっていく可能性も十分あるのです。

メリットあってこそのEVシフト

Image: アウディ ジャパン

なるほど…! EVが再エネと人々の暮らしとをつなぐ架け橋になってくれるかも、と聞いて深く納得しました。

シェーパース氏いわく、

動くバッテリー、動くコンピューター。(EVが) そういった方向へ向かう中で、各国の電力グリッドの一部になっていくと思うんですね。一部になって、車という機能以外にも重要な機能をどんどん発揮していく。それがやはり電気自動車じゃないと不可能なんです。

Image: アウディ ジャパン

気候変動をこれ以上悪化させないために、CO2を排出しないEVに乗ってください、といくら言われたって、消費者としてはやっぱりワクワクするもの、自分にとってメリットがあるものを選びたいですよね。

では、今後さらにデジタル化が進んで、単なる移動手段でしかなかったクルマが魅力いっぱいのエンタメ空間として生まれ変わったらどうでしょうか?

それこそ自動運転にまかせるまま第二のリビングのようにくつろいだり、再エネで充電したり、災害時の電源として使ったり…。

そう考えるとワクワクしますよね。次に買うならBEV車がいい、と本気で思えてきました。

Source: アウディジャパン(1,2,3)、経済産業省資源エネルギー庁
Photos: 山田ちとら