可能性はゼロではない…。
歩いているだけで、あるいは家にいただけなのに、トンでもない事故に巻き込まれることってあります。ですが、その原因が、もし宇宙から落ちてきたロケットなどの破片だったら、いったいどうすればいいのでしょう?
実際に生じた事例を見てみると…
今年3月に米国フロリダ州ネイプルズに住むAlejandro Oteroさんは、まさかの自宅が損傷を受ける事故に直面。危うく家にいた息子さんが、上空から落ちてきた物のせいで大ケガを負うところだったんだとか。ただ問題はここからスタートしました。
現在は補償を求める裁判の関係からか、一連のXの投稿は削除されてしまっています。でも、まずはSNSで、どうやら宇宙からの落下物のせいで事故に遭ったと声をあげました。というのも、NASAに連絡してみたものの、電話もメールも相手にされなかったらしいのです。
結局はNASAが、1か月以上が経ってから、ISS(国際宇宙ステーション)から燃え尽きずに地上に落ちてきてしまった宇宙ゴミのせいだと認めはしました。でも、ここまでこぎつけるのは、至難の技だったそうですよ。
そもそも取り合ってもらえないかも?
Oteroさんの場合、NASAへ、あらゆる手段で自分から通報したみたいなのですが、とてつもなく大きなNASAという組織です。いったいどこへ、どのように持ちこめば問題を扱ってくれるのか? Oteroさんが、いろんなメディアに訴えて、ニュースで大きく報じられたから、やっと取り合ってもらえたのではないかと感じてもいるようですね。
今回のケースでは、Oteroさんが、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天体物理学者のJonathan McDowell氏に相談したのが転機となった模様。NASAや米宇宙軍(USSF)など、大きな組織へ直接連絡するのではなく、The Aerospace Corporationという団体に通報するようアドバイスを受けました。
その後、The Aerospace CorporationがNASAへ情報を回してくれたので、少なくともNASAの耳に入り、真剣に取り上げてもらえたとのことです。
でも補償はどうなる?
古くは1972年に、宇宙からの落下物が引き起こす損害の責任範囲について規定した「Liability Convention」の国際条約が結ばれました。同条約によると、落下物はもともと打ち上げた国に責任が存在します。ただし、打ち上げた国がなにかを怠って損害が発生した場合のみ責任を負うという条件が付いているみたいですね。
Oteroさんの家を破壊した宇宙ゴミは、実は日本のJAXAのロケットで打ち上げられました。とりあえず、まずNASAに補償を求める訴訟が起こされる流れのようではあります。ただし、過去には落ちてきた宇宙ゴミが肩に当たった人に、なんの補償もなかった事例が存在。まぁ、ケガはなかったそうですけど。
自分の身の上には起きない話かな? そう考えたくなりますが、地球の大気圏には毎年、数百個の人工物が再突入しているそうです。大気圏内で燃え尽きる想定ではあるものの、今回のように、そのまま地上へ落ちてきてしまうものだってあり。そのときどうするか? だれが助けてくれるのか? 現在は明確なガイドラインは存在しないというのが現実です。
Source: Alejandro Otero