先日、第17回大会が行われた東京マラソン。抽選により選ばれたおよそ3万7000人のランナーが都内を駆けめぐりました。
走らない人にとって「そんな走りたいか…」「ツラくないの…?」という声が聞こえてきそうですが、トップアスリートはどうなのでしょう。
東京マラソン2024の翌日、レースを終えたエリウド・キプチョゲ選手(ケニア)と、シファン・ハッサン選手(オランダ)に話を聞きました。
トップアスリートだって走るのがツラい
ラン歴10年、フルマラソンには15回以上の出場経験のある担当編集・ハナサキいわく、
「あまり調子がよくないときは、レースの途中でなんでこんな辛いことをしているんだろう。しかも、そこそこ高いエントリー費を払って、せっかくの休みの日に…」
と思うこともあれば、
「調子がいいと終始楽しさしかなく、終わった後の疲労感もない」
と両極端なことをハッキリ言います。
かくゆう自分は一度だけ8年前の東京マラソンでフルマラソンを経験したものの、もっぱら前者で、ここ数年はハーフ専門であります。
前日に東京マラソン2024を走ったシファン・ハッサン選手も、「走っているときに何を考えているの?」という問いに対し、「なんでこんなことやっているの?なんで走っているの?」と答えていました。
東京オリンピックの5000mと10000mで金メダル獲得し、2023年のロンドンマラソンではフルマラソンに初挑戦にして優勝したトップアスリートですら、走ることに対してのネガティブな気持ちがあるんですね。
一方で、非公認ながら人類初のフルマラソン2時間切りを達成し、数々の金字塔を打ち立てたエリウド・キプチョゲ選手は
「走ることは気持ちを落ち着かせることに近い。習慣化することで禅のような感覚になる」
と言います。さすが“走る哲学者”。これこそ、人類で唯一サブ2(2時間を切ること)を許された鋼のメンタルです。
2人が共通して話してくれたのは「何かに挑戦するために努力を続けること、そして練習の成果をもってして自分のベストパフォーマンスを発揮すること」。
簡単に言いますが、何事においてもこれほど難しいことはありません。とくに仕事、プライベート、家庭に、何かと時間をとられてしまう市民ランナーにとってはなおさらですね。
実はリカバリーにも長けた新作シューズ
東京マラソン2024で2選手の視線を集めたのは「足もと」。発売後、即完売したNIKE「アルファフライ3」の蛍光カラーが一際目立っていました。
キプチョゲ選手は、進化の目覚ましいランニングシューズは「新しいiPhoneが登場するようで毎回楽しみしている」としたうえで、「アルファフライ3」は、レース後のリカバリーの早さを強調。
ハッサン選手も同様で、トップアスリートなら推進力や安定感など、目標タイムにいかに寄与するのかを考えているかと思いきや、カラダへの負担を真っ先に口にしたのは意外でした。
登壇した両人だけでなく、東京マラソン2024では「アルファフライ3」を着用している一般ランナーも多く見かけました。
では、一体どのようなシューズなのかというと——。
NIKEの厚底ランニングシューズといえば、2021年の箱根駅伝で90%以上という驚きの着用率が話題になりましたが、そのときに出走者の多くが履いていたのが、「アルファフライ」シリーズの原型ともいえる「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」(箱根では「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」と人気を二分)。
そして今作「アルファフライ3」は、歴代の「アルファフライ」を踏襲した、紛れもなく世界トップクラスのランニングシューズのひとつなのです。
まずは、前足部に2つ搭載した「ナイキ エア ズーム ユニット」。キプチョゲ選手やハッサン選手がポイントにあげていた、路面からの衝撃を和らげ、そのエネルギーを次の一歩への推進力につなげます。
そして、このシリーズとしては初めてソールのかかとと前足部を連結させており、フルレングスの「カーボンファイバー製フライプレート」を搭載したことで、推進力と安定感のある走りを可能にしました。
最後に、ナイキのレーシングシューズとしては、これまでで一番女性テスターの声をもとにしたそう。ミッドソールに配した「ズームX フォーム」によりランニング時の快適性のニーズに合わせて、特にクッショニング高めました。
「エア ズーム ユニット」「カーボンのフライプレート」「ズームX フォーム」という三拍子揃った「アルファフライ」のエンジン部分だけ覚えればOKです。
憧れだけど、冷静な走力の見極めを
とはいえ、覚えておきたのは「アルファフライ」はランニング上級者向けと言えるシューズであること。そのお値段からも、“ランニングシューズ界のロールスロイス”と呼ばれる日もそう遠くはないかもしれません。
自分たちのような市民ランナーにとっては憧れの存在かもしれませんが、いずれこういうシューズを履きこなせるほどのランナーになりたいものですね(そんな日はやってくるのだろうか)。
Source: NIKE