年末年始にちょっと時間を潰したい。
そんなときにはマンガでも読むのがいいかもしれません。いろんな作品を追いかけるのが趣味の筆者が、個人的に好きな作品から何点かご紹介します。
BADDUCKS(全4巻)
散りばめられた謎を漏れなく回収していく本作は、「血のつながりだけじゃない家族」を描いたSF作品。たった4巻で「人間関係の深まり」が的確に描かれていて、暖かい気持ちになれます。
「…大丈夫。私は別になんだっていいよ。住む場所は…ね。」
このセリフに、この作品が一言で集約されています。
ヴィジランテ(全15巻)
綺麗事に飽きた気持ちのときに刺さる、“非合法ヒーローコミック”です。
「このまま“何もなかった自分”で終わりたくない」
「ほんの一瞬でもパッと輝いて相手の心に引っ掻き傷を残したい」
自分も似たようなことを思ったことがあって、グサッときました。
この作品では「何者でもない自分でいたくない」という気持ちが悪いほうへ転がればヴィランになるし、いいほうへ転がればヒーローになります。ヴィランって本当に自分とはちがう存在なのでしょうか? 自分もヴィランになる可能性があるんじゃないか?
でも「何もなかった自分」だからこそできることもある、もきちんと描かれていて、そこに救いがあります。
異世界女王と転生デザイナー(全134話)
この作品でもっとも好きな部分は「特別なものがあっても既にある価値観や環境の中で生きるしかない」という点です。
主人公は女性で、現代の知識を生かして異世界でお金を稼ぎまくってます。現代との文化差や知識差で主人公が無双するのが異世界転生もの。
「女は商団のデザイナーになれないというその事実を知った日から…ベルムのユーリは男になりました」
そんな中で、この作品では主人公が「女性である」この点だけで、さまざまなままならない状況に追い込まれるのが特徴的です。
異世界でも既にある価値観や環境は無視できない。だからこそ、主人公を含めたそこで生きる女性たちが、世界のあり方を強引に捻じ曲げることなく、苦難を乗り越えていく様が爽快かつ鮮やかです。
comicoで読めます。
さんかく窓の外側は夜(全10巻)
「信じないでいてもらえるって、なんていうかな…すごくいい感じです。」
本作は一貫して「信じる/信じない」がテーマとなっているホラーミステリ。
信じるって世の中的には「いいこと」とされていて、いろんな作品でも信じたことで奇跡が起きる描写って多い。
でも、この作品では「信じないことのよさ」に触れています。それが救いになることもあるかも。
ヘルシング(全10巻)
『ヘルシング』といえば「血湧き肉踊る」戦闘シーン。人間と「人間の形をした化物」の戦いを描いた作品です。
「人間と化物が闘った上で、人間が勝利すべき」というメッセージが連発される後半が特に熱い。
「BINGO!人間サマをなめるとこーなる」
純粋な戦闘能力では劣る人間が化物を知恵で出し抜く場面は特にいいです。