AIを搭載した医療機器を開発するアイリス株式会社は、2023年11月29日(水)・11月30日(木)・12月1日(金)に開催された米ペガサス・テック・ベンチャーズが主催する世界最大級のグローバルピッチコンテスト・カンファレンス「スタートアップワールドカップ2023」世界大会にて、優勝した。
■「スタートアップワールドカップ2023」世界大会で優勝
アイリスは、300社を超えるスタートアップが参加した東京予選で優勝し、日本代表として「スタートアップワールドカップ2023」世界大会に出場した。
11月29日に行われた世界大会準決勝を勝ち抜いた10社が12月1日にファイナリストとして決勝大会に登壇し、代表取締役の沖山翔は、AIを活用し感染症診断の未来を切り開くスタートアップとして、AI医療機器nodoca®の開発や将来への展望についてのプレゼンテーションを行った。
本大会では、世界でも類を見ない独自性のある咽頭画像データベースを保有していることや、感染症と戦う世界中でのnodoca活用のポテンシャル、そしてnodocaを通したデータ循環の仕組みが既に広がっていることなどが評価され、優勝に至った。
また、副賞として約1億4千万円(100万米ドル)の投資賞金獲得の権利を得た。
■スタートアップワールドカップとは
米ペガサス・テック・ベンチャーズが主催するスタートアップワールドカップは、50以上の国と地域で予選が開催された、世界最大級のピッチコンテスト。世界のスタートアップエコシステムの構築と起業家精神の育成を目的として設立され、世界各地域予選を勝ち抜いた代表企業が米国サンフランシスコでの世界決勝大会に参加し、優勝投資賞金約1億4千万円と名誉をかけて競い合った。
世界大会はシリコンバレーで開催され、初日の11月29日(水)に世界50以上の国と地域で予選を勝ち抜いた企業による準決勝が行われ、ファイナリストに選出された10社による決勝が12月1日(金)に行われた。
■より良い未来の医療が実現するその日まで挑戦を続けたい – 代表取締役 沖山翔氏
このような世界的な場で我々の取り組みと技術力を評価いただき、大変ありがたく思うと同時に益々身の引き締まる思いです。
医師であれば当たり前に診察をする、咽頭(のど)の情報。
これを撮影し、AIが学習できる形でデータベース化するというのが私たちの取り組みの一歩目でした。このようにして出来上がったデータベースは、100を超える様々な病気の診断に繋がる可能性を持った、我々だけでなく全世界にとって、医学研究の貴重な財産です。
私たちはデータがより多く集まり、大学や行政、自治体、そして医療現場と連携しながら、新しい豊かな医療が生まれていく、その仕組みづくりに真剣に取り組んでいます。
AIだけでなくハードウェアの開発も行い、そして医用工学の新たな基礎技術の開発そのものにも取り組むことを通じて、より良い未来の医療が実現するその日まで挑戦を続けて参りたいと思います。
■今までの我々の医療の常識を大きく変える – 経営顧問 杉田浩章氏
沖山さん、アイリスの皆さん、おめでとうございます。
世界に冠たるスタートアップのピッチコンテストである「スタートアップ・ワールドカップ」の世界大会での優勝は、アイリスの掲げるビジョン、技術力が革新的で、グローバルにおいて強く求められていることの証左だと思います。
咽喉(のど)の画像情報とクラウドを介したAIを用いた診断が我々のウェルネスにもたらしてくれるものは、今回のインフルエンザの診断に留まらず、計り知れないものになっていくことを予感させます。
蓄積してきた咽喉のデータとAIの技術力を持つアイリスは、今までの我々の医療の常識を大きく変えて、誰もが簡便に痛みが少なく様々な病気の兆候を診断するツールを開発し、提供し続けてくれることでしょう。
そして、医師の不足する発展途上の国や過疎の問題に直面する地域においても、クラウドを介して提供される診断サービスは多くの人々の健康を守ってくれるものと期待しています。
世界的大会での今回の高い評価を大変うれしく思うとともに、ますますのアイリスの発展が、世界の人々をより豊かな生活に導いてくれるものと期待しています。
杉田浩章:ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)元日本代表。2022年6月にアイリスの経営顧問就任。
■nodocaについて
nodocaは、咽頭(のど)の画像と問診情報等をAIが解析し、インフルエンザに特徴的な所見等を検出することでインフルエンザの診断に用いるAI医療機器。
nodocaは累計100施設超の国内医療機関が関わり開発された。 併せて「日本救急医学会推薦AI研究」としての研究開発、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による事業化支援、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の国産スーパーコンピューター「ABCI」の活用など、医学×情報工学の「産官学医」が連携して開発された。また、AI解析に適した咽頭画像を撮影するための専用カメラを自社で独自に設計・開発しており、口腔内・咽頭をクリアに撮影する。
インフルエンザ濾胞(ろほう)がインフルエンザの診断に有用であることは日本人医師による発見と報告(※1)により知られていたが、インフルエンザ濾胞を視診のみで高精度に見分けるには熟練の医師による判断が必要とされていた。アイリスは、熟練医の視診をAIで再現すべく、nodocaを開発した。
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