富士通SEの退職理由が壮絶…メモリ4GBのPCで開発、ひたすら進捗会議


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富士通の本社移転先となる同社川崎工場(「Wikipedia」より

 大手IT企業の富士通で以前働いていた元システムエンジニア(SE)が「退職した理由」を綴ったインターネット上の投稿が、一部で話題を呼んでいる。そこには、開発環境の古さや、無気力な人材や組織体制の問題、給与面を含めた待遇の悪さなどが書かれている。「5年いた富士通を退職した理由」というタイトルの投稿は、「5年間エンジニアとして務めた富士通を一昨年退職した」「自分の半径5m以内で起こった幼稚な理由にフォーカスを当てる」と始まり、「開発環境がだめ」という項目では

「メモリ4GBのセレロン使ってた。もちろんSSDじゃなくてHDD。PCは富士通製のミドルクラスのノートPCしか支給されなかった。Macなんか認めん!iOSアプリも富士通PCで作れ!(本当にあった話)」

と、貧弱な開発環境を嘆いている。自身もIT企業でSEとして働いた経験があり、現在はWEB/ITコンサルサービスを提供するワンダフルワイフ株式会社の代表取締役・山本隆玄氏はいう。

「この投稿に書いてあることは、かなり事実に基づいていると思います。富士通は老舗大企業なので、いろいろな部署があり、それぞれプロジェクトを進行している。そこに全員一律にハイスペックなPCを支給するとコスト的にも厳しくなる部分もあるので、汎用のPCを使うようになっていたのではないでしょうか。iOSアプリを開発するならMacを使うか、大容量のメモリを積んだSSDのPCにしたほうが効率がいいのですが、そうした個別の対応というのが、大企業であればあるほど難しくなります」(山本氏)

 投稿ではPCのスペックだけでなく、開発方法そのものが陳腐化していることにも言及されている。「古い方法へのこだわり」という項目では、

「社内にとある開発標準がある」

「内容は明らかに古く、ウォーターフォールのシステム開発用にしか使えない。これを無理やりモバイルアプリ開発に適用したり、Webに適用したりする。Webをウォーターフォールでつくるもんだから、一度作ったら終わりの作りきりの製品になる」

と、社内の開発基準の固定化について指摘されている。

「システム開発をメインにやってきた部署であるなら、仕方がないことだとは思います。例えば、金融機関のアプリケーションを開発する時は、とにかく徹底的に品質を担保して、絶対に失敗のないように開発する必要があるので、ウォーターフォールのほうが向いています。逆に、カジュアルなWEBアプリ開発だと、急に仕様を新しくする必要が出てきたり、クライアントの要望もころころ変わっていくので、機能単位で開発するアジャイルにするべきですが、そういう社内マニュアルが存在しない、ということなのでしょう。関わるエンジニアの人数が多い場合、個々の開発クオリティを平準化しないといけないという至上命題があるので、ルールがガチガチになっていくのは必然的です」(同)

「電話会議をみんな四六時中している」

 さらに「事務室環境もだめ」という項目で綴られている、「電話会議をみんな四六時中している」「ここのエンジニアはあまりコーディングをせず、もっぱら進捗管理している」という点も、大企業ならではのよくある状況だという。

「大企業が請け負うような固い仕事ほど、調整ごとに時間を使わされるイメージはありますね。手を動かす実際の開発以上に、方向性の承認に時間をかける。絶対に間違いのないように品質を担保するためには、関わっている全員に確認が必要ということなのでしょう」(同)

 こうした大企業ならではの環境で働いていると、エンジニアたちの個性が削がれていくようだ。「人が均質的」という項目では、

「なんかみんなおんなじに見えてくる。自社の文化に染まってんなって感じの。ほとんど新卒しかいないから、他社の文化なんてのはなかなか入ってこないしね」

「みんな真剣なようで真剣でない。悪い意味で真面目。面白い人や尊敬できる人はあまりいなかった」

と感想が吐露されている。

「大企業は、なぜか優秀じゃない人も結構入ってきたりします。そのなかで個々のクオリティのばらつきが出ないようにするので、結果的に下のレベルに合わせるような体制になっている。ただ、こうした環境が向いている人材というのも確かにいます。平準化された環境に慣れてきた人は、そういう働き方のほうを選びます。私がかつてエンジニアとして働いていた会社は、個人にかなり多くの裁量が与えられていて、業務範囲も広かった。そのぶん、1人の責任も重いので、ミスすると致命傷になります。そんな環境でも、大企業から転職してきたエンジニアは、工程をちゃんとマニュアル化して、手順通りに1個1個確認しながらやっていきたいようでした。けっきょく環境に合わなくて、辞めていく人もたくさんいました」(同)

転職するというのもひとつの選択肢

「未来のほの暗さ」という項目では、「あまり未来が明るい雰囲気の会社でなかった。景気の良い部門もあまり見たことがないし、野心的なプロジェクトもあまりなかった」と書かれている。

「たぶん、この記事を書かれた方は、優秀だと思うんですよ。自分のスキルや能力を発揮できず、格を落とさないといけない現場というのがストレスだったのだと思います」(同)

 このエントリーは2019年にアップされたものだが、その後もたびたび話題となってきた。大企業の体制やエンジニアを取り巻く環境は、それほど変わっていないのかもしれない。

「開発環境もそうかもしれないですが、私はエンジニア自体の変わらなさを感じました。意見はあるけど、意外と動かない、というか。この投稿を読んで、『ウチの会社もそうだ』と嘆いたり、『この現場は良くないね』と文句は言うけども、自分は転職するほどの勇気はないという人が多いのではないでしょうか。いまはIT専門の転職サービスもあるし、フリーランスで働くエンジニアも増えてきています。私がエンジニアやっていた頃よりも、ずっと選択肢が増えて、やりたい仕事をやりたいようにできる環境が整ってきている。体制に疑問があったら、さっさと転職するというのもひとつの選択肢だと思います」(同)

(文=清談社、協力=山本隆玄/ワンダフルワイフ代表取締役)

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