Appleの環境への取り組みは素晴らしい…ユーザーとしても継続して監視していこう

2030年までに、すべてのApple(アップル)製品をカーボンニュートラルに。

先日開催されたAppleのイベントでは、Apple社の環境への取り組みについて、かなり長尺で紹介されていましたね。

再生可能素材の利用、クリーン電力への置換え、低炭素輸送を通じて炭素排出量の大半を削減したと説明し、また畜産業から排出されるCO2排出量を削減するため、今後Apple WatchやiPhoneのケースにレザーを使わないと発表しました。その代わり、68%が使用済み再生素材でできている新素材「ファインウーブン」使用するとのこと

ティム・クックが寸劇まで披露

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Video: Apple / YouTube

ティム・クックCEOとアップル社員が、「母なる自然(マザー・ネイチャー)」役のオクタヴィア・スペンサーに対して、2030年までにすべてのApple製品をカーボンニュートラルにするプレゼンテーションをする…という寸劇動画も披露されました(Apple公式の日本語書き起こし)。

しかし、現段階で完全にカーボンニュートラル製品にできるかどうかは、購入する製品の組み合わせ次第であることもわかりました。

「Apple Watch Series 9、Apple Watch Ultra、Apple Watch SEのケースとバンドの組み合わせは、Apple初のカーボンニュートラル製品」です。グローバル企業が排出量削減に取り組むのは当然素晴らしいことで、今回はApple Watchによって実現して大きな前進をしました。

しかし、Appleの目標は、2030年までにカーボンニュートラルを達成することです。

Appleは着実に排出量削減を実現

そしてAppleは、その目標に向かって着実に進んでいるといえます。

同社の2023年の環境進捗報告書のデータによれば、2018年は2520万トンのCO2を排出している一方、2022年は約2060万トンの炭素排出削減目標に対して進捗しています。

会社全体を挙げての排出量の削減に加え、地球上の草原や湿地帯を回復させることで、CO2を除去するカーボンクレジットプログラムを組み合わせて実現しています。

Appleの声明では「Apple製品の排出量を大幅に削減したあと、既存のソリューションではまだ回避または削減できない排出量について、自然ベースのプロジェクトによる高品質のカーボンクレジットを適用しています」と述べています。

米国地質調査所によれば、湿地は地球上で最も効果的な炭素吸収源であり、湿地帯を回復させ保護することが重要です。しかし、Natural Resources Defense Councilによると、Appleが投資しているこれらのプロジェクトが炭素を吸収したと証明するためには、「恒久的」なものである必要があるそうです。

AI開発には大量のエネルギーが必要

AppleはOpenAIやChatGPTに匹敵するようなAIツールの開発にも取り組んでいると報じられています。もしそれが実現して利用が広がれば、Appleの水使用量が劇的に増える可能性があります。

最近のデータでは、他の大手テック企業がデータセンターの冷却にびっくりするくらいの大量の水を使用していることが判明しています。

Microsoftの最新のサステナビリティレポートでは、同社がAIの開発に多額の投資を行ない、新たなAI関連のデータセンターを計画したため、水使用量が2021年から2022年の間に3分の1以上急増していることが明らかになっています。

また、機械学習モデルのトレーニングにも大量のエネルギーを必要とします。スタンフォード人間中心人工知能研究所が今年4月に発表した報告書では、OpenAIのGPT-3のようなモデルをトレーニングするのに必要なエネルギーは、アメリカの平均的家庭の数百年分の電力に匹敵するとのこと。

それでもAppleは、環境目標のために多くの行動を起こしてきた先進企業です。

しかしながら、企業はさまざまな要因によって戦術を変更したり、環境目標の期限を延期したりします。消費者も監視団体も、その企業が排出量削減目標を掲げたというプレスリリースを出したのを見て納得しておしまい…ではなく、その後もしっかり目を光らせる必要がありますね。

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