アクションカメラ、ウェアラブルカメラとして、YouTube撮影や芸術的なスポーツ動画、はたまた映画の撮影にも使われる小型デジタルカメラ「GoPro」。
GoProから新たな「GoPro Hero 12 Black」が発売されました。
今回は、新たに解像度5.3KのHDRビデオ撮影が可能になり、向上したバッテリー性能やビデオブレ補正などの改良された機能を搭載しています。
そんなGoPro Hero 12 Blackを、米GizmodoのKyle Barr記者が実機を手に取りハンズオンレビューをしていますのでご覧ください。
うまくいっていると自分で思っている時ほど、なにかしらうまくいかなったりするものです。新しいスポーツをするときには、必ずそんな感じになります。
初めてスケートをやったとき慣れるまで時間がかかったものの、コツをつかんだと思ったら転倒していました。その時手を擦りむいて、痛いなあと思ったのですが、そんなことより、周囲を確認しなければなりませんでした。右手にあったはずのカメラは見事に地面に衝突していて、もっといえばレンズから地面に当たっていました。
ひっくり返して見てみると、なんてことはない、私のGoProは無事でした。もちろんレンズ周りに小さなキズはありましたが。
さて、これが価格400ドルの新しい「GoPro Hero 12 Black」です。(日本では6万2800円からの販売です)
GoPro Hero 12 Blackの概要と新機能
新たな縦向き動画撮影モードやインターバル撮影、ほかにも複数の追加機能により、少々過激なライフスタイルを見せたいと願うインフルエンサーにも適用できるようになっています。
デバイスとさまざまなマウント、さらにワイヤレスオーディオデバイスとの互換性も高まっていますよ。
改めて言っておくと、私はGoProを頻繁に使うというタイプではありません。GoProは主にフェンシングの試合を録画するのに使っています。
そんな私ですが、今回のGoPro Hero 12 Blackに関して、基本的には前モデルのHero 11を引き継いだバージョンだと思っています。
搭載されているプロセッサーとバッテリーは同じもの。8:7のアスペクト比など、Hero 11で追加された機能が引き続き搭載されています。
一方で、5.3Kビデオを60fps設定でも1時間以上連続撮影できるようになったそうです。撮影可能時間もHero 11と比べて最大2倍にまでアップしたとのことで撮影時間が向上しています。
しかし、これはいつものことですが、こうした機能は気温の上昇によって制限される可能性があります。
私はGoProチームと一緒に、あるいは自分自身で、さまざまな状況でHero 12を外に持ち出して試してみました。
くもりの日、夜間、屋内、そして晴れた暑い日のカンカン照りの太陽の下。これらの状況でどれだけ十分に機能を発揮できるかを確認したので、私の感想とともに書き出していきます。
縦向き動画撮影モード良さそうだけど、広角のほうが機能が充実
最初に、改めてGoPro Hero 12の新機能を確認するところからはじめましょう。
先のもちらっと述べましたが、縦向き動画撮影モードです。
これは、9:16の垂直フレーミングで撮影できる機能で、カメラ自体を傾けなくても、設定を操作するだけで縦向きモードに変更できる、というもの。
この機能は、TikTokやYouTubeショート、あるいは各ソーシャルメディアでの動画を撮影するのに便利なのですが、制限もあります。
たとえば、スローモーション。広角での撮影の場合は最大8倍までスローにできますが、縦向きモードでは2倍までとなります。
また、改良されたビデオブレ補正機能「HyperSmooth 6.0」の水平ロック機能は縦向きモードでは使えません。
私は、自転車やハイキングの際にこの機能を使っていくつか撮影しましたが、跳ねたりガタガタしたりという状況では、追加のスタビライザーが必要かなと思いました。
縦向きで、TIME WARPやスタートレイル、ライトペインティングといったタイムラプス機能を使うこともできます。これは素晴らしいことなのですが、縦向き撮影モードでも水平ロック機能が有効にできればもっと良かったな、と思いましたね。
まったく新しい機能としては、一定間隔で写真を撮影する「インターバル撮影」機能もあります。
しかし、撮影したビデオからフレームを抜き出すことでほぼほぼ同じことができるので、個人的には不要かなと。しかし、長時間に渡って映像をキャプチャしたい、という人には良い機能だと思います。
今回もアスペクト比8:7がある
前モデルGoPro Hero 11では、ほとんどのデジタルビデオフォーマットの標準である16:9のアスペクト比、あるいは「スタンダード」といわれる4:3、これらと比べてより広範囲を撮影できる8:7のアスペクト比をもたらしました。
8:7のアイデアは、ユーザーが後で撮影したビデオから必要なものを切り取るのに便利で、8:7から16:9に切り取るなんてことも容易にできるわけですね。
Hero 12はHero 11と同様、基本的な解像度オプションに、60fpsで最大5.3K、120fpsで4Kが含まれます。2.7Kで最大8倍のスローモーション撮影が可能です。
アクセサリー「Maxレンズモジュラー2.0」で超広角撮影をサポート
次に、新たな「Maxレンズモジュラー2.0」があります。これは、超広角なPOVショットを撮影するための追加アクセサリーの改良バージョンです。
これを使用して4Kを60fpsで撮影すると、超広角で撮影しても画質が安定します。さらにMax HyperSmooth機能により映像のブレも補正されるのです。HyperSmooth 6.0は、前バージョンの4倍のデータ解析ができるとのことでさらに性能が向上しているでしょう。
しかし、私は自転車で縁石と飛び越えるときにガタガタしたときなど、ブレが気になりました。
Maxレンズモジュラー2.0を使って縦向き動画を撮影することもできますが、そもそもの自撮り性能を考えると少し過剰になるかなと感じました。
Maxレンズモジュラー2.0がどれほど役に立つかは用途によって異なりますが、エクストリームな景色を捉えるために持ち出せば、がっかりすることはないでしょう。被写体が近いなどクロース寄りの場合は、過剰になってしまうと思います。
そのほかの追加機能について
GoPro Hero 12本体に話を戻しましょう。
私がもっとも驚いたのは、1/4-20UNCの取り付けネジだったことです(これはあまり言及されていないようですが …)。このネジ構造は一般的な三脚に使われているタイプなので、あらゆる種類の三脚に設置できることを意味しています。
そして、今回からBluetooth接続も対応します。マイクやイヤホンなど、同時に最大4つのBluetoothデバイスに接続可能です。
Hero 12では、タイムコード同期やLog撮影オプションなどの機能もバージョンアップ。たとえば、複数のGoProで同時に撮影する時にタイムコードを自動的に同期してくれるといった機能です。これらについては、プロのクリエイターがビデオ編集をする時に便利というものですが、一般のカメラユーザーとしては範囲を超えたものだと思えました。
基本的にHero 12は、これまでのモデル以上に従来のカメラのように動作する点が優れていると思います。残念ながらGoProのアクションカメラが長い間そうだったように、特にカメラのデフォルトの使いやすい設定でいじる場合には、通常のカメラと同じような画質で撮影できるとは限らないのです。
熱に耐えられれば長時間撮影も可能
さて、バッテリーに関してです。
GoPro Hero 11と同様の1720mAh Enduroバッテリーは、このような小さなデバイスに対しては十分な大きさだと思います。
先日、うっかりリビングルームで約40分間撮影し続けたことがありましたが、その時のバッテリー残量は約40%でした。
GoProはHero 12のバッテリー性能について、5.3K 60fpsの設定で、かつフル充電の場合に70分間撮影可能としています。Hero 11の場合は35分間で、2倍ということになりますね。さらに、4K 120fpsで1時間弱の撮影が可能。こちらもHero 11と比べて2倍になっているそうです。
このようにバッテリー性能は向上していますが、それでも節約するのが賢明でしょう。
GoProには、デバイスの電源を入れなくてもすぐに撮影を開始できる「QuickCapture」などの機能があります。短い動画を撮影する場合、Hero 12は丸一日の撮影でも十分に耐えうると感じました。
ただし、依然としてデバイス自体が熱くなってしまいます。
私はコンセントに差し込んで充電しましたが、これがGoPro独自のクラウドサービスに撮影した動画をアップロードする方法でもあるのです。それ故か、充電中に持ち上げようとしたら、熱い鍋でも触れたかのように感じて驚きました。
暑い日にハイキングをしていたときに、最高設定で撮影するとHero 12が熱を帯びているのと感じました。その時は一度に数分ごとしか撮影していなかったのにもかかわらず、です。
太陽にさらされた状況下で長時間撮影をしていたらさらに熱くなるであろうことは容易に想像できます。また、充電中の熱に関しては、撮影時の温度上昇とは異なり、GoProの電源をオフにすれば良い、という簡単なものではないので少し気になりますね。
画質は状況によって幅がある
さて、撮影した動画の画質については、私たちがGoProに強く求めるもののひとつです。
デフォルトの設定では、屋内で撮影した映像は、特に低照度環境では多少粗く見えることもあります。また、照明が明るい、あるいは晴天の屋外の状況下では、グレアやレンズフレアが発生するのも感じました。
私が洞窟で撮影した時には、暗いところから明るいところへ、といった状況が多くありました。オート設定では、この明度変化に追いつくのに苦労します。
私が実際に使ってみた限りでも、撮影した映像の画質はまあまあから高品質まである程度幅があると思いました。が、これに関しては、どのような状況で制限がかかるかなど、何が原因か知ることのほうが重要といえます。
また、ライトペインティング撮影も設定により可能となっていますが、個人的にはこれは満足いくものと感じなかったので紹介は控えておきます。
暗い状況では、手持ちよりも三脚を立てて安定させたほうがはるかに良い性能になります。ロックフェラーセンターでローラーブレードをしながら撮影した時、動画がまったく安定せず、動画に縞模様のノイズが入っていました。
Maxレンズモジュラー2.0も触ってみた
前述の、超広角撮影を可能にするアクセサリーのMaxレンズモジュラー2.0もテストしました。
Hero 12をMaxレンズモードに切り替えると視野角177度まで広がります。Max SuperViewとMax HyperView設定があり、より広い範囲を撮影可能です。また、Max HyperSmoothによるビデオブレ補正も組み込まれています。
これらにより、広範囲を撮影できて印象的な景色を捉えられ、魚眼レンズの印象が強くなると感じました。
Maxレンズモジュラー2.0では、以前のバージョンよりも耐久性と耐水性が高くなったそうです。短期間の使用では、キズなども気になりませんでした。
自動アップロードは非常に便利
GoProには、サブスクリプションベースの動画編集アプリ「GoPro Quik」があります。
月額、あるいは年額のサブスクリプション登録で、すべてのビデオと画像を無制限で保存できるクラウドストレージが利用可能。
また、GoProとスマートフォンが接続されていて、両方がWi-Fiに接続されていれば、そのクラウドストレージに自動的にアップロードされるようにできています。この機能は、特にGoProのSDカードを読み取るデバイスやカードリーダーがない人にとっては非常に便利です。
動画編集はQuikアプリのリリースまで待つ必要がある
さらに、GoProがQuikのデスクトップアプリをリリースする予定です。これにより動画を編集アプリへとシームレスに移行できます。リリース予定はMac版が今年の11月、Windows版は来年の夏まで待つ必要があります。
しかし、これは撮影から編集へとより素早く簡単に導く機能となるため、期待されますね。
GoProには、アプリ自体にシンプルな編集機能がついていて、プリセットで用意されたテーマや音楽があります。本葉にオリジナルなものを作成できるわけではないですが、ソーシャルメディアにアップロードするための簡易的なクリップ作成には便利だと思います。
一連の動画をアップロードするたびに、GoProは自動で切り取って音楽を挿入したクリップを作成します。この自動編集では、各動画のハイライトとなる部分の分析などはなされません。たとえば私のフェンシング動画では、常に2人の人物が旋回しているだけの映像となっていました。
最後に、GoPro Hero 12 Blackは基本的に期待される状況においてうまく機能します。特に耐久性と使いやすさはかなり良いと思います。ソーシャルメディアにアップルするようなおもしろ動画を撮るにはこれらは非常に重要です。
気をつけて使えば、デバイスはバッテリーを交換したり充電をしなくてもしばらくは持つと思います。が、個人的には、電源が切れるまでにデバイスがどれくらい熱くなるか、という点のほうが気になりますね。