祝1周年!ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡が撮影した宇宙の神秘たち

2021年12月に、宇宙の起源に迫るという壮大な目標と共に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)。

同望遠鏡は1カ月かけて地球から100万マイル(約160km)離れた第2ラグランジュ点(L2点)という観測場所にたどり着き、そこから6カ月かけて科学観測のための調整作業を実施しました。

そして昨年の7月には、130億年以上前の“深い宇宙”を捉えたJWSTによる初のフルカラー画像をバイデン大統領がお披露目。

そのほんの数カ月後には、最初に公開した画像の8倍の面積のディープ・フィールドを撮影したのでした。

早いものでJWSTの本格的な科学観測キャンペーンが始まってから1年。同望遠鏡が捉えた神秘的で美しい宇宙の光景を集めてみました(JWSTから届く画像の着色や、その作業を担っている専門家たちに関しての記事もどうぞ)。

へびつかい座ロー星

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NIRCamで撮影した、地球に最も近い星形成領域「へびつかい座ロー星」
Image: Image NASA, ESA, CSA, STScI, Klaus Pontoppidan (STScI) Image Processing Alyssa Pagan (STScI)

地球から約390光年離れた分子雲複合体を捉えた、7月中旬に公開されたばかりの画像です。

JWSTに搭載されている観測機器には、近赤外線カメラNIRCamと中赤外線測装置MIRIがあります。

この画像はNIRCamで撮影され、巨大な水素分子のジェットが赤色で示されています。写っている領域内には、若い星が50個ほどの存在しているそう。

オリオン・バー

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NIRCamが観測したオリオン星雲の一帯
Image: ESA/Webb, NASA, CSA, M. Zamani (ESA/Webb), PDRs4ALL ERS Team

こちらは地球から1350光年離れたオリオン星雲の一角の画像です。

ガスの濃い領域には、研究者たちが星間化学において重要な要素かもしれないと考える炭素分子が含まれています。

JWSTはL2点という観測場所から宇宙空間にある星とガスが光り輝く領域を撮るだけでなく、そのガスに存在する分子も特定できる…その性能には驚かされるばかりですね!

ウォルフ・ライエ星「WR 124」

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急速に燃焼しつつあるWR 124の合成画像
Image: NASA, ESA, CSA, STScI, Webb ERO Production Team

輝きながらも死にゆくウォルフ・ライエ星は、質量を急速に失っています。

寿命を迎えると起こす超新星爆発は、宇宙で最も煌びやかな天体ショーの1つ。

ウォルフ・ライエ星「WR 124」は太陽の30倍以上の質量を持つ星でしたが、これまでに太陽10個分の質量を失っています。ちなみに地球からは1万5000光年離れているとか。3月に公開されました。

天王星とその環

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複数の同心円状の環に囲まれた天王星
Image: Science NASA, ESA, CSA, STScI Image Processing Joseph DePasquale (STScI

こちらは、2023年2月6日に撮影された天王星。土星を囲む環ほどしっかり見えるわけではありませんが、天王星にも環は存在します。13本ある天王星の環は薄くとも、JWSTにはハッキリと見えるのです。

この画像には白くて大きい天王星の極冠も鮮明に写っています。この極冠は2028年には地球に面するので、JWSTにとってはまたとない撮影チャンスになりそうです。

「LEDA 2046648」(と無数の銀河)

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ヘルクレス座にある渦巻銀河「LEDA 2046648」
Image: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Martel

画像の下側にあるのが渦巻き銀河「LEDA 2046648」で、地球からは10億光年以上離れています。無数の星々がひしめく数千の銀河に囲まれたLEDAは、ヘルクレス座に存在しています。

南のリング星雲

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南のリング星雲のガスの分布を表した2点の画像
Image: Science NASA, ESA, CSA, STScI, Orsola De Marco (Macquarie University) Image Processing Joseph DePasquale (STScI)

どちらの画像も同じ星雲を捉えています。「南のリング星雲」は昨年7月に公開された、JWSTが最初に撮影した天体の1つでもあります。

この左右並んだ画像は2022年12月に公開されたもので、同じ構造の異なる側面を観測できるというJWSTの性能を示しています。

この星雲は、2000光年離れた恒星が超新星にならずに一生を終える過程で約2,500年前に誕生しました。その形成過程についてはこの記事が詳しく説明しています。

創造の柱

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わし星雲にある「創造の柱」の、息を呑むような美しい光景
Image: Science NASA, ESA, CSA, STScI Image Processing Joseph DePasquale (STScI), Anton M. Koekemoer (STScI), Alyssa Pagan (STScI)

「創造の柱」はわし星雲にある柱状のガスで、1995年にハッブル宇宙望遠鏡が捉えたことで有名になった天体です。その柱の高さは数光年ほどもあるとか。

JWST版の「創造の柱」はハッブル版と比べると星々がまばゆく煌めいており、さんさんと輝く星形成領域を映し出しています。

タランチュラ星雲

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タランチュラ星雲のこの世のものとは思えぬガスや塵の束。NIRCamが観測
Image: NASA, ESA, CSA, STScI, Webb ERO Production Team

2022年9月に、NIRCamで撮影されたタランチュラ星雲。この名称は、星雲の形がクモの糸が張られたタランチュラの巣穴に似ていることに由来しています。

この星雲は地球からは16万1000光年ほど離れており、「大マゼラン雲」の一画に存在します。画像には生まれたばかりの原始星も写っているとのこと。

ファントム銀河

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ハッブルとJWSTのデータを合わせた、ファントム銀河の画像
Image: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST Team; ESA/Hubble & NASA, R. Chandar Acknowledgement: J. Schmidt

ファントム銀河(M74)は渦巻銀河で、らせんを描くような構造にはガスや雲、塵、星形成領域が存在しています。くっきりとした渦が特徴です。

同銀河の画像はハッブル宇宙望遠鏡とJWSTが取得したデータを合わせたもの。2022年の8月に公開されました。

木星

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近赤外線で観測した木星
Image: Image credit: NASA, European Space Agency, Jupiter Early Release Science team. Image processing: Judy Schmidt

太陽系の巨大ガス惑星である木星も、青色のトーンだと何だか新鮮ですね。木星はJWSTによって撮影された最初の木星型惑星で、その後に天王星と海王星も撮影されました。

昨年8月に報じたように、この画像は北極と南極の両方での木星のオーロラも捉えています。木星のオーロラ放射は、高高度のH3+イオンから生じるようです。

車輪銀河

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4億4000万年ほど前に形成された車輪銀河の合成画像
Image: NASA, ESA, CSA, STScI, Webb ERO Production Team

JWSTが地球から5億光年離れた車輪銀河を公開したのは2022年8月のこと。

2つの銀河が衝突したことで形成された同銀河は、ちょうこくしつ座の方向にあります。外側のリングは4億4000万年にわたって膨張し続けているそう。

ウェッブプロジェクトの科学者Klaus Pontoppidan氏はその当時、米Gizmodoのメール取材にこう答えていました。

「車輪銀河を捉えたJWSTの最新画像は、銀河同士の激しい衝突が新たな星々の波を引き起こす様子の内部を示しています。これのおかげで、私たちは初期宇宙における銀河の発展への理解を深められます」

観測データから作成された深宇宙の映像

CEERSディープ・フィールドの3Dビジュアライゼーション

昨年8月に公開された宇宙進化初期リリース科学サーベイ(CEERS)ディープ・フィールド画像には、ビッグバンの約3億9000万年後に形成された非常に古い銀河が含まれていました。

そして今年の7月上旬、JWSTを運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)はそんなデータの一部分を映像化。2億光年を1秒でひとっ飛びする、深宇宙の動画が公開されたのでした。

Source: Webb Telescope(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, ), ESA Webb Telescope(1, 2, ), ESA, Berkeley news,

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