SpaceXを押しのけて中国企業が世界初のメタンロケット打ち上げに成功

メタンは安くてクリーンで再利用可能。

北京の民間宇宙開発企業・藍箭航天(LandSpace)が、世界に先駆けてメタンロケットの打ち上げに成功し、宇宙飛行の歴史を塗り替えました。

ゴビ砂漠にある酒泉衛星発射センターから12日午前9時に打ち上げられたのは、メタン+液体酸素を燃料とする「朱雀2号」(全長49.5m)です。

固形燃料の3段ロケットを採用した1号は、2018年に打ち上げましたが失敗。液体燃料に切り替えて挑んだ2号も、昨年12月の初トライでは衛星14基を積んだまま打ち上げ失敗。今回はなんにも積まないで挑み、3度目の正直で無事軌道に乗りました。

同社の「吉報」はこちら。軌道に乗ったことは米宇宙軍も確認済みです。

[embedded content]
Video: The Launch Pad/YouTube

メタンにすると何がいいの?

メタンは今のロケットを駆動する液体水素や石油燃料より安全で、製造コストもかかりません。

タンクは小さくて軽め。完全燃焼なので燃えカスの心配もなく、エンジンは何度でも使い回しができるなど、いいこと尽くめ。まさに再利用型ロケットにはぴったりな次世代燃料ということで宇宙産業の熱い注目を集めているんですね。

4月に派手に爆発した人類史上最大最長ロケットのStarshipもメタンへの移行を検討中だし、メタンを主力とするロケットにはほかにも米Relativity Space社の「Terran-1」(3月にエンジン不良で軌道突入に失敗)とその後継の「Terran R」、ニュージーランドのRocket Lab社の「Neutron」、ジェフ・ベゾスの米Blue Origin社の「New Glenn」などがありますが、朱雀2号はこうした並み居るライバルを押しのけてメタンエンジン一番乗りを決めたことになります。

中国宇宙産業といえば昔は国営一色でしたが、ここ10年は、政府が民間宇宙関連企業への投資を許可したこともあって目覚ましい成長を遂げています。これからが楽しみ。

タイトルとURLをコピーしました