Spotify バイスプレジデントが語る、ポッドキャスト事業の成長戦略。

DIGIDAY

Spotifyは、新製品であるSpotifyアドアナリティクス(Spotify Ad Analytics)を今年のカンヌライオンズフェスティバルに持ち込んだ。

この計測ツールは、広告主にSpotify上での広告パフォーマンスを報告するとともに、プラットフォーム独自の追跡ピクセルを導入することで、広告がSpotifyの外で広告主のビジネスにどのような影響を及ぼしているかを提供することを目的としている。

「これは、私たちがポッドサイツ(Podsights、Spotifyが買収したポッドキャスト測定サービス)から得た非常に深い情報や分析を、ポッドキャストだけでなく音楽にも取り入れ、また地域も全地域にまで広げ、それを無料で利用できるようにしたものだ」と、Spotifyのバイスプレジデント兼広告ビジネスおよびプラットフォームのグローバル責任者であるリー・ブラウン氏は、最新のDIGIDAYポッドキャストエピソードで述べた。

また、「広告主のキャンペーンがSpotifyだけでなく、(彼らのオーディオ広告)が流れるプラットフォームならどこであれ、どのような成果を上げているか、より深い洞察を提供するサービスでもある。Spotifyの(追跡)ピクセルを導入する機会を提供し、ひとつのダッシュボード上で広告主の全てのオーディオ関連の分析を、一元的に追跡できる」と話した。

ポッドキャストの成長が重要な要素に

Spotifyは広告事業を最終的に全体の収入の20%を占めるようにする計画を持っており、新しいアドアナリティクスはその計画の一環だ。2021年の第4四半期以来、広告事業のシェアは10%から14%のあいだで推移している。

同社のポッドキャスト事業は成長を見せてはいるものの、音楽コンテンツに対する広告収入と比べるとポッドキャストの広告収入の割合は比較的少なく、ここを成長させることは重要な要素となっている。Spotifyのポッドキャスト部門は、この月初にオリジナルの番組6つのキャンセルを含む、レイオフを行った。

Spotifyは、カンヌで今年初めに発表したAI DJ機能も披露。これはユーザーにパーソナライズされたおすすめ音楽を提供するように設計されている。「それは我々のアルゴリズムが声を持ったようなもの、だと私は表現している」とブラウン氏は語っている。

なお、Spotifyはまだ広告ビジネスに生成型AI技術を適用していないが、Spotifyのポッドキャストイノベーションとマネタイゼーション部門の責任者であるビル・シモンズ氏は最近、同社がAI生成の広告製品を開発していることをほのめかした

AIを用いた広告計画について問われたブラウン氏は、「まだ長期戦略の開発初期段階にある。翻訳の自動化、シナリオ執筆の自動化、クリエイティブプロセスの自動化など、いくつかの領域でテストを行っている」と述べた。

以下の会話のハイライトは、読みやすさと長さのために若干の編集を加えてある。

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音楽事業の広告収入とポッドキャスト事業の広告収入について

両方とも非常に早く成長している。ポッドキャストは(音楽事業とは)別のステージにある。そのため、今は(広告収入の)大部分が音楽事業だ。しかし、ポッドキャスト(における広告収入)も急速に全体における割合を高めている。

AIの導入について

私たちは積極的にAI DJ機能とともにAIをテストしている。ただし現在、(AIは)広告主とはまだ積極的にテストしていない。だが、AIがどのようにスケールし、クリエイティビティを向上させることができるか、そのことに私は非常にやりがいと楽しみを感じている。

プログラマティック事業について

ポッドキャストにおけるプログラマティック広告販売のチャンネルを開放した。また、セルフサービスプラットフォームであるアドスタジオ(Ad Studio)にも追加した。このように、広告主がそのチャンネルを通じてポッドキャスト(上の広告)を購入する機会を提供している。

カンヌでの話題について

カンヌでは多くが下半期と2024年を迎えるにあたっての内容に焦点を当てたことだろう。多くのプラットフォームと広告主は、上半期を終えたこと、そして今後の状況を垣間見ることを非常に喜んでいるだろうと思う。

[原文: Spotify’s Lee Brown talks up the platform’s latest advertiser pitch

Tim Peterson(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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