狙ってヒット曲を作れる時代がくるかもしれません。クレアモント大学院大学による最新の研究で、人間の脳の反応から97%の精度でヒット曲を予測するアルゴリズムが開発されました。
*Category:サイエンス Science *Source:sciencealert ,frontiersin
人間の神経の反応から「ヒット曲」を予測するアルゴリズム
ヒット曲かどうかを判断する上で、人の感想はほとんどアテになりません。これまでの研究では、脳スキャンを使用しても、ヒット曲を予測できる割合は50%程度でした。しかし今回の研究では、より踏み込み、人の神経の反応を探るアルゴリズムが採用されています。
研究では、参加者はまず、心臓センサーを装着した部屋に座り、スピーカーから流れる最近の24曲を聴きました。13曲はストリーミング・プラットフォームがヒット曲と判断したもので、参加者にはどの曲かは知らされませんでした。
実験の最後に、グループにはどの曲が一番好きか順位をつけます。心臓センサーから収集されたデータは、心拍数データから脳の状態を推測する神経科学プラットフォームに送られました。
例えば、歌を歌ったり音楽を聴いたりすると、脳幹からオキシトシンが分泌されます。また、何かに特別な注意を払っているときや、何かに「没頭」しているときにはドーパミンが分泌されるようになります。人が神経学的に歌に「没頭」している時間が長ければ長いほど、また「引っ込んだ」状態にいなければいないほど、その歌が国民的ヒットになる可能性は高くなるのです。
このアルゴリズムは、たった1分間曲を聴いただけの生理学的データを与えられたとしても、82%の精度でヒット曲を予測することができたとのこと。これは、個人がその曲を聴いて楽しかったと答えたかどうかよりも、ヒットの指標としてはるかに優れていたそうです。
33人の神経活動が、何百万人もの人が新しい曲を聴いたかどうかを予測できるというのは、非常に驚くべきことだ。これほどの精度が示されたことはない
— 出典:frontiersin
研究者は「このアプローチは、映画やテレビ番組など、他の多くのエンターテインメントのヒット予測にも使える可能性がある」と述べ、今回の研究をさらに応用できる可能性を示しています。
神経科学技術を用いて感情的反応を測定することで、アーティスト、レコード・プロデューサー、ストリーミング・サービスは、新しい音楽でリスナーを喜ばせることができる。我々の貢献は、末梢神経系からのオムニバス神経科学測定が、ヒットとフロップを極めて正確に分類することを示したことである。
— 出典:frontiersin
近い将来、科学的に「感動する映画」や「絶対に面白い番組」などがたくさん登場するようになるかもしれませんね。