オデコにピタっと。
コロナパンデミックで日常の風景となった検温。これがスマホでできたらな…と思ったことある人は多いと思いますが、その日は近いかも。ワシントン大学の研究チームが、体温測定アプリを開発しました。注目は、周辺機器を追加することなく既存のスマホだけで測定できるということ。
スマホに内蔵されている「サーミスタ」を利用
ワシントン大学研究チームが開発したスマホ体温計アプリFeverPhoneは、追加ハードウェアは必要とせず、すでにスマホに搭載されているパーツ、サーミスタを活用しています。
サーミスタは、バッテリーなど端末内部の温度を測るために搭載されており、夏場によく出てくる「スマホが熱くなっています」というあの注意文に関連する温度センサです。
サーミスタは医療用体温計にも使用されていますが、さすがにスマホの内部から直接的に体温を測るのは無理。ではどうするかというと、スマホ(タッチスクリーン)をピタリとおでこにくっつけて、人とスマホの間で移動した熱エネルギーの量をトラッキングします。おでこにくっつけておく時間は90秒ほど。
FeverPhoneのテストでは真空調理器を活用。水を入れたビニールバッグを真空調理器で温め、スマホ画面をピタリとつけて測定。スマホは画面保護シートあり、ケースありなど、複数パターンで実験されました。この実験で取得した、端末がどれほど早くあたたまるかというデータは機械学習のトレーニングに使用され、そのモデルがFeverPhoneアプリが体温を予測するもとになっています。
体温計との差はわずか
ワシントン大学医学部救急医学科で行なわれた臨床試験には、37人が協力。FeverPhoneアプリでの測定と従来の体温計での測定結果を比較したところ、その差は平均で0.23度程度。非接触型も含む家庭用体温計として、この数字は誤差です。つまり、FeverPhoneアプリによる普通のスマホの体温計化は成功だと言っていいかと!
現在、研究チームは、機械学習モデルのトレーニングのためテストするスマートフォンの種類を増やし(テスト第1弾は3モデルのみだった)、アプリの精度アップにつとめています。
さらに、スマートウォッチ版アプリの展開も視野にいれているそう。スマートウォッチはスクリーンが小さいため、熱が伝わり暖まるのも早いことから、測定に90秒もかからないだろうとのこと。すでに、Apple Watch Series 8やUltraでは、新たに搭載されたセンサーが体温測定を可能にしています。が、まだ正確だと言えるレベルにはなく、医療向けというよりは、睡眠パターンの理解を深めるためのデータという位置付けにあります。
スマートウォッチで体温測定できるようになれば自動検温できますね。ルーティンの無意識自動化、うれしいです。
Source: University of Washington