質問「ケニアにも いじめ はあるのか?」に対する “壮絶な体験談” と、いじめ撲滅のための断固たる姿勢【カンバ通信】第302回

ロケットニュース24

ジャンボ! 今回もリクエストボックスに届いた読者からの質問に答えたいと思う。いくつか同じような質問が届いていたのだけれど、まとめるならば「ケニアにもいじめはあるのですか?」みたいな感じ。答えよう。


あるよ。いや、「あったよ」と答えるべきかもしれない。


実際にオレが体験した、壮絶ないじめの現場を書いてみようと思う。

・小学校時代

オレが小学校の頃は、朝から歩いて学校に通っていた。家から学校までの距離は、とても遠かった。5キロはあった。

両親はオレに靴を買う余裕がなかった。だからオレは靴を履かず、裸足で5キロの道のりを歩いて通学していた。

辛いのは、暑い日だ。太陽が地面をジリジリと焦がし、歩くたびに足が焼けるように熱かった。

地面の温度が上昇しきると、いよいよ裸足では歩くことすらできなくなる。オレは木の下で、地面が冷めるのを待っていた。


・中学校時代

そんな小学生時代を経て、オレは中学校に進学した。でも、足を焦がして、家から学校に通う必要はなくなった。

なぜなら中学校は寄宿学校(共同生活をさせる学校)だったから。寮からすぐに学校へ行ける。俺は嬉しかった。

しかし、すぐに「学校が怖い」と感じるようになった。なぜなら、いじめっ子がいたからだ。たくさんいた。


彼らは、いじめのターゲットになる子たちを、「ユオ(蛇の意)」だとか、「モノール(これは単なるあだ名で、意味はない)」と呼んでいた。

まずは、言葉でのいじめだ。それはまるで、トレンドのようだった。みんながそう呼ぶから、自分もそう呼ぶ、みたいな連鎖が起きていた。



次に発生したのは、直接的な暴力でのいじめだ。たとえば夜、寮で寝ている時。いじめっ子たちはタオルを持って現れる。

そしてタオルを水の中に入れ、濡れたタオルでいじめられっ子たちを殴っていた。濡れタオルでの殴打、それは痛いに決まっている。


続いてのいじめは、金だ。いじめっ子たちは、ターゲットに「パンと牛乳を買ってこい」と命令するんだ。

これに従わないと、いじめはエスカレートする。逆に、従って、パンと牛乳を買うと、夜、安全になる。

命令に従った新入生たちは、夜、濡れタオルで殴られなくて済むようになるんだ。まるで刑務所のようだった。


ある時、誰かが、いじめっ子たちが行なっているいじめ行為を先生に密告した。いじめっ子らは先生に罰を受けていた。

だが、その夜。いじめっ子たちは電気を消し、オレ以外の新入生全員をフルパワーで順番にブン殴っていた。

なぜオレが殴られなかったのかというと、とっさにベッドの下に隠れたからだ。オレは足元から、その光景を見ていた。



──時を経て現在。ケニアの学校で “いじめ行為” は認められていない。

もしも生徒が、言葉や行動で他の生徒を脅迫したり嫌がらせしたり、すなわち “いじめ行為” をした場合、その生徒は永久に帰宅させられる。永久の帰宅=停学 → 退学だ。

そのような処分を受けた生徒は、引き続き教育を受けるため別の学校を探すわけになるが、受け入れられるのは非常に困難。

現実的に、転校をすることは無理だろう。つまり現在のケニアでは、「いじめたら、もう学校には復帰できない=学業終わり=人生終わり」なのだ。

それくらい、いまのケニアではいじめに対し厳格に対処している。「いじめたら人生終わり」くらいの勢いで。


いじめは良くない。いじめられた側は、うつ病を引き起こす場合もある。睡眠不足に陥ることもある。いじめられていたら学業にも集中できず、学力が低下する可能性も大いにある。本当に良くないことだ。

日本の学校がいじめに対し、どのようなスタンスをとっているのか、オレにはわからない。

だが、ケニアでは「いじめたら人生終わり」みたいな状態になっていることを覚えておいてほしい。そのくらい、ケニアでいじめは許されないことなのだと。クワヘリ。


執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

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