名古屋の大須。名古屋観光の定番スポットで、食べ歩き商店街や電気街など、多くの顔を持つ繁華街である。
先日、別件の取材のついでに少し寄ってみたのだが、大須を訪れた僕に爪痕を残したのは名古屋めしでも串に刺さった韓国フードでもなかった。
ハトの大群だ。
繁華街の中にある立派なお寺(に潜む脅威)
大須観音というお寺があり、大須のシンボルとも呼ばれているようだ。
これは見事、と思って写真を一枚撮った直後のことだ。子供の「キャッ!」という悲鳴が聞こえて、視界の端でなにか銀色のものを放り投げる様子が見えた。
なにかと思ったら、ここではハトのエサやりができるようなのだ。
女の子が放り投げた銀色のものは、ハトのエサが入っていたトレイ。エサを持った瞬間に大量のハトに襲撃され、思わず手放してしまったようだ。
悲鳴を聞いたときはなにごとかと思ったが、なるほど、そういうことならほほえましい出来事である。
せっかくなので僕もやってみよう。そう思うのもまた、のどかな旅先の昼下がりという感じだ。
しかし平和な時間はここまでだった。このハトたち、めちゃくちゃ怖いのだ。
通りすがりの人にお願いして、僕のえさやりを動画に撮ってもらった。
ここで、すでに両肩にハトがとまって待機しているのがわかるだろうか。
この時点で圧がすごい。そしてエサ置き場からエサを取り出した瞬間……
バサバサバサバサバサ!!!!
一瞬にして僕の肩・頭・腕・トレイ上の4点がハトに占拠された。
僕の体の上で、ハト同士がぎゅうぎゅうになって押し合いながらエサをガツガツ食べている。
爪が鋭いので、体の上で押し合いされると食い込んで痛い!
上空から勢いをつけて次々降りてくるため、軽いはずのアルミのトレイが重い!
着地の衝撃でエサがこぼれると、それを食べに足元にもどんどんハトの波が押し寄せてきて、身動きが取れなくなってしまう…!
こうなるともうなにもできない。顔を上げていると突かれそうなので、ただ下を向いて目を守り、嵐が過ぎ去るのを待つのみ。
耳元では「バサバサバサ!!!」と鳴りやまない羽音が続く……。
「エサやり」とか生やさしいものではない、完全に野生動物の襲撃だった。バイオレンスなのだ。
エサがなくなると一変、瞬時に興味を失って去っていく。その切り替えの早さが、感情のないロボットという感じがして怖かった。
動物とのふれあいを期待して挑んでみたものの、終わってみれば「彼らと心を通じ合うことは一生できそうにない……」という気持ちだけが残った。
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襲撃の様子をとらえた動画
こういう場面では必ずヒッチコックの「鳥」が引き合いに出されるが、僕は見ていないので何とも言えない。しかし未履修にして「これをテーマにホラー映画作れるな」と思わされる恐怖体験であった。
僕が住んでいる東京だと条例でハトのエサやりは禁止されているので、こういう体験は大須観音ならではだと思う。でも、だからといって万人におすすめはできない。こわいから…。
こうして、ハトの群れは大須観音を訪れた僕に文字どおり、爪痕を残した。
もし体験したい人がいたら、かならず長袖を着用してくることをおすすめする。それはそれで袖をボロボロにされそうですが…。
ハト量が過剰
そもそもの話、大須観音はハトが多い。
みなさんも、名古屋に行くときはぜひ大須観音に訪れてみてはいかがでしょうか……等といまさら僕が言うまでもない有名スポットだが、訪れる際はハトに注目して、注意して、そして畏怖してほしい。