いまさらいう話でもないが、大阪のたこ焼きはうまい。本場で食べる、という行為自体がスパイスになっている部分もあるかもしれないが、それだけでは説明がつかないくらいにうまいのだ。
大阪のあのうまいたこ焼きの秘密を知りたくて、いろいろ調べていくと一軒のたこ焼き器工場へとたどり着いた。
「甲野製作所」
そこはたこ焼きの聖地ともいえる場所だった。
※2008年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
聖地は出戸というところにありました
目指すたこ焼き器工場は大阪駅から地下鉄で30分ほどいった出戸という駅の近くにある。たこ焼き器の聖地がある駅とはいえ、駅前にたこ焼きの屋台があるわけでもなく、いたって静かな住宅地だった。
出戸駅に至る大阪市営地下鉄谷町線、出戸駅のひとつ手前の駅に「きれうりわり」という駅がある(漢字で書くと喜連瓜破)。もちろん地元では当たり前の地名なのかもしれないが、初めて聞くと到底駅名とは思わない。びっくりしたので特に今回の記事とは関係ないが、紹介してみました。
出戸駅から住宅街を歩いて20分ほど。住宅地の一角に工場がいくつか集まる場所がある。目指すたこ焼き器工場もこのなかの一つのようだ。
写真を見てもらえばわかるように、いたって普通の町工場だ。工場の中で機械が動いている音はするのだが、人の気配はまったくない。たこ焼き器の聖地と聞いて、パビリオン的なサービス空間をイメージしていたのだが、予想外の実直そのものの雰囲気に恐縮する。
あった。
ここが銅製のたこ焼き器を職人さんが一家4代にわたって作り続けているという知る人ぞ知るたこ焼き器の聖地、甲野製作所だ。
うむ、閉まっている。
実は前日連絡をしたときに言われたのだ。
「銅を叩いているとうるさいからシャッター閉めてるけど、気にせず開けて入ってくださいね」と
しかしこれほどまでに完全に閉まっているとは思わなかった。開けていいとは言われていても、人の家のシャッターを外から開けるのはやはりかなり躊躇する。
シャッターを開けるとひんやりとした冷気が吹き出してきてあわてて入ってからまた閉めた。銅をたたく音は聞こえなかったが、奥の方で人の気配がした。