アクリルフィギュアのスタンドに、プルバックの機構を組み込んでみた
後ろに引っ張ってから手を離すと、勢いよく前に進んでいく「プルバック」という仕組み。車のおもちゃ(チョロQなど)によく使われている方式である。
後退させることでぜんまいバネを巻き、それが元に戻ろうとする力で走るという単純な原理なのに、今も昔も子どもたちを夢中にさせている。
これを使って何か新しいものが作れないだろうか。たとえば、いま流行りの「アクリルフィギュア」と組み合わせると新たな世界が開けないだろうか。試しに作ってみたい。
プルバックのユニットを買ってきた
新しいプルバックのおもちゃが作りたい。まずは、そのための部品を集めるところから始めよう。
プルバックユニットは超シンプルだ。熟成した技術だけあって、まったく無駄のない完成した造形。それでいて工夫の塊のような仕組み(巻くときと走るときでギア比が変わるなど)を持っていて、こんなものが300円くらいで買えていいのかと思った。
でも本当にこれだけなので、別途タイヤ等のパーツを買わないと遊ぶことができない。どうしようかと悩んでいると、そういえば百均ショップでもプルバックのおもちゃを売っていることを思い出した。そのパーツを流用できないだろうか。
タイヤを流用しようと思っていただけなのに、思いがけずプルバックユニットも入手できてしまった。そりゃそうか。
このユニットを単体で買うと300円台なのに、百均のおもちゃだと、さらにタイヤや外装までセットになって110円。深夜の通販番組のような展開に、これぞ経済という感じがして清々しい気分になった。
タイヤの摩擦が少なすぎるため、フローリングの床で遊ぼうとするとタイヤが滑って全く進まないのだ。なるほど、絵に描いたような値段と性能のトレードオフである。百均商品からはいろんなことを学ぶことができる。
さてユニットとタイヤを入手したことで、自分でプルバックのおもちゃを作る土台が整った。
既存のプルバックのおもちゃは、ほとんどが自動車などタイヤで走るものがモチーフになっている。でも、走らせると面白いものって、もっといっぱいあると思うのだ。たとえば、非常口のピクトグラムとか。
構造上どうしてもタイヤが必要になるけれど、できるだけタイヤは目立たないように隠したい。そして車みたいな立体物の造形は大変なので、基本はアクリルフィギュアを立てるようにして、アクリルフィギュアのスタンドを兼ねたプルバックユニットにすればいい。
なかなか言葉で説明するのは難しいが、トップ画像を見てもらえれば一目瞭然だと思う。これを作っていきたい。
アクリルフィギュアスタンド兼プルバックユニットを作る
自作が難しい基本のパーツは既製品で揃えた。残りの部分は、3Dプリンタを使って自作しよう。
絵面としては「走る箱」みたいなシュールなものになっているが、肝心要は、この上に乗せるアクリルフィギュアの方である。そこが取り替え可能になっていることで、土台部分の箱はある意味、組み合わせ次第で無限の可能性を持っているパーツであるとも言える。
アクリルフィギュアを作る
近年、急速に勢力を伸ばしているアクリルフィギュア。安く簡単に作れるし、そのわりに飾りやすくて見栄えがいいので、流行っているのも納得である。
ただ自作しようと思うと、アクリルに印刷するためのプリンタ「UVプリンタ」がネックになる。アクリルをカットするレーザーカッターはうちにもあるのだけど、さすがにUVプリンタは個人で買うには躊躇する値段である(軽く100万円以上する)。なので今回は、カットしたアクリルにシールを貼って、それらしいものを作ることにした。
初めて作ったのだが、あっと言う間にそれっぽいものができてしまった。9割くらいは、単にレーザーカッターのなせる技である。レーザーカッターは偉大だ。
ちょっと土台が大きくて不自然ではあるが、「こういうアクリルフィギュアスタンドだ」と言い張れば、そう見えなくもない。自走するアクリルフィギュアスタンド、ここに誕生!