オーストラリアの魔法の粉?チキンソルトを食べてみる

デイリーポータルZ

オーストラリアを代表する食品といえばベジマイトが有名だが、最近さらなるオジー名物を発見した。

チキンソルトだ。

聞くと、フライドポテトに欠かせない調味料で、オーストラリア全国で愛されているのだそう。

しかもチキンソルトの開発者を主人公としたドキュメンタリー映画まで存在するらしく、オーストラリア人のチキンソルトに対する熱意が半端ない。これはただの調味料じゃないぞ。

やっと本物のチキンソルトを手に入れることができたので、食べてみようじゃないか。

知られざるオーストラリア名物、チキンソルト

世界のご当地グルメや、ちょっとマイナーな名物の話が好きだ。なので新しい人に会うたびにおすすめを聞くようにしているのだが、数年前にオーストラリア人と名物について話す機会があった。

オーストラリアには行ったことはないが、ベジマイトというしょっぱくて不思議な発酵食品が有名であることはなんとなく知っていた。

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ベジマイトといえば、2011年にライターの松本さんがベジマイトで和食を作っていた。ベジ納豆にベジ焼き鳥にベジ味噌汁。オーストラリア人が見たらひっくり返りそうだ。​​​​​

ベジマイト以外にはなにか名物はある?と聞くと、意外な答えが返ってきた。

チキンソルト?なんだそりゃ?

人生を変える魔法の粉

聞くと、ただの塩ではないらしく、フライドポテトに欠かせない調味料なんだとか。

それ以来チキンソルトがずっと気になってしまって、オーストラリア人に会うたびにチキンソルトについて聞くようにしていた。

その結果、いくつかのことが分かった。

チキンソルトについてわかったこと

  • オーストラリア全国で食べられている
  • フィッシュ・アンド・チップスには絶対(厚切りのフライドポテトにかける)
  • お店では普通の塩か、チキンソルトか聞かれる
  • スーパーでも買えるが、独自のブレンドを販売している飲食店もある
  • 人生を変える魔法の粉

チキンソルトがずいぶん愛されていることは分かったが、実際はどんな味なんだろう。

時が経つにつれてチキンソルトへの憧れと期待がどんどんと高まり、いつか本物のチキンソルトを食べてみたいな思うようになった。

チキンソルトにはチキンが入っていない

そんな3年越しの願いが、今年叶ったのである。

日本に帰省していた際、同じタイミングで東京に帰っていたオーストラリア在住の友人が、チキンソルトを持ってきてくれたのだ。

やっとチキンソルトを試す時がやってきたぞ!

念願のチキンソルト。オーストラリア土産で「チキンソルト」をねだる日本人、あんまりいない気がする。いや、もしかしたらいるのかも。

さてチキンソルトを開けようとした時、あることに気づいた。

商品名にチキンとあるぐらいだからチキンソルトにはチキンブイヨンが入っているのだろうと、この数年間ずっと思っていた。

ところが、パッケージをみると「ベジタリアン」と書いてあるではないか!

チキンなのにベジタリアン?どういうことなんだ。

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材料は塩、米粉、スパイス、オニオン・ガーリックなどの野菜パウダー、天然香料、酵母エキス、固化防止剤。確かに肉由来の材料は見当たらない。

開けてみると、インスタントラーメンの粉末スープのような匂いが鼻をくすぐる。

ニンニクや玉ねぎが効いた、しょっぱくて強烈な匂いだ。
色は砂漠の砂のようなオレンジ色で、さらさらしている。

舐めてみると、とてもしょっぱい。うまみ成分がうんと凝縮された味がする。

ポテトチップスとかスナック菓子に似た、ジャンクフード的な味もする。

うん、これはポテトにかけたら確実においしいだろう。

厚切りのフライドポテトにかけるのがベストだそうなので、冷凍ポテトを焼いてみることにした。

かける量の加減がよくわからないが、こんなものだろうか。

さっそく食べてみると、口の中でしょっぱさとうまみ成分が爆発した。

おおっ、パンチの効いた味!MSG(味の素)は入っていないそうなので、酵母エキスによるうまみだろうか。

なるほど、普通の塩よりクセになる味だから、これに慣れると塩だけじゃ物足りなくなる気持ちがよく分かる。

人生を変えるまではいかないかもしれないが、確かにやみつきになる味だ。ついつい手が止まらなくなる。

チキンソルト、なかなかうまいじゃないか。
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チキンソルトの生みの親は、偉人レベル

チキンソルトの味は分かったが、なんでチキンソルトなのにチキンが入ってないのか。気になったので、さらに掘り下げてみた。

チキンソルトの開発者はオーストラリア南部で鶏肉専門店を営んでいたピーター・ブリンクワースさんという方で、1970年代にローストチキンの味付け調味料として作ったのが始まりだそう。

元祖チキンソルトにはチキンブイヨンは入っていたものの、どちらかと言うと鶏肉の味付け塩ということで「チキンソルト」という名前をつけたそうだ。

その自家製チキンソルトをアドレード付近のフィッシュ・アンド・チップス屋などに卸したところ、ポテトにかけるとおいしいと評判になり、1979年にミタニ社によってレシピが商品化され、オーストラリア全国に広まったそうだ。

それ以来ミタニ社がレシピを改良したことでチキンブイヨンは使われなくなったらしいが、会社や店によっては今もチキンブイヨンを使うところもあるらしい。

今回私がもらったのもミタニのチキンソルト。日本名っぽいのでもしや日系の会社ではと思ったら、1950年代にヨーロッパから移住してきた家族が立ち上げた会社で、日本人ではなかった。

ちなみに、ちょうど去年の冬にチキンソルトの短編ドキュメンタリーがリリースされたばかりで、予告編を見つけることができた。

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あるインタビューでは「偉人レベル」とも言われていた、ブリンクワースさんを主人公にしたドキュメンタリー。ドラマチックな映像がチキンソルトに対する熱意を物語っている。残念ながらまだ映画祭などでしか公開されていないようだが、いつか見てみたい。

オーストラリア人のノスタルジーをくすぐる粉

チキンソルトの沼にハマった状態で、最後にオーストラリア出身の友人のベスに、チキンソルトが愛されている理由について一緒に考えてもらった。

アドレードで生まれ育った彼女のチキンソルトの思い出といえば、子供のころ浜辺のフィッシュ・アンド・チップス屋で食べたフライドポテトだそうだ。

人口が沿岸部に集中するオーストラリアの人々にとって、週末の娯楽といえばビーチに遊びに行くことなのだそう。そして、そのビーチに必ずと言っていいほどあるフィッシュ・アンド・チップス屋は、子供の頃から身近な存在だったと言う。

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私の勝手な想像だが、夏の浜辺で食べたチキンソルトのかかったポテトの思い出が、チキンソルトのカルト的な人気につながっているのかもしれない。

日本人が海の家で食べた焼きそばの味や、ドイツ人が市民プールで食べたフライドポテトの味を懐かしく思うように、オーストラリア人も浜辺で頬張ったチキンソルトのかかったポテトをいとおしく思うのだろう。

どんな国でも、子供のころ水辺で食べた炭水化物の思い出はノスタルジーのもととなる傾向にあるのかもしれない。

塩より基本的な調味料、チキンソルト

ついでに Reddit も覗いてみたら、オーストラリア人が「海外のケンタッキーって、ポテトにチキンソルトかかってないの?!」とショックを受けたコメントを見つけた。

むしろこっちからしたら「オーストラリアのケンタッキーは、塩じゃなくてチキンソルトなんだ!」とびっくりだが、それだけチキンソルトが日常的で当たり前なものなのだろう。

ベスによれば、チキンソルトが全国にワッと広がったのは、ケンタッキーのおかげでもある可能性が高いとのこと。

チキンソルト、日本でもシャカシャカポテトの新フレーバーとして出したらきっとワッと流行ると思うので、ぜひ試してみてほしい。

クリームチーズにチキンソルトを入れてディップにしたら、これもまたうまかった。

日本でもオーストラリアの味をどうぞ

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