Googleドライブの匿名アニマルを愛でる

デイリーポータルZ

ライターの業務上、Googleドライブのドキュメントやスプレッドシートを使うことがよくある。

いつも気になっているのが、「他のユーザーがいまこのファイルを見ています」という状態を示す動物アイコン。どうしてこのチョイスにしたんだ?というものが多く、表示されるたびにスクリーンショットを撮っていた。

今回は、筆者が集めた匿名アニマルコレクションを1匹ずつ観賞し、そのよさを愛でたいと思う。

Googleドライブでファイル共有をしたことがある方なら、一度は見たことがあるだろう。

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こういったページの……
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この部分。

「いま他のユーザーがこのドキュメントを見ていますよ」ということを表していて、オンマウスで動物の名前が表示される(Googleの公式ヘルプ曰く“この現象は、ドキュメントを一般公開している場合や、リンクを知っているユーザーとドキュメントを共有している場合に発生します。”とのこと)。

その際、表示名は「匿名+動物の名前」だ。

今回はゾウが表示されたが、筆者が知る限りこのバリエーションは数十種類ある。しかもその動物のチョイスがなかなか興味深い。

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たとえば、ウォンバット。日本で生きているとなかなか馴染みのない動物だ。カピバラみたいなやつだっけ?それともコアラみたいな?と考え込んでしまうが、このゆるいアイコンが正解のイメージを想起させることはない。
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トラとヒョウ。トラの顔まわりのもっさり感と、ヒョウの取ってつけたようなブチ模様が愛おしい。なぜか両者とも( ‘ω’ )という感じの顔をしていて、恐怖を感じさせまいとする配慮すら感じる。

筆者はしばらく前から、この匿名アニマルが表示されるたびにスクリーンショットを撮っている。
どうしてその動物を選んだ?という疑問を感じさせながらも、ゆるいアイコンが魅力的で、カプセルトイのような収集欲にかられるのだ。

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webライターの筆者が作るドキュメントは主に原稿だ。それゆえ、担当編集の方が匿名アニマルとして表示されることになるのだが、きっと向こうもまるで凄みのない「匿名パイソン」にされているなんて思ってもみないだろう。田舎のカナヘビの方がまだ強そうな顔をしている。
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カバによる死亡事故は年間約3,000件にものぼるらしい。その上でどうだろう、このカバのチャーミングな横顔は。 ​​​​​​野生のカバに出会ったら身の安全を優先した行動を取るべきだが、Googleドキュメントに出没するこの匿名カバは、決して噛み付いてきたりしない。せいぜい「ここの表現が分かりづらいので修正してください」とコメントを残していくくらいだ。

さらにマイナーな動物たちも登場する。

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匿名ジャッカル。「なんか犬みたいなやつ」くらいの知識しかないが、アイコンを見ても「なんか犬みたいなやつ」としか言いようがない。
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匿名ジャッカロープ!?知らない動物が出てきた。想像するに小型のシカのような生き物だろうが、きっとかわいいやつなんだろう。期待を胸に検索してみたところ、「アメリカのワイオミング州等に棲息すると言われる未確認動物」とあった。そういうのでもいいんだ。 ​​​​​​
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匿名クラーケン。もう動物のチョイスがどうでもよくなってしまったのだろうか。クラーケンといえばイカのような怪物だが、イカにしても間抜けな顔をしている。こいつに船を沈められたら死んでも死にきれない。
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匿名イフリートが10件のコメントを残している。イフリートのことを何も知らないなと思い調べてみたところ、アラビアの伝承に登場する火の魔人だそうだ。『アラビアン・ナイト』では漁師に壺の中に閉じ込められてしまったものの、2023年のインターネットで復活したらしい。どことなく恨めしそうな顔をしている。
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カボチャだ。もはや動物でなくてもいいらしい。もしかして、ハロウィン限定のアイコンだったりするのかな?とスクリーンショットの日付を確認したら8月31日だった。ゴリゴリのレギュラーキャラだ。動物たちの中に混ぜられて、いったいどういう気持ちでいるのだろう?その瞳からはなにも伺い知れない。 ​​​​​​

ただでさえ味わい深い匿名アニマルズだが、もう一つ面白いと思っていることがある。

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たとえばこの「匿名カピバラ」だが、
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閲覧者からしばらくアクションがないと「匿名カピバラ(アイドル状態)」になる。

アイドル状態の動物。そういうことではないとわかっていても、チヤホヤされて忙しいのだろうかと想像してしまう。

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アイドル状態のマナティーなんて、「こっち向いて」「2秒見つめて」なんて団扇を作ってしまいそうな愛らしさだ。いま、このドキュメントにはアイドル状態のマナティーがいる。いつアイドルを辞めてこちらへ戻ってくるか分からない。それともこのまま消えてしまうのだろうか?そんな心のひりつきすら感じさせるアイコンだ。

原稿のやりとりという、業務の中で突如現れる匿名アニマルたちを、筆者はひっそりと楽しみにしている。

他にも「匿名フェレット」のアイコンは背筋がよくてかわいいとか、他の動物がおおむね正面か左向きなのに「匿名ガチョウ」が右向きなのはなぜだろうとか、味わい深い観賞ポイントは無数にあるが、今回はこのくらいにしておこう。

皆さんもGoogleドライブを共有する機会があれば、ページを開いたまま待機して、なんの動物がやってくるか楽しみに待ってみてはいかがだろうか。

 

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