ここに2本のZIMAがある。
いっぽうは2021年末に販売終了したZIMA、もういっぽうは今年2023年春に販売再開したZIMAである。
そもそもZIMAとはなにか
いきなり2本のZIMAを見せつけてしまったが、そもそもそれは何ですかと思う方もいるやもしれない。
ZIMAとは、りんごの果実を使った甘い微炭酸のお酒だ。
スミノフアイスやコロナビールなどと並ぶ、クラブでレモンとかライムが刺さって出てくる瓶のまま飲むタイプのうきうきした種のアルコールだと思ってもらえたら間違いない。
上の写真のとおり、特徴は無色透明であること。
2010年代後半に飲み物をなんでも透明にするのが流行したのを覚えている方も多いのではないか。
飲み物を透明にしてみたいという気概は人間のなかに脈々とあり続けるらしく、この手の透明飲料の流行は1990年代前半にもあったのだ。
長く時を生きている方には聞き覚えがあろうかと思う、コカ・コーラの「タブクリア」が出た頃である。ZIMAもその流行に合わせて、1993年に透明なビールを作らんとして開発されたらしい。
とはいえ味としては一切ビールに寄らず、りんごを使ったスパークリングワインであるシードルにも似ない独特の、ZIMAとしか言いようのない味わいのお酒として、以後生きながらえてきた。
あわててケースで買ったZIMA
あらためて2本のZIMAに戻りたい。
冒頭で「いっぽうは2021年末に販売終了したZIMA、もういっぽうは今年2023年に再発売したZIMAである」と書いた。これはどういうことか。
ZIMAはモルソン・クアーズ・ジャパンという会社が長く日本国内で販売してきた。
この会社が、2021年末で日本を撤退することになり、ZIMAも在庫限りでの販売終了がアナウンスされたのだ。
そのときにあわててケース買いしたのが「2021年末に販売終了したZIMA」というわけだ。
2000年代初頭、居酒屋かあさんで飲んだ光るZIMA
慌てたのには訳がある。
20歳をすぎた数年間、お酒のたしなみを手探りしていた頃に好きでよく飲んだのがZIMAだった。思い入れがあるのだ。
ときは2000年代前半、当時はこの手のお酒が流行しており、クラブやライブハウスだけでなく普通の居酒屋にも置いてあることが多かった。
よく覚えているのが新宿西口の居酒屋かあさんで飲んだことだ。
古い居酒屋や料理屋でビール瓶に袴をはかせて出す店があるだろう。
こういうやつ
かあさんで出てくるZIMAにも、専用のはかまがついていた。
透明のやわらかいシリコン素材で、側面にZIMAと大きく彫ってある。販売会社が拡販用のノベルティとして店に配っていたものだと思う。
底面にライトが仕込んであり、点灯すると立てた瓶がぼんやり青く光った。
ほっけ焼きやもつ煮、揚げ出し豆腐が並ぶ居酒屋かあさんのテーブルで光るZIMAのあかり。手ざわりのあるリアルな未来を感じて私たち若者はぞくぞくしたものである。
ことし2023年、再販が開始に……!
販売終了してしまい、もはや国内では貴重な1ケースだ。自宅ですこしずつ飲むことも考えたがなかなか手を付ける気持ちになれなかった。
新型コロナウィルスの流行がましになった頃合いを見計らって友人らみんなで懐かしもうかとそのまま保管が続いた。
2022年はそうして静かにすぎていく。
そして今年、2023年である。私がふれたのは、華々しいZIMA再販の報であった。
そう、ZIMAは再販売を望む大きな声におされ、新たにあの白鶴酒造が輸入販売契約を取得したのだ。
販売終了と知って久しぶりに1ケース買うあさましい私とは違い、熱心なファンは声をあげた。
その声に超老舗(白鶴酒造は1743年の創業である。寛保3年!)がこたえたわけだ。
なんつう熱い展開か。
ちなみに買ったケースのZIMAの賞味期限はうっかり2022年6月に切れていた。
もはや友人にふるまえるものでもなくなり、低温低湿でしっかり保管していた自信はあるから自己責任で急いで飲むしかない。
味、変わってません
長くなりましたが、それで本日、新旧2本のZIMAをそろえたというわけだ。
確かなりんごの味わいに、リキュールのちょっとフックのある風味、そしてそうだ、ZIMAってけっこうちゃんと甘いんだ。
変らない味だった。両者はベトナムで製造され、原材料もまったく同じ。間違いなく同一のZIMAである。
公式としてはレモンを絞って飲むことを推奨しているようだ。
居酒屋かあさんでそのまま飲んだのを思い出し、今回はレモンはしぼらず飲んだけど、あとまだ23本ある。残りはレモンを試したり、ライムもいいかもしれない。
1ケース飲み切っても酒屋に行けばあるんだから、もう安心です。