あ、降ってきた
雨の多い季節。傘を持ち歩く習慣のない僕は、しょっちゅう急な雨に降られて体を濡らしてしまう。
濡れないためにどうすればいいかは知ってる。傘を差せばいいんだ。じゃあ、傘がない時は?傘がなければなんでもいいから手近なものを差せばいいじゃないか。パンがなければお菓子を食べればいいじゃないの。
雨の時、少しでも濡れないためには何を差すべきか考えてみたい。都市生活におけるサバイバル術だ。
※2008年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
会社帰りに急な雨に降られたら
想定するシチュエーションは会社帰り。朝は雨が降ってなかったので傘を持ってこなかったのだが、いつの間にか降り出していた、そんな状況だ。オフィスにあるもので傘になりそうなものを選んで、雨よけの性能を比べてみます。
ルール 1.会社帰りに使えそうなアイテムをいくつか用意します。 |
まずは傘
傘がわりの実験を始める前に、まずは傘を試してみたい。もしかしたらこの実験で傘より優れた雨よけが見つかるかもしれない。そのときのために、傘の実力を把握しておく必要がある。
このジョウロ、思った以上に豪雨だ。しとしとではなく、ザアザア。ちょっとした台風くらいの雨量である。しかしそんな豪雨に見舞われても、傘を差していれば体感的にはまったく濡れた感じはない。さすが傘、本業だけある。
完璧かと思われたが、後から見ると少しだけ肩が濡れていた。しかしあの豪雨でこれだけの濡れで済むなんて、原始人なら考えもしなかっただろう。なんで急に原始人とか言い出すかというと、以降の実験はまだ傘が発明されてないくらいの気持ちになって読んで欲しいからです。つまり全然ダメでしたってことですよ!先に言うけど!
ビニール傘撥水性は完璧で取り扱いもしやすいが、注意しないと少し肩が濡れる。 雨よけレベル |
大定番・カバン
急な雨の時の傘がわり、定番中の定番がこれだ。カバンを担いでかけだしていくサラリーマンは街でもよく見かける。「カバン担ぎ」は6月の季語にしてもいいくらいだ。
ではさっそく、雨に降られてみましょう。
小さい!カバンがカバーできる範囲は、頭と、胴体、肩の一部。そのかわり水が流れ込んでくるのが袖口だ。カバンを持つために上に向いた袖口に、雨のしずくが大はしゃぎで駆け込んでくる。腕からヒジへ、そして脇へ、ツーっと水が垂れてくる感じがなんとも薄ら寒い。
ということで結果は腕と肩がずぶ濡れ、しかし頭と胴体は無事であった。
カバン頭と胴体だけならカバー可能。袖からの浸水に注意せよ。 雨よけレベル |
ダンボール
カバンは確かに小さすぎた。ではもうちょっと大きいもの、たとえばダンボール箱ではどうだろう。
山形に折りたたむことができるため、傘に近い形が再現できる。最初、「やったか!?」と思ったのだが、次の瞬間には斜面を伝って流れ落ちてきた水が袖口に大量流入。「水は低いところへ流れる」という慣用句を体で実感した瞬間だ。
下の写真のとおり、もうワイシャツはびしょびしょ。しかし胸につけた紙は無事だった。
そしてあとで気づいたもう一つの難点。水を吸ったダンボールはとてももろいのだ。実験は数十秒だったのに、つかんでいた部分はすでに破れてきてしまっていた。これじゃちょっと家まで持たない。
ダンボールカバンの劣化版。頭と胴体は守れるが袖への浸水がさらに激しい。耐久性に難あり。 雨よけレベル |
紙袋をかぶってはどうか
会社の紙袋。すっぽりかぶってしまえば水が入り込むことはなさそうだ。しかも中に書類を入れて持ち運ぶ前提のアイテムなので、しみこみにも強いだろう。
今回はこのままかぶって家まで帰ることを想定して、前が見えるように穴を開けておいた。帰宅途中でご近所さんに会うことは想定していない。
頭部へのガードは完璧。360度がっちりと包みこんでくれる。そして耐久性も予想どおり。せまい視界のせいで体は見えないがそんなに濡れている感じはない。これはいけるかも。
と思ってしばらく雨に当たってから袋を脱いでみたところ、頭以外の全身が思った以上に濡れていてびっくりした。胸につけた紙はずぶ濡れだし、小さな目出し穴からも眼鏡に水が跳ねている。あんまり濡れてないように思ったのは、包み込まれている安心感のせいだったのか。
紙袋の効果は、「濡れない」ではなく「濡れているという現実から目を背けられる」。現実逃避型の雨よけであった。
紙袋包み込んでくれる安心感に身をゆだねてしまうと首から下はびしょ濡れに。 雨よけレベル |
これも定番・ジャケット
これもたまに見かける光景だが、かなり捨て身の手段だと思う。だって確実に上着は濡れるわけだから。上着を犠牲にして、体は雨を防ぐ。肉を切らせて骨を断つ、だ。
水をかけ始めた瞬間、かなりの手応え。水はかからず、カバー範囲も広い。これは傘がわりになるか、と思ったのだが。
10秒後には布地に水がしみこみ、浸水。それからはもう染み放題、濡れ放題だ。みごとに骨まで断たれた。
ジャケット数秒なら耐えられるが一瞬にして決壊する。上着を濡らすリスクのわりには得るものは少ない。 雨よけレベル |
次ページも全然成果のでない実験が続きます。