私の嗅覚がまだ正常であれば日本にはほんのりバブルの匂いがしてきた気がします。ユーチューブの個人動画では派手にお金を使う行為に人気が集まり、五輪選手村だったマンションは転売すれば2倍になったという話も聞こえてきます。物価高で大変、という声は最近鳴りを潜め、国民が大いにお金を使う循環に代わっていますが、この動きは私が80年代半ばに感じたあの時と似ています。バブルは経済環境と心理と社会的背景のベクトルが一致した時に起きる、これがひろのバブル論です。さて、1-2年後にどうなっていることやら。
では今週のつぶやきをお送りします。
債務上限問題とアメリカの株価
債務上限問題でくすぶるアメリカですが私は10日ほど前にアメリカの一流のエンタメだと判断しました。故にギリギリまで引っ張るでしょう。バイデン氏が日本滞在中もその交渉のため半日サミットを欠席したのは見せ場でもあり、チキンレースにも見えるのです。聞こえてくるのは双方の条件のすり合わせ。そしてこれを書く金曜日現在「これで交渉が分裂したらシャレにもならない」ぐらいまで寄っています。
バイデン氏もマッカーシー氏も破綻国家としての責任を負えないし、「ノリ」でそんなことをすれば国民のみならず世界からそっぽを向かれ嫌われ者になることは自明の理。それが交渉の心理ゲームであります。とすれば5月に入って全く冴えなかったNYダウはそろそろ反転攻勢になるでしょう。昨日のエヌビディアの好決算を受けた同社株の暴騰はハイテク株に更なる勇気を与え、投資家は今年に入ってずっとレンジ相場のNY市場に目を向け、資金を振り向けることになるとみています。
問題はそれを受けて日本株がどうなるか、です。私の見る限り東京市場は非常に不健全。金曜日の東京市場は日経平均の115円上昇に対しプライム銘柄の値上がりはわずか419、下落が1371銘柄なのです。全然おかしな相場つきで理由は値がさのハイテク、と言うより半導体銘柄だけで引き上げたためです。少し前はバフェット銘柄で商社が買われ、今は半導体、次は何でしょうか?ネタはあると思いますが、東京市場は一点集中過ぎて横の広がりがない点がやっぱり投資家のすそ野の狭さを感じます。
長野の立てこもりに見る孤独な子供たち
いい歳をした息子が両親と暮らすというのは猿之助さんも似た背景です。概ね息子と言うのは母親の溺愛と父親の背中との距離感の中に生じる自己闘争ではないでしょうか?あくまでも長野の一件だけに絞ると由緒ある家、両親とも社会人として名声もあり評価もされてきた人、故に地元の人は「だけど、あそこの長男は…」と囁き合う狭い社会の中で心理的な引きこもり状態になったのではと推測しています。
元首相、現首相への暴力による自己アピールも同じで一旦、火が付くと歯止めが利かない暴走心理は共通項のように見えます。しかも時としてそれはより計画的であり犯行時も冷静で捕まった後も自分の起した凶事について自己都合の論理を積み上げます。もちろん、こういう行為は昔からあるし、今でも例えば煽り運転をする輩などは同じベクトル上にあるわけです。
これら一連の問題の背景は家族とのしがらみと自分の立ち位置から来る現実逃避ではないかと思うのです。それは金の問題ではなく、家族愛の問題でもありません。家庭という狭い環境に於いて自分がリスペクトされる居心地の良い場所がないことへのフラストレーションがあるのでしょう。もう一つは日本人が常に比較論を持ち出すこともあると思います。「あそこの姉はいい子なのに、息子はしょうもないわねー」といったたぐいの話です。孤独な子供たちを作ったのは家族という舞台とそれをみる近隣という観客が生み出す社会的圧力ではないか、と一人っ子である私は慮るのです。
公明党はどうしたいのだろう?
公明党が衆議院の「10増10減」に伴う候補者調整に関して自民党に東京での自民党候補を推薦しないなどの「離縁状」を突き付けました。茂木氏は首相に「どうしましょう?」と相談、首相らしい「丁寧な説明」を指示したと報じられています。今回はあくまでも東京の問題に留まっていますが、公明党はイライラしていますが、その根源は自民党との問題ではなく、公明党そのものの地盤の軟弱化にあるとみています。自民と公明は長年、同床異夢、仮面の夫婦であって熟年離婚の危機にある、そんなところでしょう。
その背景の一つは維新の躍進であります。それだけではなく、国民民主もそれを援護する形となっています。自民党は現在の盤石の体制を踏まえてより強固な体制を敷く選択肢が増えたともいえます。もちろん、自公協力体制によりこれまで自民党候補者がずいぶん救われたことも事実で、産経は公明が協力しなければ東京では自民が5人落選するのでは、と報じています。しかし、国民から見ればこの選挙協力は本質的には茶番で選挙民に選択権を与えていないようなものであります。
公明党が社会趨勢の中で不利であることは言を俟たないのです。宗教が背景である同党にとり社会が安定し、若い人に新しい価値観が浸透すればするほど距離感が出るのは社会の当然の動きです。自民としては与しやすい政党ではありますが、公明ではなくてはいけない理由もありません。むしろ自民党が変わらねばならないこの時期に構造的改革の一環として自民が連立の枠組みを外す勇気を持ち、国民にその信を問うぐらいになれば公明党はひとたまりもない気がします。
後記
半年ぐらい前にある方からの紹介でEmailにてご挨拶をさせて頂いた方から唐突に電話があり、「計画している住宅開発事業、あなた、手伝えるかしら?」と。カナダ人で一等地に不動産を抱える富豪夫人だけど建物開発のノウハウはゼロ。「私は騙されたくないの」。この世界は極めて難解、かつお金の匂いを嗅ぎつけるサメがうようよ。私はお金に興味がないがゆえに「あなたの家の資産を守るという立ち位置ならお手伝いできますよ」というと大変喜んでくれました。この話がどうなるかはわかりませんが、私はここに来て本当に無欲になってきた気がします。無欲ゆえのビジネスの極みを目指してみたいですね。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月27日の記事より転載させていただきました。