メモ
オートパイロットを搭載した電気自動車での事故が複数件発生したことから製品の安全性が問われているテスラについて、匿名の人物が内部資料を新聞社に提供していたことが分かりました。情報を受け取ったドイツのHandelsblattは内容を精査し、改ざんや捏造(ねつぞう)の痕跡がないことを確かめた上で情報を公開しました。
Tesla-Files nähren Zweifel an Elon Musks Versprechen
https://www.handelsblatt.com/unternehmen/industrie/elektromobilitaet-mein-autopilot-hat-mich-fast-umgebracht-tesla-files-naehren-zweifel-an-elon-musks-versprechen/29166564.html
Tesla Autopilot Data Received By German News Site
https://jalopnik.com/whistleblower-drops-100-gigabytes-of-tesla-secrets-to-g-1850476542
German authorities looking into possible data protection violations by Tesla -newspaper | Reuters
https://www.reuters.com/business/autos-transportation/german-authorities-looking-into-possible-data-protection-violations-by-tesla-2023-05-25/
Tesla Files: Insider stole 100 Gb of data and gave it to the media | Electrek
https://electrek.co/2023/05/25/tesla-files-insider-stole-100gb-data-media/
資料には主にテスラの自動運転車に関する不具合や顧客からの苦情について記されており、2400件以上のアクセルに関する苦情と1500件以上のブレーキに関する問題、1000件以上の衝突事故に関する報告などが含まれています。
Handelsblattが確認した最も古い苦情は2015年、最も新しいものは2022年3月のもの。この期間、テスラはオートパイロットソフトウェアを搭載した約260万台の車両を納車しました。ほとんどの事故はアメリカで発生したものですが、文書にはヨーロッパやアジアからの苦情もありました。その中には「自動操縦で殺されそうになった」などと書かれた顧客の声も掲載されています。
Handelsblattは、数十人の顧客に連絡を取り、全員にテスラのファイルから得た情報を確認させたとのこと。情報を共有する中で、何人かの顧客は「テスラは自分たちの問題を解決することにあまり興味がなく、むしろ会社をかばうことに熱心であるようだった」と話していたそうです。
こうした苦情にテスラがどのように対処していたのかという点についても、具体的に記載されていたとのこと。ファイルには従業員が顧客とコミュニケーションをとるための正確なガイドラインが記されており、その中で確認された最優先事項は「顧客の攻撃対象をできるだけ少なくすること」だったと伝えられています。
また、各項目には太字で「情報を伝える場合はお客様に口頭でしか伝えてはいけない」という注意書きがあることも判明しています。Handelsblattが取材した顧客もこの点に同意し、テスラの社員が文書によるコミュニケーションを避けている印象を受けたと話したとのこと。テスラ車が勝手に加速してコンクリート柱に衝突した被害に遭ったとある顧客は「テスラの従業員がメールを送ることはなく、すべては常に口頭でした」と述べました。
顧客からの苦情のほかにも、ファイルにはイーロン・マスクCEOの社会保障番号を含む、元従業員と現従業員の10万人以上の名前を含む表、プライベートなメールアドレス、電話番号、従業員の給与、顧客の銀行情報などが含まれているとのこと。
Handelsblattによると、テスラはファイルを報道で使用することを阻止しようとし、Handelsblattに対して法的措置を取ると伝えてきたとのこと。Handelsblattは、この種のデータ漏えいに関する報道が欧州連合法の下で合法とみなされる異常事態の1つであると判断し、公開に至ったそうです。
後にテスラは情報提供者の身元を特定したとしてHandelsblattにその旨を通達。「不満を持った元従業員が、テスラを辞める直前にサービス技術者としてのアクセス権を悪用し、情報を流出したと信じるに足る理由があります」と述べ、当該元従業員に対して法的手続きを開始する予定だと述べました。一方のHandelsblattは「ただのサービス技術者がなぜ重要なデータにアクセスする手段を持っているのかについて疑問が生じる」と指摘。EUの一般データ保護規則(GDPR)に違反する可能性があるとして、オランダのデータ保護監督当局に本件を報告したと付け加えています。
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