日高屋の熱心なファンの一人として何度でも言わせてもらうが、日高屋とはホームランを求めて来るような場所ではない。基本的にはすべて内野ゴロであり、そのゴロ具合を愛(め)でに行く場所なのだ。しかし、一つだけ例外がある。それが期間限定の『チゲ味噌ラーメン』である。
辛味噌のコクと野菜の旨み、そして溶き卵のまろやかさが織りなす高い中毒性を帯びた三位一体の味わい……。日高屋が偶然にも生み出した歴史的名作であることに疑いの余地はないが、そんな『チゲ味噌ラーメン』が今回、なんとカップ麺になって発売されたという。ついに来たか……!
・『チゲ味噌ラーメン』がカップ麺に
サンヨー食品が2023年5月22日に発売した『サッポロ一番 カップスター 日高屋監修 チゲ味噌ラーメン タテビッグ』(税込245円)。その実物を、私(あひるねこ)はたまたま近所のスーパーで発見した。恥ずかしながら発売されること自体、お店で見るまで知らなかったのだ。
パッケージにデカデカと書かれた「チゲ」の文字を見てもしや……と思ったが、まさか本当に『チゲ味噌ラーメン』がカップ麺になるとは。感無量である。私はすぐさま商品を手に取り、カゴに入れようとした。ところが、次の瞬間……
え!?
……どちら様?
・謎の女性
それは、あまりにも想定外な光景だった。私は日高屋のカップ麺を手に取ったつもりだったのだが、フタに写っていたのはまったくもって日高屋に似つかわしくない若い女性だったのである。あんなにキレイな二度見を繰り出したのは数年ぶりじゃないか。一体何が起きているんだ……。
その後の調査の結果、女性が日向坂46の齊藤京子さんであることがようやく分かった。アイドルに無知すぎて申し訳ない。
どうやらカップスターとのコラボ企画のようだが、なんでも齊藤さん自身、『チゲ味噌ラーメン』の大ファンらしく、今回のコラボを「今世紀最大の夢が叶いました!」と喜んでいる模様。
しかし、これを聞いて私は思った。本当に日高屋で大丈夫なのかと。いや、もちろん私は日高屋を心から愛しているが、『チゲ味噌ラーメン』が好きと公言することは齊藤京子さんにとって、何かしらのデメリットにならないのかと。
そりゃあ、日高屋を頭ごなしにディスってくる女性は私だって嫌である。が、日高屋を「愛してやまない」と言っている女性も、それはそれで少し心配だ。何を言っているのかよく分からないおっさんと、それをなぜか完璧に聞き取れているおっさんが昼から飲んでたりする場所だぞ、日高屋は。
・実食編
コラボ相手が想定外すぎて話が逸れてしまったが、肝心のカップ麺はどれくらい『チゲ味噌ラーメン』を再現できているのか? さっそく食べてみよう。
お湯を注いで3分間待ってやり……
「仕上げの小袋」とやらを入れ……
よく混ぜたら完成である。
色味は『チゲ味噌ラーメン』に近い気がするが、果たしてそのお味はいかに。日高屋の店員さんっぽく「チゲ味噌でーす」と呟きながら麺をすすってみた結果……
うーむ。味噌をベースにガーリックやオニオンの風味、唐辛子の辛みが効いており、味自体は悪くないというか至って普通だが……これが日高屋の『チゲ味噌ラーメン』か? と聞かれると、答えは断固として「違げぇ」である。チゲだけに。
・ぶっちゃけ別人
まあこういう商品って、別に味そのものを完璧に再現しようとしているワケではないと思うんだけど、それでもあえて再現度を数値化するとしたら、100点中2点くらいだろう。だいぶ奥まで潜ってみたものの、日高屋らしさを発見することはついに叶わなかった。
少々辛すぎる採点かもしれないが(チゲだけに)、ファンが愛してやまない『チゲ味噌ラーメン』を名乗るなら、それくらい……
ハッ!
なんかゴメン……。
・復活熱望
ここのところ深刻なチゲロスに陥りかけていたため、これは天恵! と飛び付いたまではよかったが、やはりカップ麺では『チゲ味噌ラーメン』のあの唯一無二の味に近付くことは難しかったのかもしれない。齊藤さんには大変申し訳ないが、私は次に復活する日を気長に待たせてもらうつもりだ。