自治体のDX推進に向け、NTT西日本と日本マイクロソフトが協業

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(左)日本マイクロソフト 代表取締役社長 津坂美樹氏、(右)NTT西日本 代表取締役社長 森林正彰氏

 西日本電信電話株式会社(NTT西日本)および日本マイクロソフト株式会社は22日、地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に向けて協業を開始すると発表した。

 両社は同日共同で記者会見を開催。NTT西日本 代表取締役社長の森林正彰氏と、日本マイクロソフト 代表取締役社長の津坂美樹氏が登壇し、今回の協業の詳細について説明を行なった。

複数の自治体で一部を共用する共同化モデル

 日本の人口は2004年をピークに急激に減少が進んでおり、少子高齢化や産業の衰退、行政サービスの質低下など、さまざまな社会課題が今後積み重なっていくことが予想されている。今回の協業はこういった状況に対し、複数の自治体でリソースの共用する「共同化モデル」をベースとしている。

 これまでは、サービス、基盤/インフラ、人材のそれぞれを各自治体がばらばらに所有する構造で、非効率的なだけでなく、コストの増加、人材やスキル/ノウハウの分散といった問題もあった。共同化モデルでは、この中で共用できる部分について、複数の自治体が共同で投資することで、DXの加速とコスト削減、人材活用の最適化などを図れるとしている。

 自治体業務のデジタル化において取り組むべき点として、スマートフォンで手続きが完結すること、事務処理の自動化、ガバメントクラウドの活用、窓口のDXなどが考えられる。しかし実際には、専門知識を持ったDX人材の不足、オンライン申請とアナログ申請の混在、制度や仕組みの多様化による窓口業務の負担の増加など、課題が表面化しつつある。両社ではこれに対して、パートナー企業などとともに具体的に4つのソリューションを提供していくという。

自治体業務のデジタル化における課題

両社が提供する4つのソリューション

 1つ目は、自治体システムのクラウド化にまるごと対応するもので、コンサルティングから環境の導入、サポート、ネットワーク接続、セキュリティにいたるまで、要望に応じたサービスをまとめて提供。ガバメントクラウドへのリフトやシフトの支援に加え、地域創生クラウドなどを活用した標準化対象外業務に対するクラウド環境の提供も進める。

 2つ目は、スマート自治体の実現支援で、年々多様化/複雑化する制度や仕組みへの対応を支援。Azure OpenAI ServiceをはじめとしたAI技術も活用し、多用で複雑な問い合わせにも対応可能なDXサービスを提供する。

自治体システムのクラウド化にまるごと対応

スマート自治体の実現支援

 3つ目は、自治体業務のBPO(Business Process Outsourcing)支援で、簡易事務や大量処理業務に対してBPOサービスを提供。複数の自治体の共同処理によって低価格化を図るとともに、各自治体の人手不足を解消し、自治体職員がより高度で専門的な業務に集中できる環境を実現する。

 4つ目は、デジタル人材育成支援で、研修などを通じた育成メニューや外部人材の活用などを通じて、自治体DXの推進に必要な人材を育てていく。これに際しては、NTT西日本の持つLINKSPARKやQUINTBRIGE、日本マイクロソフトの持つMicrosoft Baseといった施設も活用していく。

 これら4つのうち、1つ目と4つ目はすでに提供を開始。残りの2つについても準備を進めており、数カ月中にはすべて提供が始められる見込み。導入が進めば、窓口に行かなくてもできる手続きが増える、窓口での待ち時間が少なくなるといった恩恵が受けられるだろうと説明した。

自治体業務のBPO支援

デジタル人材育成支援

 協業における各社の役割としては、NTT西日本では、高品質なネットワークやデータセンター、インフラのほか、地方自治体向けのコンサルティング、地域密着の組織体制やサポート力、BPOサービスの提供などを担う。一方日本マイクロソフトでは、ガバメントクラウドの対象サービスでもあるMicrosoft Azureやハイブリットクラウド、生成AIなどの最新技術の提供、自治体向けソリューションの開発や提供の支援、NTT西日本への育成支援などを担う。

 今後5年間で、西日本の915の自治体のうち、4分の1ほどとなる250自治体への導入を目指すとしており、両社の強みを掛け合わせるとともに、パートナー企業とも力を合わせながら、自治体の持つ課題に対応していくという。

日本マイクロソフトではクラウドやAI技術

Microsoftが定める責任あるAIの基本原則

 また、日本マイクロソフトでは同社のAI技術について、Microsoftが定める責任あるAIの基本原則に基づき、ライフサイクル全体で配慮していると説明。公平性、信頼性と安全性、プライバシーとセキュリティなど6つの項目が含まれており、AIが意図した通りに機能し、信頼を得るような方法で使用されるよう設計を行なっているとした。

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