天王星の4つの衛星には内部海が存在するのかも

GIZMODO

天王星に属する衛星のうち4つには、数十マイルの水深になり得る海の層が存在する可能性があるという最新研究が発表されました。

天王星には主星のように極寒で氷から成る衛星が、少なくとも27個あります。この研究の対象となったのは5大衛星のアリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロン、ミランダ(天王星の衛星には、シェイクスピアとアレキサンダー・ポープの作品の登場人物にちなんだ名が付けられています)。

先日Journal of Geophysical Researchに掲載された研究論文は、前述の衛星のうち4つにおいてコアと氷殻の間に海の層がある可能性を示唆しています。

NASAジェット推進研究所(JPL)の惑星科学者Julie Castillo-Rogez氏は、リリースの中でこう述べています。

準惑星や衛星といった小さな天体の場合、惑星科学者たちはこれまでに準惑星ケレスと冥王星、そして土星の衛星ミマスなど、いくつかの思いもよらない場所で海の痕跡を発見したことがあります。私たちが完全には理解していないメカニズムが働いているのです。

惑星内部は熱を保持

この研究でCastillo-Rogez氏のチームは、探査機ボイジャー2号が取得した天王星のデータの見直しました。さらに地上からの観測結果と、NASAのガリレオやカッシーニ、ドーン、ニュー・ホライズンズといったミッションの成果物を活用してコンピューターモデルを構築し 、各衛星の表面がどれほど多孔質なのかを測ったのです。

その結果、5個の衛星のうち大きい天体4個は、海を有するために必要な内部の熱を保持できていると思われることがわかりました。これまでチタニア以外の3つの衛星は、海の層を凍らせないようにするほどの熱を維持するには小さすぎると考えられていたのです。

またチームは、衛星(特にチタニアとオベロン)の岩石からなるマントルに熱源となり得るものを発見。海の層を温めていたようです。一方、5個の中で最も小さいミランダは内部の熱を急速に失っていた模様。

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新たな分析で、天王星に属する衛星のうち4つに塩水でできた海がある可能性が示唆されました
Graphic: NASA / JPL-Caltech

これらの海に塩化物とアンモニアが存在しているかもしれないことも判明しました。こういった物質は、海を液体の状態に保つ不凍液のような役割を果たしている可能性があります。

旧世代と新世代の宇宙望遠鏡、それぞれが観測した天王星の姿が公開されたばかり。ハッブル宇宙望遠鏡による最近の画像は天王星を覆う巨大な白い斑点を捉えており、同惑星の極冠が大きくなっている可能性を示しています。

先月リリースされたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による画像は、天王星を囲む美しい環を捉えていました。

奇妙な傾きや環、多数の衛星は、惑星科学者たちが20億マイル近く離れた天王星の探査ミッションを声高に求める理由のほんの一部にすぎません。

近接ミッションが実現すれば、遠くから観測するよりもはるかに天王星及びその衛星への理解は向上しそうです。ですが、そのためにNASAはまず予算の問題をどうにかする必要がありそうです。

Source: Journal of Geophysical Research, JPL

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