ミュンヘン在住の友達が「おもしろいものがあるから見に行こう!」と言って連れて行ってくれたのが、とある役所に設置されたパタノスタ。読者の大半は、そのときの私と同様「え、パタノスタって何?」という感じだろうから説明すると、要するに今ではほぼ使われなくなった古いスタイルのエレベーターだ。
重たい扉を開けて中に入ると、さっそく目当てのエレベータ―があった。
このパタノスタ、普通のエレベーターのようにボタンを押して箱を呼ぶスタイルではない。イメージとしては人間を乗せて垂直方向に動くベルトコンベアーだ。書いていて思ったがエスカレーターに近いかもしれない。
言葉で説明してもわかりにくいので、さっそく乗るところを見ていただこう。
箱の動きはそれほど速くないから別にどうということはないんだけど、どんくさい身としてはちょっと緊張した。だんだん狭まっていく穴に乗り込むというのは、どうしても「はさまれる自分」を想像してしまうのだ。慣れてきたころに失敗しそうな怖さがある。
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移動中は常に「ゴウンゴウンガタガタガタガタ」という音が周囲にこだましている。薄暗さもあって「機械の腹の中にいる」感じがして面白い。
やっぱりそこそこ危険な乗り物なのだとは思う。
なにより古い。友人曰くちょっと前まで修理中だったそうで、今回ミュンヘンにいるタイミングでたまたま乗れる状態だったのは運が良いことだった。
古くて危ない乗り物を修理してまで使い続けてくれている役所には頭が下がるばかりだ。