HPが「純正以外のインクを使うとプリンターが印刷を拒否」するアップデートを敢行しユーザーの怒りが爆発

GIGAZINE



HPが、他社製のインクカートリッジを使うとプリンターが動作しなくなるアップデートを配信しました。HP純正のインクは、価格がサードパーティー製インクの2倍以上するため、ユーザーから不満の声が上がっていることが報じられています。

>HP disables customers’ printers if they use ink cartridges from cheaper rivals
https://www.telegraph.co.uk/money/consumer-affairs/hp-printers-computers-ink-cartridges-rivals/


Millions hit by home printing block – you must use official and expensive ink or your printer gets disabled – Mirror Online
https://www.mirror.co.uk/tech/hp-printer-block-unofficial-cartridge-29959820


問題のアップデートは、2023年3月から配信が始まったもの。HPはこの機能について「顧客体験の質を守り、印刷システムの完全性を維持し、知的財産を保護するために採用している」と説明していますが、これに納得できないHP製プリンターのユーザーは、インクを無効化する機能の対象外である旧式のプリンターに乗り換えるなどして対抗しています。

HPのプリンターがファームウェアアップデートにより非正規インクをブロック、回避方法は? – GIGAZINE

by CartridgeSave Images

イギリスのニュースメディア・The Telegraphは2023年5月11日、このアップデートにより他社製のインクカートリッジを使用しているHPのプリンターが動作しなくなってしまったことで、ユーザーから怒りの声が上がっていることを報じました。

例えば、Twitterユーザーのリナ・インバース氏は、The Telegraphが引用したツイートの中で「プリンターでなぜ印刷できないのか混乱しましたが、HPのインクカートリッジは、毎月のサブスクリプション料金を支払っていないと使えないことが判明しました。これは絶対にクレイジーです。カートリッジに入ったインクをプリンターがブロックしてしまうなんて」と訴えています。

We’ve been confused about why the printer won’t print. Turns out hp has ink cartridges that won’t work if you’re not paying their monthly subscription. That’s an absolutely crazy thing to do. Got my printer blocking the ink that’s IN THE CARTRIDGE

— lina inverse ˣ (@Lazecapri)


またHP公式のフォーラムにも、ローニー・ジョー氏というユーザーが「HP以外のカートリッジが取り付けられていると、プリンターが印刷を拒否してしまいます。こんなことをするのが合法だとは信じられませんし、これは間違いだと思っています。この機能を無効にして、HP以外のインクカートリッジを使い続けるにはどうしたらいいでしょうか?『印刷品質の低下やプリンターの損傷から私を守るため』という、お決まりの言い訳はしないでください」との抗議を書き込んでいます。


価格がサードパーティー製インクカートリッジの2倍以上もする純正インクカートリッジの購入を強要するHPの対応は、ユーザーから大いに不興を買っていますが、HPが他社製のインクをブロックするのはこれが初めてではありません。

HPは2016年にこの「ダイナミックセキュリティ」機能を導入して以来、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパなどで訴えられて数百万ドル(数億円)の賠償金を払うことを余儀なくされています。例えば、2022年には他社製インクがブロックされることを知らずにプリンターを購入したベルギー、イタリア、スペイン、ポルトガルの消費者に135万ドル(約1億8320万円)を支払いました。

またある消費者団体は、無名のブランドのインクカートリッジの方が大手メーカーのものよりコストパフォーマンスに優れているという調査結果から、純正インクの価格や「ダイナミックセキュリティ」が消費者にとって不公平ではないかどうかを調査するよう、市場競争当局に要請しています。

by frankieleon

このような批判をかわすため、HPは月額制の「Instant Ink」サービスを展開しており、これによりインクカートリッジを1個購入するのに比べて70%お金が節約できるとうたっています。価格は、毎月10ページ印刷できるライトプランの月々0.99ドル(約134円)からとなっており、最も人気があるのは5.99ドル(約813円)で100ページ印刷可能なモデラートプランとのこと。

The Telegraphの問い合わせに応えたHPの広報担当者は、「ダイナミックセキュリティ」機能が搭載されているのは一部のプリンターだけとしていますが、どのプリンターが該当するのかは明示しませんでした。この機能があると、HPのチップが使用されていないカートリッジがブロックされてしまいますが、サードパーティー製のカートリッジの中にはHPのチップが再利用されているものもあるので、そうした製品なら通常通り機能するとHPは説明しています。

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